くじらご飯の伝承地域は島根県の石見地方(浜田市、益田市など)になります。主な食材は、くじらの皮、米、大根、ごぼう、しいたけなどになります。
「海のジビエ」や「マリンビーフ」とも称されるくじらは、栄養価が高く滋味に富む食材です。
身の霜降り部分や柔らかくてクセのない赤身部分、そして脂肪の多い本皮など、さまざまな部位が珍味として楽しまれています。
そのため、炊き込みごはんや冬野菜と一緒にすき焼き風にしたり(地元では「へか」と呼ばれます)、油をしっかり抜いて酢味噌和えにしたりと、様々な料理が作られています。
油抜きをする際には、薄切りにしたくじらを熱湯に入れて油を取り除きますが、火を消して行うのがポイントです。
「くじらご飯」の調理では、まずくじらの皮に熱湯をかけて余分な油を落とします。
油を落としたら、細かく刻んだくじらと大根やごぼう、しいたけなどを炒め、醤油で味付けします。
これを炊きたてのごはんに混ぜれば完成です。他にも、くじらと野菜類を一緒に炊き込んで食べる方法もあります。
冷凍のくじらを家庭で調理する際には、自然解凍させるのが良いでしょう。火の通りが早いため、調理の際には過熱には気をつけてください。
くじらの保存や継承については、近年ではスーパーマーケットや直売所の鮮魚コーナーでの販売や、食育の一環として教育機関での郷土料理作り体験などが行われています。
くじらご飯のレシピと材料
材料(4人分)
米 2合
白くじら 100g
ごぼう 50g
人参 50g
大根 50g
こんにゃく 50g
醤油 大さじ1
酒 大さじ1
塩 小さじ1/2
くじら飯の作り方
1:くじらを短冊状に切り、熱湯で洗って余分な油を落とす。
2:ごぼうをささがきにし、水にさらし、こんにゃくと人参を細かく切り、大根を短冊状に切る。
3:鍋に洗った米と同量の水、1と2、調味料を加えて炊く。
4:炊き上がったらざっくり混ぜる。
※レシピは地域や家庭によって異なる場合があります。
クジラの特徴
クジラは、哺乳類のクジラ目または鯨偶蹄目の鯨凹歯類に属する水生動物の総称です。形態的には、ハクジラとヒゲクジラに大別されます。
ハクジラの中には、比較的小型(成体の体長が5メートル前後以下)の種もあり、これらは一般にイルカと呼ばれ、クジラとは区別されます。
クジラの生理学的特徴
クジラはエコーロケーションと呼ばれる超音波を使って情報を知覚し、周囲の環境を確認し、獲物を捕らえるのに役立てます。
群れの中でのコミュニケーションも、エコーロケーションによって行われると考えられています。
クジラは完全な水生動物であり、摂食から出産・育児まで全てを水中で行います。
睡眠も水中で取りますが、研究によれば、右脳と左脳を交互に休ませる睡眠をとるため、泳ぎながら溺れることなく、長時間水中で活動できます。
クジラは海水と体液の浸透圧の差により水分を失いますが、水を直接飲むことはありません。
代わりに、餌から得られる水分を利用します。また、クジラは濃い尿を濾過する能力があり、水分の消失を抑えながら余分な塩分を排泄します。
クジラは皮膚が乾燥に弱く、自重による内臓の圧迫から陸上での生活はほとんど不可能です。しかし、クジラは陸生哺乳類と同様に、鼻孔を持ち、肺で空気を呼吸します。
体温は外部の海水の温度に左右されず、一定であり、ほとんどの魚とは異なり、温血動物です。通常、一子が母体内で成長し、出生後は母乳で養育されます。
クジラの食物消費量について
日本鯨類研究所による計算によれば、世界中の鯨類(クジラ・イルカ・シャチ)が消費する餌の量は、魚、イカ、甲殻類などを合わせて、2.5〜4.3億トンと推定されています。
これは、1996年当時の世界の人間が消費した魚の量(9千万トン)の3倍〜5倍に相当します。鯨の過剰増加によって海洋の生物資源が減少しており、捕鯨が海洋生態系の保全に役立つとの意見もあります。
クジラの消費するバイオマス量に関しては、捕獲に賛成する立場と反対する立場からの説明がありますが、捕鯨に対する意見は一様ではありません。
試算には捕鯨対象外の種も含まれており、実際にIWCで管理されているのはわずか13種にすぎません。世界中の鯨の食べる餌は種によって異なり、漁業と競合しないものもありますが、直接競合するものはわずかに20%程度です。
クジラの利用は、食用に適さない場合でも、リン酸資源や鯨油として利用することがあります。
しかし、深海棲のハクジラ類は資源として利用されていないにもかかわらず、その数は多いです。これは、鯨油の需要が少なく、経済的価値が低いためです。
捕鯨の海洋生態系への影響は、まだ明確ではありません。現在の群集生態学によれば、生態系は単純な食物連鎖ではなく、複雑な食物網の関係にあります。
極端な資源管理はバイオマスのバランスを崩す可能性があります。最近では、生態系モデルが開発され、クジラと漁業の競合関係を調査する研究が行われています。
まとめ
くじら飯は、島根県など一部の地域で伝統的に食べられている郷土料理の一つです。以下にくじら飯に関する要点をまとめます。
起源と地域: くじら飯は、島根県の浜田市や益田市など、石見地方で古くから食べられてきた料理です。これらの地域は漁業が盛んで、くじらを利用した食文化が発展しました。
材料と調理方法: くじらの皮を主な材料とし、他に米や大根、ごぼう、しいたけなどが使われます。くじらの皮を熱湯で下処理し、油を落とした後、野菜と一緒に炊き込みご飯にします。味付けには醤油などが用いられます。
食べ方と食べごろ: くじら飯は冬の家庭の食卓に並ぶことが一般的で、節分に特に食べられます。くじらの油が冷えた体を温める効果があるため、寒い季節にぴったりの料理です。
栄養価と特徴: くじらは「海のジビエ」と称され、栄養価が高く滋味に富んでいます。身には豊富なタンパク質が含まれており、炊き込みご飯として食べられることで、その栄養価を享受することができます。
保存・継承: くじら飯は伝統的な料理として受け継がれてきました。近年では、地域の保存会や食育の一環として、くじら飯の調理体験などが行われています。
意見の分かれる点: 一部では捕鯨によって海洋生物資源の保全に役立つとの意見もありますが、捕鯨の是非については賛否両論があります。
くじら飯は地域の文化や歴史を感じさせる料理であり、その独特の風味と栄養価が人々に親しまれています。