初めとは、時間的に早い段階や最初、一番目などの意味を表します。英語ではfirstという言葉に相当し、文法的には名詞か副詞として使用されます。
始めは、開始や着手などの意味を持ちます。英語ではstartやbeginningに相当し、動詞の名詞化表現として使用されます。
「初め」と「始め」の使い分けは、これらの別の言葉に置き換えることで理解しやすくなります。
ただし、「仕事はじめ」や「社長をはじめとして」、「はじめから終わりまで」といった表現は、置き換えるのが難しい場合もあります。
「仕事はじめ」は新年の最初の仕事を指し、「年の初め」や「書き初め」といった言葉から、「仕事初め」と書かれることもありますが、正しくは「仕事始め」です。
これは「一年の最初の仕事」ではなく、「一年の仕事の始まり」を意味します。
「社長をはじめとして」は、社長が一番目としてではなく、社長から始まるという意味であるため、「社長を始めとして」と表記します。
「はじめから終わりまで」では、「初め」と「始まり」の両方が使われます。
恋愛に例えると、最初の出会いから別れの瞬間までを指すなら「初めから終わりまで」、付き合い始めから別れるまでなら「始めから終わりまで」となります。
始めとは?
始めとは、開始に近い意味を持つ言葉です。何かを新たに始める時や今から行うことを指し、例えばテストが開始される際に使われる「用意、始め」といった、動詞のような使い方もあります。
始めの対義語は「終わり」です。
何かがうまく始まると、最後までうまくいくという意味の慣用句「始め良ければ終わり良し」があります。
また、「富士山をはじめ日本の山は」といった、代表的なものを例示する場合にも始めが使われます。この場合、ひらがなで表記されることもあります。
始めを使った例文を紹介
例文:「新しいプロジェクトを始める前に、計画を立てることが重要です。」
解説:「始める前に」という部分では、「始める」という行為が将来の出来事を指しています。ここでは、物事を開始する際に計画を立てる必要性を強調しています。
例文:「授業の始めに、生徒たちに自己紹介をさせるのが私の習慣です。」
解説:「授業の始めに」という部分では、時間的な意味での「始め」が使われています。授業が始まる最初の部分を指しています。
例文:「始めは難しく感じるかもしれませんが、練習すれば上達します。」
解説:「始めは」という部分では、「初めの段階」という意味での「始め」が使われています。何か新しいことを始めるときは、最初は難しいことがよくありますが、練習を続けることで上達することができます。
例文:「新年の始まりに、自分の目標を立てることが多いです。」
解説:「新年の始まりに」という部分では、時間的な意味での「始まり」が使われています。「新年の始まり」というのは、新しい年が始まる最初の時点を指しています。
例文:「始める前に必要な準備を整えておくことが成功の鍵です。」
解説:「始める前に」という部分では、「始める」という行為が将来の出来事を指しています。ここでは、何かを始める前に必要な準備を整えることの重要性が述べられています。
これらの例文からわかるように、「始め」は時間的な意味や初めの段階を表すだけでなく、何か新しいことをするという行為そのものも指すことがあります。
初めとは?
初めとは、時間や時期が「早い」ことを表す言葉です。
例えば、「月初」「初めて見た」「文の初めのほう」といった使い方があり、これらは「一番目」「一度目」「冒頭」という意味に近いと言えます。
また、「ものごとを始める際、最初に思い立ったときの気持ちを忘れてはいけない」という意味の「初心忘るべからず」なども、「初め」が使用されています。
挨拶の「はじめまして」も、「初めてお目にかかります」という言葉が語源になっています。
初めを使った例文を紹介
例文:「初めての旅行で緊張しています。」
解説:ここでの「初めて」は、何かを経験するのが初めてであることを表しています。この文では、旅行が初めての経験であり、そのため緊張しているという意味です。
例文:「新しい仕事を始めるのは初めてだから、不安です。」
解説:この文では、「新しい仕事を始めるのは初めて」という意味で「初め」が使われています。仕事を始めるのが初めてであるため、不安な気持ちがあるということを表しています。
例文:「新学期の初めは、やる気が満ち溢れています。」
解説:ここでの「初め」は、時間的な意味での初めを表しています。新しい学期が始まる最初の時点を指し、その時にはやる気が満ち溢れているということを表しています。
例文:「初めは難しいかもしれませんが、慣れれば大丈夫です。」
解説:この文では、「初めは」という部分で、何かを始める最初の段階や初めの時点を指しています。何かを初めて行うときは、最初は難しいかもしれないが、慣れれば大丈夫だという意味です。
例文:「彼の初めの動作は、私たちに笑いを誘いました。」
解説:ここでは「初めの動作」というのは、彼の最初の行動や最初の動きを指しています。その最初の行動が、私たちを笑わせるきっかけとなったということを表しています。
これらの例文からわかるように、「初め」は経験の最初や時間的な初めだけでなく、何かが最初に起こることや最初の行動を指すこともあります。
始めと初めの英語表現の違い
ビジネス英語でも「start」と「beginning」はよく使われる表現です。日本語での使い分けに迷った場合には、英語に置き換えて考えてみると使い分けが分かりやすくなるでしょう。
「始め」の英語は「start」「beginning」などです。
Our project will start next week. (私たちのプロジェクトは来週から始まります。)
We begin a new business. (私たちは新しいビジネスを始めます。)
「初め」の英語は「first」です。
The first man from the right is my father. (1番右の男性が私の父です。)
She is the first engineer to build the machine. (彼女は機械を作った最初のエンジニアです。)
始めと初めは書き間違いが多い表現のため、言葉の意味を確認しておくのがおすすめです。
また、一般的な慣用句を知っていると、とっさの場合に便利です。
特に「始めが肝心」と「何事も最初が肝心です」、「書き初め」と「筆始め」のように、同じような意味でも組み合わせにより表記が異なる場合があるため、注意が必要です。
もし漢字で書く際に迷った場合には、「始め」は「開始」、「初め」は「最初」と置き換えて考えると判断しやすくなります。ぜひ日常のタイミングで活用してみましょう。
まとめ
始めと初めは、見た目や発音が似ているため混同されやすい言葉ですが、それぞれ異なる意味や使い方があります。
始め
意味: 「始め」は、物事の開始や始まりを指します。
使い方:
時間的な始まりや行動の開始を表すときに使います。「プロジェクトの始め」「授業の始め」「始めから終わりまで」など。
動詞の「始める」の名詞形としても使われ、「仕事の始め」「新しいビジネスの始め」などによく見られます。
初め
意味: 「初め」は、何かが初めての経験や最初の段階を指します。
使い方:
初めての経験や最初の出来事を表すときに使います。「初めての旅行」「初めの一歩」「初めの印象」など。
初めの段階や初めの状態を表すときにも使われ、「初めの一歩」「初めのステップ」などによく見られます。
始めと初めは、外見や発音は似ていますが、意味や使い方が異なります。
始めは物事の開始や始まりを指し、時間的な意味や行動の開始を表します。
一方、初めは何かが初めての経験や最初の段階を指し、初めての出来事や初めの状態を表します。文脈に応じて適切に使い分けることが重要です。