ズワイガニと松葉ガニと越前ガニは同じ種類のカニなのか?

一般的に市場に出回っているカニには、ズワイガニ(または本ズワイガニとも呼ばれる)・オオズワイガニ・ベニズワイガニがあり、そのうちズワイガニ(本ズワイガニ)が最もよく知られています。

松葉ガニや越前ガニは、ズワイガニ(本ズワイガニ)を水揚げした場所によって呼ばれる別名で、種類としてはズワイガニであることに変わりはありません。

松葉ガニは、山陰地方の京都府から島根県の漁港で水揚げされるズワイガニで、越前ガニは、福井県の越前地方の漁港で水揚げされます。

松葉ガニや越前ガニは、ズワイガニの別名として特によく知られていますが、他にも加賀・能登地方で水揚げされる加能ガニや北海道の北海松葉ガニ、山形県の庄内地方で水揚げされるヨシガニなど、様々な別名があります。

最近では、漁港ごとにブランド化を図るため、松葉ガニもさまざまな名前で販売されており、例えば間人ガニや柴山ガニ、津居山ガニ、大善ガニなどがあります。

ズワイガニはオスとメスで大きさにかなりの差があるため、多くの漁港では性別ごとに異なる名前が付けられています。オスには松葉ガニや越前ガニ、香住ガニ、間人ガニなどの名前が付けられ、メスにはメガニやオヤガニ、コッペガニ、コウバコガニ、セコガニ、セイコガニ、クロコなどの名前が付けられます。

なお、「マツバガニ(松葉蟹)」という和名は、ズワイガニ科ではなくオウギガニ科のものですが、一般的にはズワイガニの別名として使用され、「松葉ガニ」と呼べばズワイガニを指すことになります。

ズワイガニとは?

ズワイガニの体色は暗い赤色をしています。その甲は膨らんだ三角形で、鉗脚(第1胸脚)と第5胸脚は短いですが、第2 – 4胸脚は長く、大きなオスの場合、脚を広げると70cmになります。

オスの甲の幅は最大で14cmですが、メスはその半分ほどの大きさです。

メスは性成熟すると産卵、抱卵、幼生放出を繰り返します。

日本で見られる個体では歩脚の長節が長く、亜種 C. opilio elongatus Rathbun, 1924 として分類されることもあります。

「ズワイ」という言葉は、古語の「楚(すわえ、すはえ)」に由来し、細い木の枝を指しています。漢字では「津和井蟹」とも書かれます。

オスとメスの大きさに違いがあるため、多くの漁獲地域ではそれぞれに異なる名前が付けられます。

オスにはエチゼンガニ、マツバガニ、ヨシガニ、タイザガニなどの名前があり、メスにはメスガニ、オヤガニ、コッペガニ、コウバコガニ、セコガニ、セイコガニ、クロコガニなどの名前があります。

この種を記載した “Fabricius” は、動物分類学の基礎を築いたヨハン・クリスチャン・ファブリシウスとは別人のオットー・ファブリシウスです。正確な表記では “O. Fabricius” とされることが多いです。

このカニは日本の山口県以東の日本海や茨城県以東からカナダまでの北太平洋、オホーツク海、ベーリング海に広く分布しています。

水深50 – 1,200mの砂泥底に生息し、水深200 – 600mの深海と水温0 – 3℃の水域を好みます。

食性は雑食で、貝類や多毛類を捕食する他、海底に落ちた魚介類や海洋性哺乳類の死骸、自らの甲羅も食べます。

成熟するまでに約10年かかり、オスは11齢で漁獲許諾サイズの甲羅幅90mmを超えます。最終齢からは約4年間生存します。

産卵期は初産が6 – 7月、経産が2 – 4月です。深海域に生息するため、脱皮や季節移動、寿命などについては詳しく解明されていません。

オホーツク海での調査では、季節によって生息域や水深が変化し、雄雌で生息環境も異なることがわかっています。

松葉ガニとは?

松葉ガニという名は、山陰地方で水揚げされるズワイガニのオスに付けられた呼称です。

同じ日本海側でも、水揚げされる地域によって呼び方が異なり、福井県では「越前ガニ」、石川県では「加能ガニ」と呼ばれます。

その他にも「浜坂産松葉ガニ」、「香住港まつばガニ」、「津居山ガニ」、「柴山ガニ」、「間人(たいざ)ガニ」、「アミノガニ」など、さまざまな名前がありますが、これらすべてがズワイガニのオスに関する呼称です。

こうした多様な呼称が生まれたのは、各漁場が自らのブランドを確立しようとして、独自のブランド名とカラフルなタグを付けるようになった結果です。

地域ごとに漁業に自信を持ちながら、競い合いながら漁を行っている様子が反映されています。

松葉ガニの解禁は毎年11月上旬であり、3月20日まで水揚げが行われます。

一方、ズワイガニのメスは鳥取県では「親ガニ」と呼ばれます。

同様に、水揚げされる地域によって呼び方が異なり、メスガニ、セコガニ、コッペガニ、セイコガニ、香箱ガニ、メガニなど、これらすべてがズワイガニのメスの名称です。

親ガニは、7~8㎝になると成熟し産卵を始めるため、脱皮を行わなくなります。

そのため、それ以上大きくなりません。しかし、小さくて食べるところがないわけではありません。

なぜなら、親ガニの美味しいところは、外子と呼ばれる卵と内子と呼ばれる卵巣にあります。その食感と奥深い味わいを楽しむことができるのは、親ガニやズワイガニのメスだけです。

水揚げが行われるのは、松葉ガニが解禁される11月上旬から12月末のわずかな期間です。

越前ガニとは?

