「推測」は、日常会話だけでなく、ニュースや仕事の報告書などでも使われる言葉です。
一言で表すと、すでに分かっている事柄を手掛かりにして、まだ分からないことをおしはかるという意味になります。
ただし、「推察」や「推定」などにも似た意味があるため、どの言葉を選べばよいのか迷うことがあります。
推測は不明な事柄について考えるとき、推察は主に人の事情や心情を思いやるとき、推定は根拠から一定の結論や数値を仮に定めるときに適した言葉です。
ここでは、推測の意味と使い方を確認しながら、推察・推定・憶測・予測・予想・考察との違いを例文とともに解説します。
推測とは?意味をわかりやすく解説
推測の読み方と基本的な意味
「推測」は「すいそく」と読みます。
ある事柄を手掛かりにして、分かっていないことを想像し、こうではないかと判断することを意味します。
推測するときには、判断の材料となる情報があります。
ただし、その情報だけで答えが確定するわけではありません。
例えば、外から帰ってきた人の傘がぬれているのを見て、「外では雨が降っているのだろう」と考えることは推測です。
傘がぬれていることが判断の材料になりますが、実際に雨を確認するまでは事実だと断定できません。
推測にはこのように、手掛かりはあるものの確定まではできないという性質があります。
必ずしも統計や数値などの厳密なデータが必要なわけではありません。
目の前の状況、過去の経験、相手の言葉なども推測の材料になります。
推測を使う場面
推測は、原因、理由、意図、現在の状況、過去の出来事、今後の成り行きなどをおしはかる場面で使えます。
未来のことだけを表す言葉ではありません。
例えば、次のような場面が考えられます。
・残された足跡から、人が通った方向を考える
・商品の売上が減った理由を、過去の記録から考える
・返事が来ない理由を、これまでのやり取りから考える
・発掘された道具から、当時の使い方を考える
いずれも、現在分かっている情報から、直接確認できていないことを考えています。
一方で、証拠によって事実が確定している場合は、推測とは呼びません。
推測を使った例文
「推測する」のほかに、「推測される」「推測できる」「推測にすぎない」「推測の域を出ない」といった形でも使われます。
・現場に残された足跡から、侵入経路を推測しました。
・昨年までの傾向を見ると、今年も利用者が増えると推測できます。
・突然予定が変更された理由は、現在のところ推測にすぎません。
・資料が不足しているため、この説明は推測の域を出ません。
・出土した道具の形から、狩猟に使われていたと推測されています。
「推測にすぎない」や「推測の域を出ない」は、確かな事実ではないことを相手に伝える表現です。
仕事の報告や説明で推測を述べる場合は、判断材料と不確かな部分を一緒に示すと、事実との混同を避けやすくなります。
推測と推察の違い
推測は分からない事柄をおしはかる言葉
推測は、分かっている事柄をもとにして、原因や状況などを想像して判断する言葉です。
対象は人の気持ちに限られません。
事件の原因、機械が故障した理由、物の用途、今後の変化など、幅広い事柄に使えます。
例えば、「売上の記録から、利用者が減った原因を推測する」という使い方ができます。
ここでは、売上の記録が手掛かりになっています。
推察は事情や心情を思いやる言葉
推察は「すいさつ」と読み、他人の事情や心の中をおしはかったり、思いやったりすることを意味します。
推測よりも、人の立場や気持ちに意識を向けた場面で使われる傾向があります。
例えば、「突然の知らせを受けたご家族の心情を推察する」という表現では、本人が言葉にしていない気持ちを思いやっています。
「ご多忙のことと推察いたします」のように、相手の状況を気遣う改まった表現としても使われます。
ただし、推察は感情だけに使う言葉ではありません。
「残された記録から、当時の生活の様子が推察される」のように、事情や背景をおしはかる場合にも使用できます。
推測と推察の使い分けと例文
推測と推察は、どちらも分からないことをおしはかる言葉なので、使える範囲が重なる場合があります。
違いを判断するときは、何に重点を置いているかを考えると分かりやすくなります。
・物事の原因や状態を、手掛かりから考える場合は「推測」
・人の事情や心情を思いやりながら考える場合は「推察」
例えば、「表情が暗かった理由を推測する」と表現すれば、理由を客観的に探ろうとする響きがあります。
「表情からつらい心情を推察する」と表現すれば、相手の気持ちを思いやる響きが強くなります。
両者は完全に分けられる言葉ではありませんが、人への気遣いを伝えたい場面では推察の方が適しています。
推測と推定の違い
推定の意味
「推定」は「すいてい」と読みます。
ある事柄をもとにして、こうだろうと判断し、ひとまず結論を定めることです。
日常的にも使われますが、年齢、時刻、数量、距離などのおおよその値を示す場面や、法律・統計などの分野でも使われています。
例えば、「遺跡の築造年代を出土品から推定する」「参加者は約500人と推定される」といった使い方があります。
法律では、反対の証拠が示されるまで、ある事実を真実として扱う意味でも使用されます。
推測と推定は結論を定めるかどうかが異なる
推測は、分からないことについて、こうではないかと考えることに重点があります。
推定は、得られた材料から、数値や事実について一定の結論を仮に定めることに重点があります。
例えば、遺跡から見つかった炭化物について考える場合、「何に使われたものかを推測する」と表現できます。
調査結果をもとに「年代を約2000年前と推定する」とすれば、根拠からおおよその年代を定めたことになります。
推定は数値だけに使う言葉ではありませんが、具体的な値や専門的な判断と結び付くことが多い言葉です。
