島根県の郷土料理ドジョウのけんちんじるとは?

島根県東部地域(安来市など)に伝わるドジョウの食文化について、安来市では、昔からドジョウを使った料理が親しまれてきた。

古くから伝わる民謡「安来節」では、ユーモラスな振り付けでドジョウをすくう「どじょうすくい」の所作が知られる。

これは砂鉄精選の作業場での作業を取り入れたものとされるが、実際のドジョウは川魚ではなく土壌であったという。

安来節以前から、安来市ではドジョウ食文化が根付いており、江戸時代末期には地元の産物として記録されるほど身近な存在であった。

戦後には養殖が始まり、現在は田んぼで育てた「青空ドジョウ」が主流となっている。ドジョウ料理は様々だが、「ドジョウのけんちん汁」は特に人気がある。

ドジョウの旬は初夏であり、産卵期には脂がのって美味しいとされる。夏には出荷のピークを迎えるが、かつては田植え後の「泥落とし」の際に食べられていた。

現在は一般家庭ではあまり見られないが、飲食店で提供されることが多い。

ドジョウ料理は味噌仕立てやすまし汁などで食べられる。

炒めた後にお湯を注ぎ、出汁を加えるのが一般的であり、季節の根菜やしいたけ、豆腐などを加えても良い。砂糖を入れると味が引き立つ。

調理の際には、ドジョウが鍋の中で暴れることがあるため、事前に日本酒を注いだ鍋に入れておくと扱いやすくなる。

ドジョウの継承には、地元の保存会やSNSの活用、商品化などの取り組みがある。

地元有志の飲食店では、ドジョウを使ったカレー寿司やオムライスなどのご当地グルメが提供されている。

ドジョウのけんちん汁のレシピと材料

ドジョウのけんちん汁の材料(4人分)

小さいドジョウ:18匹
木綿豆腐:1/2丁
里芋:3個
大根:1/10本
人参:1/4本
こんにゃく:1個
ごぼう:20g
出汁:600cc
塩:少々
淡口醤油:60cc
みりん:60cc
砂糖:大さじ3
しょうがの絞り汁:少々
油:適量

ドジョウのけんちん汁の作り方

1:豆腐は2cm角に切り、里芋、大根、こんにゃくは一口大に切る。

2:ごぼうはささがきにして、水につけてアクを取る。野菜全体を油で炒め、馴染んできたら豆腐を加え、出汁を注ぐ。

3:野菜が火が通ったら、ドジョウを加え、調味料を加えて一煮立ちさせる。

4:仕上げに、笹切りした白ねぎや青ねぎを散らす。

※地域や家庭によってレシピは異なる場合があります。

ドジョウについて紹介

ドジョウは淡水魚の一種で、コイ目ドジョウ科に分類されます。

日本全国の平野部にある水田や湿地、農業用水路、そして泥底の小川などに生息しています。

中国大陸、台湾、朝鮮半島にも分布し、東アジア地域では食用としても養殖が盛んに行われています。

「どじょう」という日本語は、広義にはドジョウ科全体を指し、英語では一般的に「ローチ(loach)」と呼ばれます。

ここでは、特にM. anguillicaudatusという種に焦点を当てています。また、ドジョウ科、フクドジョウ科、アユモドキ科の3つの科を含む「どじょう」全体を指すこともあります。

ドジョウの特徴は、細長い円筒形で、体長は8〜20cmです。口髭が5対あり、第2口髭の長さは眼径の2〜3倍です。体色は茶褐色で、背部には不明瞭な斑紋があります。

ドジョウは雑食性で、ユスリカの幼虫やイトミミズを主に摂食します。

主に用水路や田んぼに生息し、冬になると泥の中で冬眠を始めます。ドジョウは腸呼吸も行いますが、これだけでは十分な酸素を得ることができず、通常はえらで呼吸します。

繁殖期は5〜8月で、高水温の湿地や田んぼに移動して産卵します。メスは何度も産卵し、卵は粘着性があります。ふ化後、ドジョウは積極的に採食し始めます。

ドジョウはかつては日常料理として使用されていました。

大ぶりのものは柳川鍋やどぜう鍋にされ、唐揚げや天ぷらでも食べられます。特に東京近辺では好まれており、国産のものは高級食材として扱われます。

ただし、生食は有棘顎口虫の中間宿主となるため危険です。

けんちん汁について紹介

けんちん汁は、大根や人参、ゴボウ、里芋、こんにゃく、豆腐を胡麻油で炒め、出汁を加えて煮込み、醤油で味付けしたすまし汁です。

この料理は本来精進料理であり、肉や魚は使わず、出汁には鰹節や煮干しではなく、昆布や椎茸から取ったものを使用します。

けんちん汁の語源には、鎌倉市の建長寺の修行僧が作っていた「建長汁」が関連しているという説があります。このため、建長寺の入り口にある「点心庵」では、建長寺公認とされるけんちん汁が提供されています。

関連する料理としては、精進料理では味噌仕立てのものを「国清汁」と呼びます。

また、江戸時代の料理書には「真のけんちん」「草のけんちん」などのバリエーションが記されています。けんちん汁そのものは次第に廃れましたが、中身のもやしと豆腐の炒め物は様々な料理に応用されました。

まとめ

ドジョウのけんちん汁は、日本の郷土料理の一つであり、ドジョウを主要な食材として使用した伝統的な料理です。

主な材料には、ドジョウ、大根、人参、ゴボウ、こんにゃく、豆腐などが含まれます。

胡麻油で野菜を炒め、出汁を加えて煮込みます。調味料として醤油や砂糖も使われます。

ドジョウのけんちん汁に関連した料理に精進料理があり、そこでは、けんちん汁を味噌仕立てにしたものを「国清汁」と呼びます。

江戸時代の料理書には、けんちんのバリエーションが記されていますが、けんちん汁そのものは次第に廃れました。

けんちん汁そのものは各地域で独自のアレンジがあります。たとえば、茨城県では蕎麦にけんちん汁をかけたり、新潟県ではキノコや秋野菜を入れた「けんちょん汁」という汁物があり島根県のドジョウのけんちん汁も独自のアレンジになります。

ドジョウのけんちん汁は、古くからの日本の食文化の一部であり、地域ごとに愛され、伝統が受け継がれています。

ドジョウのけんちん汁は、地域の風土や文化を反映した日本の伝統的な料理の一つであり、多くの人々に親しまれています。