鳥取県の郷土料理がんちゃ汁とは?

がんちゃ汁の主な伝承地域は鳥取県全域になります。主な使用食材は、川ガニ、なすになります。

がんちゃ汁は、鳥取県の清流で捕れる川ガニを使用した料理です。

鳥取県ではモクズガニを「川ガニ」と呼び、モクズガニは海で生まれてから川で育ち、再び海に戻って産卵します。

古くから川ガニやエガニ、ツガニなどの様々な呼び名で親しまれてきたカニで、オスの方が大きく、甲幅は約80mmになります。

ハサミ脚や歩脚に細かい毛が生えており、これが「藻くず」に見えるため、この名前がついています。

現在ではミキサーを使って調理しますが、昔は生きた川ガニを石臼でつぶし、粉々にした後、こして水と加熱していました。

この際、身が凝固してふわふわの塊が汁に浮かび、そのふわふわした部分にカニの旨味が凝縮されています。「がんちゃ汁」はモクズガニの風味を存分に楽しめる料理です。

川ガニが旬を迎える秋から冬にかけて楽しまれます。

特にメスの内子(卵巣)は珍味として評価され、夏の終わりから秋にかけて内子を持ち始めるメスは、チュウゴクモクズガニ(上海ガニ)に匹敵するほどの高値で取引されることがあります。内子が少ないため、貴重な食材です。

カニは甲羅を外し、ミキサーで水と一緒に砕いてドロドロにします。これをざるでこし、なすと水を鍋に入れて火にかけます。

沸騰したら、醤油や酒を加え、小口切りにしたねぎを入れて火を止めます。味付けは味噌だけでも美味しく、豆腐を加えても良いでしょう。

カニ味噌は濃厚で美味しく、味噌汁などに入れると優れた出汁が出ます。ただし、肺吸虫という寄生虫が存在するため、必ず加熱してから食べてください。

がんちゃ汁のレシピと材料

材料(5人分)

川ガニ(モクズガニ):250g
なす:中1個
水:2と1/2カップ
醤油:大さじ3弱
酒:大さじ1/2
ねぎ:適量

作り方

1:カニの甲羅を外し、身の部分のハカマ(ふんどし)を取り除き、黒い部分もきれいにします。

2:ミキサーに水(1/2カップ程度)とカニを入れ、滑らかになるまで砕きます。

3:砕いたカニをざるでこし、さらに少量の水を加えながらこして、殻を取り除きます。

4:なすは皮をむかずに食べやすい大きさに細長く切ります。

5:カニ汁と切ったなす、残りの水を鍋に入れて火にかけます。沸騰したら、醤油と酒を加え、小口切りのねぎを入れて火を止めます。

※レシピは地域や家庭によって異なる場合があります。

モクズガニとは?

モクズガニ(学名:Eriocheir japonica)は、エビ目(十脚目)・カニ下目・イワガニ科に分類されるカニの一種で、食用として知られる「上海蟹」(チュウゴクモクズガニ)の同属異種です。日本各地の内水面漁業で重要な漁獲対象とされています。

学名については、一般向けの書物や分類学以外の学術雑誌では「Eriocheir japonicus」が使われることもありますが、20世紀末頃から甲殻類の分類学者の間では「japonica」が正式な種名とされています。

学名の属名と種名の性一致の原則が決められていますが、属名「Eriocheir」が古代ギリシア語に由来し性が不明とされたため、ラテン語の原則が適用されず、男性形「japonicus」と女性形「japonica」で混乱が見られました。しかし、古代ギリシア語にも性があり、「Eriocheir」は女性とされています。

信頼されている国際学術誌『Journal of Crustacean Biology』や『Crustaceana』では「japonica」が使われており、日本甲殻類学会でも「japonica」を採用しているため、これに従うのが望ましいとされています。

日本では、モクズガニには地域ごとに様々な別名があります。例えば、千葉県習志野市では「モクゾウガニ」、静岡県伊豆地方では「ズガニ」、長崎県では「ツガニ」や「ツガネ」、宮崎県日南市では「ヤマタロウ」や「山太郎ガニ」、徳島県貞光町では「カワガニ」や「ケガニ」、「ヒゲガニ」、徳島県阿南市では「ガンチ」、広島市では「毛ガニ」と呼ばれることがあります。

モクズガニは主に関東地方で「モクズガニ」と呼ばれ、西日本では「ツガニ」や「ズガニ」と呼ばれることが多いです。第二次世界大戦前には「モクヅガニ」と表記されていましたが、「モズクガニ」は誤りです。

まとめ

がんちゃ汁は、鳥取県で伝統的に作られる川ガニを使用したスープ料理です。川ガニ(モクズガニ)を主な食材としており、その旨味を生かした料理です。

がんちゃ汁は鳥取県の清流で捕れる川ガニを使用し、古くから親しまれてきた料理です。昔は生のカニを石臼でつぶしてから調理していましたが、現在はミキサーを使用して調理します。ふわふわのカニの身が浮かぶスープが特徴で、カニの旨味が凝縮されています。

川ガニが旬の秋から冬にかけて食べられます。特にメスの内子(卵巣)は珍味とされ、高値で取引されることもあります。

カニ味噌には寄生虫(肺吸虫)が含まれる可能性があるため、必ず加熱してから食べることが推奨されます。