推測と推定を使った例文
・目撃情報から、逃走した方向を推測しました。
・防犯カメラの時刻から、事件の発生時刻を午後9時ごろと推定しました。
・症状が現れた原因を推測します。
・残された資料から、建物が造られた年代を推定します。
「考えている途中」であることを表したい場合は推測が使いやすく、「現時点での結論」を示したい場合は推定が使いやすいでしょう。
ただし、実際には文脈によってどちらも使える場合があります。
根拠の強さだけで機械的に分けるのではなく、判断の過程と結論のどちらを強調するかで選ぶことが大切です。
推測・推察・推定の違いをまとめて比較
三つの言葉を分けるポイント
推測・推察・推定には、いずれも確定していないことをおしはかるという共通点があります。
それぞれの中心的な意味は、次のように整理できます。
・推測:分かっている事柄をもとに、未知の事柄を想像して判断する
・推察:主に他人の事情や心情をおしはかり、思いやる
・推定:根拠をもとに、数値や事実について一定の結論を仮に定める
例えば、交通事故について考える場合は、次のように使い分けられます。
「路面の跡から事故の原因を推測する」は、原因について考える表現です。
「運転者が当時どのような心理状態だったのかを推察する」は、人の心情に意識を向けています。
「路面の跡から衝突時の速度を推定する」は、根拠から具体的な値を定めようとしています。
三つの言葉は、単純に根拠が弱い順、強い順に並べられるものではありません。
何を対象にして、どのような判断を示したいのかによって使い分けます。
推測と似た言葉の違い
推測と憶測の違い
「憶測」は「おくそく」と読み、自分の考えだけで勝手におしはかることや、当て推量を意味します。
推測は何らかの事柄を判断材料にしますが、憶測は根拠が乏しく、不確かな考えという否定的な意味で使われることが多い言葉です。
「公開された資料から変更の理由を推測する」であれば、資料という手掛かりがあります。
「何の情報もないまま変更の理由について憶測を広める」であれば、確かめられていない考えを勝手に広げていることになります。
相手の発言を批判する意味にもなり得るため、「それは憶測です」と伝えるときは注意が必要です。
推測と予測・予想の違い
「予測」と「予想」は、どちらもこれから起こることを前もって考える言葉です。
推測は過去・現在・未来のいずれにも使えますが、予測と予想は主に未来の出来事を対象にします。
予測は、事の成り行きや結果を前もっておしはかることです。
「過去の気象データから台風の進路を予測する」のように、情報や分析をもとに先の展開を考える場面でよく使われます。
予想は、あらかじめ想像したり、見当を付けたりすることです。
「次の試合の勝者を予想する」のように、データだけでなく、経験や直感を含む場面でも使われます。
ただし、予測と予想は意味の重なる部分が大きく、日常会話では言い換えられる場合もあります。
未来に限らない不明な事柄を考えるなら推測、将来の成り行きを分析するなら予測、将来の結果に見当を付けるなら予想と考えると使い分けやすくなります。
推測と考察の違い
「考察」は、物事を明らかにするために、よく調べて考えを巡らせることです。
推測が分からないことについて仮の答えを考える行為であるのに対し、考察は資料や結果を検討し、意味や原因を深く考える過程を表します。
例えば、実験結果を詳しく検討することは「結果を考察する」と表現します。
その考察の中で、結果が生じた原因について「こうではないか」と考える部分には推測が含まれることがあります。
推測と考察は対立する言葉ではなく、考察を進める過程で推測を用いることもあります。
推測に関するよくある質問
「推察される」とはどのような意味ですか?
「推察される」は、状況や資料などから「そのように考えられる」「そのようにおしはかることができる」という意味で使われます。
「遺構の状態から、建物は火災で失われたと推察される」のように使います。
人を主語にした「先生はどのように推察されますか」のような文では、「される」が尊敬の意味になる場合もあります。
推測はビジネスでも使えますか?
推測はビジネスでも使えます。
ただし、推測を事実のように断定すると誤解につながります。
「現在確認できている数値から、原因は○○だと推測しています」のように、根拠と不確かな点を明らかにすると伝わりやすくなります。
相手の事情や心情への気遣いを示す場合は、「ご多忙のことと推察いたします」など、推察の方が適していることがあります。
推測と憶測は同じ意味ですか?
推測と憶測は、どちらも分からないことをおしはかる点では似ていますが、同じ意味ではありません。
推測は何らかの事柄をもとにして考えることです。
憶測は、十分な根拠がないまま勝手に考えるという否定的な意味を含みます。
推測した内容が正しい場合も推測と呼びますか?
考えた時点で事実が確認されていなければ、結果的に正しかった場合でも、その判断の過程は推測と呼べます。
その後に証拠や確認によって事実が明らかになれば、以後は推測ではなく、確認された事実として扱います。
まとめ
推測は手掛かりから分からないことをおしはかる言葉
推測とは、分かっている事柄をもとにして、まだ分からないことを想像し、こうではないかと判断することです。
推察や推定にも、おしはかるという共通点がありますが、言葉の重点が異なります。
人の事情や心情を思いやる場合は推察、根拠から数値や事実について一定の結論を仮に定める場合は推定が適しています。
また、根拠が乏しい考えを表す憶測、未来の成り行きを考える予測、未来の結果に見当を付ける予想、物事を詳しく調べて考える考察とも意味が異なります。
何をおしはかるのか、どこまで結論を示すのかに注目すると、文脈に合った言葉を選びやすくなるでしょう。


