老成持重（ろうせいじちょう）は、日本語の四字熟語です。
老成：経験や知識を重ねて成熟し、落ち着きがあること。
持重：慎重で軽率な行動を取らないこと。
この二つを組み合わせて、「経験を積んで成熟し、冷静かつ慎重に行動すること」を表します。特に、若い人でありながらそのような態度を取る人を指すこともあります。
老成持重の由来を紹介
老成持重という四字熟語としての組み合わせは、中国や日本の古典文学に直接の出典があるわけではありません。ただし、儒教的価値観（成熟・慎重さ）が根底にあり、日本において四字熟語として整えられたと考えられます。
日本では、江戸時代以降、漢籍（中国古典）が教育の基本として重視され、多くの四字熟語が整理・創造されました。この過程で「老成」と「持重」という二つの概念を組み合わせ、「経験を重ねた慎重な態度」を表す言葉として形成されたという由来があります。
「老成」の由来
「老成」は、「老いて成熟する」という意味を持ち、主に儒教の教えや中国古典に見られる価値観から派生しています。
出典：「老成」という言葉自体は、中国の古典に頻出します。例えば、『論語』や『孟子』などで、経験を重ねることで人が成熟し、知恵や慎重さを持つようになることが重要視されています。
意味の背景：「老」は単に年齢を指すだけでなく、経験や知識を積み重ねて成熟した状態を表します。「成」は物
事が完成すること、つまり人格や能力が高められることを意味します。
「持重」の由来
「持重」は、「重きを持つ」という文字通り、慎重で軽率な行動を避ける態度を指します。
出典：「持重」という表現は、中国の『礼記』や『孫子』などの古典的な教えに通じます。これらの教えでは、軽挙妄動を戒め、慎重に行動することの重要性が強調されています。
意味の背景：「持」は「持つ」という意味で、安定感や責任感を示します。「重」は物事を軽んじず、真剣に受け止める姿勢を意味します。
老成持重を使った例文を紹介
人柄を表す場合
若いながらも彼の態度は老成持重であり、まるで年長者のように頼りがいがある。
彼女は長年の経験を活かし、老成持重な判断でチームを導いた。
老成持重な性格の彼は、どんな緊急事態でも冷静に対応できる。
仕事や組織における評価
部下たちは老成持重なリーダーのもとで安心して仕事に集中している。
彼の老成持重な経営スタイルが、会社の安定成長を支えている。
新しいプロジェクトでは、老成持重な視点を持つ彼女の助言が必要だ。
困難な状況や決断において
緊急会議では、老成持重な発言が場の雰囲気を落ち着かせた。
チームがパニックに陥る中、彼の老成持重な対応が事態を収拾した。
老成持重な判断が求められる局面で、彼は見事に期待に応えた。
教育や育成に関連して
子供たちには、将来老成持重な人間に育ってほしいと願っている。
彼の老成持重な態度は、後輩たちの良い手本となっている。
教師として、老成持重な姿勢で生徒たちの話を真摯に受け止めることが大切だ。
日常会話での応用
「彼、まだ新人だけど、老成持重な雰囲気があって頼りになるよね。」
「そんなに急いで結論を出さないで。老成持重な考え方をしてみたらどう？」
「老成持重な彼女がいれば、この計画も成功する可能性が高いよ。」
まとめ
老成持重（ろうせいじちょう）は、経験を重ねて成熟し、冷静かつ慎重に行動する姿を表す四字熟語です。
「老成」は、知識や経験を積んで人格が成熟し、落ち着きのある状態を指します。
「持重」は、軽率な行動を避け、慎重で安定した態度を保つことを意味します。この言葉は、特に年齢に関係なく、物事に対して深く考え、冷静に対応できる人物を評価する際に使われます。
たとえば、「若いながらも老成持重の態度で難局を乗り切った」や「彼の老成持重な判断がプロジェクト成功の鍵となった」といった形で、成熟した判断力や信頼感を表現するのに適しています。
類義語には「沈着冷静」や「泰然自若」などがありますが、「老成持重」は特に経験を通じた成熟や慎重さを強調します。
また、この四字熟語は、東アジアの儒教思想や古典文学に影響を受けて形成されたとされ、成熟や慎重さが重要とされる社会的価値観を反映しています。