秋の澄んだ空に広がる「ひつじ雲」「うろこ雲」「いわし雲」は、見た目がそれぞれヒツジや魚の鱗、イワシの群れに似ていることから、その名で親しまれています。
正式には、ひつじ雲は「高積雲」と呼ばれ、うろこ雲やいわし雲は「巻積雲」に分類される雲です。
うろこ雲といわし雲はどちらも巻積雲の一種で、形の違いによって呼び分けられるにすぎません。
また、「さば雲」も巻積雲の一形態で、サバの背の模様に似た波状の雲を指す言葉です。
高積雲と巻積雲の違いは、主に雲の高さによります。
高積雲(ひつじ雲)は中層の高度2~7kmに発生し、巻積雲(うろこ雲・いわし雲)は上層の5~13kmで形成されます。
このため、地上から見ると、ひつじ雲のほうが塊が大きく、うろこ雲やいわし雲のほうが小さく見えるのです。また、ひつじ雲は厚みがあり光をあまり通しませんが、巻積雲は薄いため光を透過しやすいという違いもあります。
空を見上げると、うろこ雲やいわし雲、さば雲など小さな塊が広がっていることがあり、これらは高度5000~1万5000m程度にできる巻積雲の一種です。
一方、ひつじ雲は高さ2000~7000mにできる高積雲で、形の違いからそう呼ばれています。澄んだ秋の空はこれらの雲が見やすく、季節の風物詩ともなっています。
明確な区分はありませんが、一般的に空に魚のうろこや小石のような模様が並ぶと「うろこ雲」、鰯の群れのような形状は「いわし雲」と呼ばれ、どちらも天候の変化を告げる兆しとされています。
ひつじ雲は、より大きな雲の塊が連なり、厚みのある帯状に広がることがあり、晴れの日によく見られるため、秋の季節語にもなっています。
ひつじ雲とは?
ひつじ雲は、正式には「高積雲(こうせきうん)」と呼ばれ、空に浮かぶ丸い白い塊が羊の群れのように見えることから、この名前がつけられました。
ひつじ雲は中層にできる雲で、主に高度2~7kmあたりに発生します。秋に特によく見られ、晴れた日の青空に白い雲が広がる様子が特徴的です。
ひつじ雲は厚みがあり、太陽の光をあまり通さないため、他の高い位置にできる雲よりも影がくっきりと見えやすくなります。
また、ひとつひとつの雲の塊が大きめなのも特徴です。うろこ雲やいわし雲とよく似ていますが、これらは上空5~13kmあたりに発生する「巻積雲」で、ひつじ雲よりも雲の塊が小さく、薄いため光が透けやすくなっています。
天気の変わり目に現れることが多いことから、ひつじ雲が見られると「近いうちに雨が降る」とも言われることがあり、昔から天候の予兆としても注目されてきました。
うろこ雲とは?
うろこ雲は、正式には「巻積雲(けんせきうん)」と呼ばれる雲の一種です。細かい白い雲のかたまりが空いっぱいに広がり、その様子が魚のうろこに似ていることから「うろこ雲」と呼ばれています。
秋の澄んだ空によく見られ、晴れた日に白い模様が空一面に並ぶ美しい景色を作り出します。
うろこ雲は高度5~13kmの上層に発生し、ひつじ雲(高積雲)よりも薄く、光を通しやすいのが特徴です。
よく似た「いわし雲」や「さば雲」も巻積雲で、見た目の違いによって呼び分けられています。空に浮かぶ小さな模様が連なっている様子から、古くから「うろこ雲が出ると天気が崩れる」とされ、天気の変わり目を知らせる雲とされています。
特に台風や低気圧が近づく時期に見られることが多く、秋の季語としても親しまれています。
いわし雲とは?
いわし雲は、「巻積雲(けんせきうん)」と呼ばれる雲の一種で、空に浮かぶ小さな白い雲のかたまりが、まるでイワシの群れが広がるように見えることから「いわし雲」と名付けられました。
主に秋に見られ、空に模様のように広がる様子が特徴です。
この雲は高度5~13kmの上層に発生し、他の雲に比べて薄く、太陽光が透けやすいため、晴れた日には明るく繊細な模様が浮かびます。同じ巻積雲に分類される「うろこ雲」や「さば雲」も、見た目が魚のうろこやサバの背に似ていることからそのように呼ばれていますが、いわし雲も同じく、形の違いで呼び分けられるものです。
いわし雲は「天気の変わり目を知らせる雲」とも言われ、現れるとその数日以内に天候が崩れる兆しとされています。特に、台風や低気圧が接近する前などに現れやすく、秋の風物詩としても知られています。また、空に浮かぶ小さな白い塊が整然と並ぶその美しさから、秋の季語としても親しまれています。
まとめ
「ひつじ雲」「うろこ雲」「いわし雲」は、見た目や発生する高さに違いがあり、以下のように区別されています。
ひつじ雲(高積雲)
正式名:高積雲(こうせきうん)
特徴:丸い雲の塊が広がり、その様子が羊の群れに似ていることから「ひつじ雲」と呼ばれます。
発生する高さ:中層(高度約2~7km)
雲の厚み:比較的厚みがあり、光をあまり通さないため、影が濃く見えます。
見え方:一つ一つの雲の塊が大きく、やや密度が高い感じに見えることが多いです。
うろこ雲(巻積雲)
正式名:巻積雲(けんせきうん)
特徴:魚の鱗のように見えるため「うろこ雲」と呼ばれます。空に小さな雲が並んで広がり、細かい模様が目立ちます。
発生する高さ:上層(高度約5~13km)
雲の厚み:薄く、光が通りやすいため、明るく柔らかな印象です。
見え方:細かく小さな雲が密に広がり、空を覆うように見えることが多いです。
いわし雲(巻積雲)
正式名:巻積雲(けんせきうん)
特徴:イワシの群れのように見えることから「いわし雲」と呼ばれます。細かい模様が並んで広がり、うろこ雲と非常に似ています。
発生する高さ:上層(高度約5~13km)
雲の厚み:うろこ雲と同様に薄く、光をよく通します。
見え方:うろこ雲とほとんど同じですが、イワシの群れのような広がりに見えるため「いわし雲」とも呼ばれます。
違いのポイント
高さ:ひつじ雲は中層(2~7km)に発生し、うろこ雲やいわし雲は上層(5~13km)に発生します。
見た目と呼び分け:ひつじ雲は大きな雲の塊が羊の群れのように見え、うろこ雲・いわし雲は小さな雲が細かく並び、魚の鱗やイワシの群れのように見えるのが特徴です。
厚みと光の透過:ひつじ雲は厚みがあり光を通しにくいのに対し、うろこ雲・いわし雲は薄く、光が透けやすいのも違いです。
いずれも秋の空で見られることが多く、天気の変化を知らせる雲として親しまれています。