台風は熱帯低気圧の一種で、構造は同じですが、最大風速によって呼び方が異なります。
熱帯低気圧は、亜熱帯や熱帯の海上で発生する低気圧で、主に海からの水蒸気をエネルギー源としています。
発達すると、暴風雨を引き起こします。
北半球の北西太平洋や南シナ海において、中心付近の最大風速が毎秒17.2メートル(34ノット、風力8)以上のものは「台風」と呼ばれ、17.2メートル未満の場合は「熱帯低気圧」とされます。
日本の位置により、毎秒17.2メートル以上に発達した熱帯低気圧は「台風」となりますが、北西太平洋や南シナ海以外で発達した場合は、その位置や風速に応じて「ハリケーン」や「サイクロン」と呼ばれます。
温帯低気圧とは?
温帯低気圧は中緯度地域で形成され、発達するタイプの低気圧です。
北の冷たい空気と南の暖かい空気が混ざり合うことで渦を巻きながら生じます。
低気圧の東側には南からの暖かい空気が流入し、これが温暖前線を形成します。
一方、西側には北からの冷たい空気が入るため、寒冷前線ができます。
台風は北上して中緯度地域に達すると、北からの冷たい空気を取り込むようになり、温帯低気圧へと変化します。
熱帯性低気圧と温帯低気圧の違いとは?
熱帯低気圧(台風)は、暖かい空気だけで成り立っている低気圧です。
暖かい海面から供給された水蒸気が凝結し、雲粒になる際に放出される熱をエネルギー源として発達します。このため、全体として周囲よりも暖かい空気が存在します。
そのため、「前線(異なる性質の空気の境界線)」は存在しません。
一方、温帯低気圧は暖かい空気と冷たい空気から成る低気圧で、温帯低気圧を指します。
暖かい空気と冷たい空気が混ざるため、温帯低気圧には前線があります。
熱帯低気圧が発生する地域に比べ、日本周辺は冷たい空気が広がっています。
この冷たい空気が暖かい空気で構成される台風に入ることで、「温帯低気圧」が形成されるのです。
「台風○号が温帯低気圧に変わった」と書かれている場合は、「前線を持つ低気圧になった」と考えれば良いでしょう。
ただし注意が必要です。「温帯低気圧に変わった」という表現は勢力が弱まった印象を与えますが、「台風」と「温帯低気圧」の区別は「最大風速」ではなく、「構造の変化」に基づいています。
台風と同じくらいの強さのままで温帯低気圧に変わることもあれば、温帯低気圧に変わった後に急速に発達することもあります。また、温帯低気圧になった後でも、中心から離れた場所で強風が吹くことがあります。
まとめ
熱帯性低気圧: 亜熱帯または熱帯地域の海上で発生する低気圧で、最大風速が毎秒17.2メートル未満のものを指します。
台風: 熱帯性低気圧の一種で、北半球の北西太平洋及び南シナ海において、中心付近の最大風速が毎秒17.2メートル以上のものを指します。
熱帯性低気圧は、主に暖かい海面からの水蒸気が供給され、これが凝結する際に放出される熱がエネルギー源になります。
上昇気流が発生し、周囲の空気を巻き込んで発達します。
台風は、熱帯性低気圧がさらに発達し、中心付近の風速が高まることで台風となります。
台風は、エネルギーを海面から吸収し続けることで成長します。
台風と熱帯性低気圧の分類は、最大風速だけでなく、発生地域や構造に基づいています。
そのため、台風が温帯低気圧に変わることはあっても、必ずしもその際に勢力が弱まるわけではありません。