アゴの子旨煮の伝承地域は島根県の隠岐地方になります。アゴの子旨煮の主な材料はトビウオの卵(アゴの子)です。
島根県の象徴であるトビウオは、5月中旬から回遊し始め、初夏を告げる魚として知られています。
島根では、ホソトビウオとツクシトビウオの2種類が取れ、これらは総称して「アゴ」と呼ばれています。
古くから地元の食文化に根付いており、田植えの時期には「田植え魚」としても親しまれていました。
農作業を手伝う人々にトビウオ料理を振る舞う習慣があり、「アゴがないと田植えができない」と言われたほどです。
トビウオの料理には刺身やフライなど多様なものがありますが、特に「アゴの子」は珍味として人気です。
アゴの子は粒が大きく、皮がやや固めで、ねっとりとした食感が特徴です。この独特な風味を好む地元民は多く、酒の肴としても重宝されています。
アゴの子は、初夏に子持ちのトビウオが水揚げされる時期にしか手に入らないため、地元では貴重な食材とされています。
トビウオの身を使用するかまぼこ屋などの加工業者が取り除いた魚卵を販売することもあります。
アゴの子はそのまま、出汁、みりん、酒、濃口醤油などで炒め煮にするシンプルな料理が一般的です。
おつまみとしてはしっかり味付けし、しょうがを加えると魚卵特有の風味が抑えられます。また、味噌漬けにして焼くのも美味しいです。
子持ちトビウオが出回る季節になると、スーパーマーケットや鮮魚店でアゴの子が販売されます。
また、地元の居酒屋などでもアゴの子を使った料理が提供され、地域の食文化として継承されています。
アゴの子旨煮のレシピと材料
アゴの子旨煮の材料(4人分)
アゴの子: 8個
しょうが: 適量
水: 150ml
醤油: 大さじ3
みりん: 大さじ3
酒: 小さじ1
砂糖: 小さじ1
アゴの子旨煮の作り方
1:鍋に水、薄切りにしたしょうが、調味料を入れて沸騰させ、アゴの子を加えて中火で約5分煮ます。
2:器に盛り付け、針しょうがを飾っていただきます。
※レシピは地域や家庭によって異なることがあります。
トビウオの卵は全国的には何とと呼ばれているの?
「とびっこ」はトビウオの卵で、トビウオは「アゴだし」で有名です。このトビウオの卵に味付けしたものが「とびっこ」として知られています。
とびっこはイクラよりも小さく、数の子よりも大きい粒で、プチプチとした食感が特徴です。
この食感は、比較的固い皮を持つ魚卵だからこそ楽しめるものです。粒の大きさは1mmから2mm程度で、噛むたびに弾けるような歯ごたえがあります。
この独特の食感は他の魚卵にはない魅力です。また、とびっこは有精卵である点も珍しいです。
「とびっこ」の他に「とびらん」や「とびこ」とも呼ばれて販売されています。
現在では全国のお寿司屋さんでも見かけることができますが、その人気の火付け役は北海道です。
北海道で販売され始めて以来、人気は衰えることなく、現在でも北海道の消費量が最も多いです。
まとめ
アゴの子旨煮は、島根県を代表する郷土料理の一つです。以下にその特徴や由来、食べ方などをまとめます。
特徴
主な材料はトビウオの卵であり、「アゴの子」と呼ばれます。
アゴの子は他の魚卵と異なり、粒が大きく皮がやや固めで、ねっとりとした食感があります。
独特の風味とプチプチした食感があり、地元民に親しまれています。
由来
島根県ではトビウオが初夏に回遊してくるため、「初夏を告げる魚」として親しまれています。
アゴの子はトビウオの卵であり、古くから日常食として親しまれ、田植えの時期には特に重宝されていました。
食べ方
アゴの子を出汁やみりん、酒、醤油などで炒め煮にして食べます。
しっかり味付けし、しょうがを加えると風味が引き立ちます。
味噌漬けにして焼いても美味しくいただけます。
地域での普及
地元の鮮魚店やスーパーマーケットで手に入ります。
地元の飲食店や居酒屋でも提供され、地域の食文化として親しまれています。
アゴの子旨煮は、島根県の豊かな海の恵みを生かした風味豊かな料理であり、地元の人々に愛される伝統的な味です。