越前ガニとは、福井県の漁港で水揚げされるズワイガニのオスのことです。山陰地方では「松葉ガニ」、石川県では「加能ガニ」とも呼ばれ、それぞれの漁港でブランド名をつけてブランド化されています。

同じズワイガニでも、漁場の環境により味わいが異なりますが、「越前がに」は特に優れた漁場にあります。

そのため、日本で最も古くからカニ漁が行われており、品質も甘くひきしまった肉質で、ズワイガニの中でも最高級のブランドとして知られています。

「越前がに」の証である黄色いタグがついたカニは、越前漁港を中心に、三国港、敦賀港、小浜港などで水揚げされます。

特に、水揚げ量が多い越前町は、福井県随一の漁港として知られています。

福井県の漁港で水揚げされるズワイガニは、オスが「越前がに」、メスが「セイコガニ」と呼ばれます。

「越前がに」の歴史は国内で最も古く、1511年に京都に住んでいた三条西実隆の日記に「越前蟹」という表現が見られます。

また、明治43年12月には越前町から皇室に献上された記録も残っています。

「越前がに」の特徴は、立派で大きな甲羅、長い脚、そして大きな爪です。

その姿はまさに王者のような威厳を持っています。中身は繊細で甘みがあり、身がぎっしり詰まっています。甲羅の中には濃厚なコクのあるカニ味噌もたっぷりと入っています。

ノルウェーのズワイガニとは?

ノルウェーでとれるズワイガニ(ノルウェージャンキングクラブ)は、以下の特徴を持っています。

大きさと見た目: ノルウェーのズワイガニは非常に大きく、甲羅の直径が30cmを超えることもあります。その見た目は迫力があり、大きな爪や太い脚が特徴的です。

肉質と味: 肉質はしっかりとしており、甘みがあります。特に脚の肉はぷりっとしていて美味です。ズワイガニの身は豊かな味わいを持ち、多くの人に愛されています。

産卵: ノルウェーのズワイガニは、特定の季節に産卵します。この時期には漁獲が規制されることもあります。持続可能な漁業を実践するために、適切な管理が行われています。

漁獲地域: ノルウェーでは、主に北極圏の海域でズワイガニが捕獲されます。寒冷な水域で育ったため、身の詰まりや味の濃さが際立っています。

調理法: ノルウェーのズワイガニは、主に茹でたり蒸したりして調理されます。身の味わいを生かすために、シンプルな調理法が好まれますが、バターを添えたり、ソースをつけたりすることもあります。

これらの特徴により、ノルウェー産のズワイガニは世界中で高く評価されています。

アラスカのズワイガニとは?

アラスカでとれるズワイガニ(アラスカキングクラブ)は、以下の特徴を持っています。

大きさと見た目: アラスカのズワイガニは非常に大型で、特に脚が太くて長いのが特徴です。甲羅も大きく、幅広い範囲にわたる模様があります。一般的に、甲羅の直径は25cmを超えることもあります。

肉質と味: 肉質はしっかりとしており、甘みがあります。身の詰まりも良く、ぷりっとした食感があります。ズワイガニの身は豊かな味わいを持ち、多くの人に愛されています。

漁獲地域: アラスカでは、主にビューフォート海、バーリング海、ノートン湾などの水域でズワイガニが捕獲されます。これらの海域は寒冷な気候で知られており、身の詰まりや味の濃さが際立っています。

産卵: アラスカのズワイガニも、特定の季節に産卵します。漁業の持続可能性を確保するために、漁獲が規制されることもあります。

調理法: アラスカのズワイガニは、主に茹でたり蒸したりして調理されます。身の味わいを生かすために、シンプルな調理法が好まれますが、バターやソースと一緒に食べることもあります。

アラスカ産のズワイガニは、その大きさや味わい、品質の高さから、世界中で高く評価されています。

まとめ

ズワイガニは、大型の甲殻類であり、世界中の海域で漁獲される人気の高い食材です。

種類: ズワイガニは、科学的には Paralithodes camtschaticus(アラスカズワイガニ)などの種類が知られています。これらの種類は地域によって異なり、それぞれの漁場で捕獲されます。

特徴: ズワイガニは大型で、特に脚が太く長いのが特徴です。甲羅も大きく、模様や色合いが美しいものが多いです。身はしっかりとしており、ぷりっとした食感と豊かな味わいがあります。また、甲羅の内側には濃厚なカニ味噌が入っています。

漁獲地域: ズワイガニは世界中の海域で漁獲されていますが、特にアラスカ、ノルウェー、カナダなどの寒冷な海域で漁獲されるズワイガニが高い人気を誇ります。

料理: ズワイガニは、茹でたり蒸したりして調理されることが一般的ですが、その他にもカニ鍋やカニ料理の具材として幅広く使用されます。また、カニみそやカニ身を使った寿司やパスタなど、さまざまな料理に活用されます。

持続可能な漁業: ズワイガニの漁獲は持続可能な管理のもと行われており、一般的には適切な規制が設けられています。産卵期や漁獲量の制限などが定められ、資源保護と持続可能な漁業を目指しています。

ズワイガニはその豊かな味わいや特徴的な見た目から、高級食材として広く愛されています。漁獲されたズワイガニは世界中の市場やレストランに供給され、多くの人々に楽しまれています。