もぶりの主な伝承地域は、広島県大竹市、呉市になります。主な使用食材として、米、にんじん、ごぼう、れんこん、干ししいたけ、油揚げ、さやいんげん、黒豆などがあります。
「もぶり」という名称は、広島の方言で「混ぜる」を意味する「もぶる」に由来します。地域によっては「もぶりご飯」や「もぐり飯」と呼ばれることもあります。
この料理は、炊いたご飯に干ししいたけ、ごぼう、にんじん、黒豆、さやいんげんなどの具材を混ぜ合わせたもので、エビや魚、貝などを加えることもあります。
また、黒豆の代わりにうずら豆など他の豆を使う場合もあります。具材の種類や調理方法は地域や季節によって異なり、農作業中の簡単な食事として、または祝い事や法事の際のごちそうとして親しまれてきました。
大竹市では、弘法大師の命日や春秋のお彼岸の会食で食べられることがあり、寄り合いや建前の際には大きな丸いおむすびにして近所に配られることもあります。
また、愛媛県には「もぶり酢」と呼ばれる料理がありますが、こちらは甘い酢飯に季節の魚を盛り付けたちらし寿司の一種で、広島の「もぶり」とは異なります。
同様の名前の料理は高知県宿毛市にも存在し、こちらは煮込んだ野菜をご飯に混ぜ、岩のりを添えるスタイルです。
「もぶり」は農作業の合間に栄養を補う手軽な食事として、また祝い事や人が集まる場で欠かせない料理として一年を通じて作られます。
具材を奇数に揃えることで縁起を担ぐ習慣もあり、家を新築した際や特別なお祝いの際には、丸い大きなおむすびを作り地域の人々に振る舞うこともあります。
干ししいたけを戻して千切りにし、れんこんやごぼう、にんじんなどの野菜と一緒にだし汁で煮込みます。
砂糖やしょうゆで味を整えた後、煮汁を切って冷まし、炊きたてのご飯と混ぜ合わせます。仕上げに黒豆やさやいんげんを加えると彩りがよくなります。
地域や季節により具材は変化し、魚介類やこんにゃく、さといもなどを使ったアレンジも見られます。県立大竹高等学校の家庭クラブでは、菊芋を取り入れたレシピも考案されています。
現在では家庭で作られる機会が減少していますが、地域の飲食店で提供されているほか、給食で提供されたり、市民団体による調理指導が行われたりしています。
また、商工会議所のイベントや地域のPR活動を通じて、地元の食文化を広める努力が続けられています。
もぶりの作り方と必要な材料
材料(4人分)
米:3カップ
塩:小さじ1弱
にんじん:60g
ごぼう:60g
干ししいたけ:3枚
油揚げ:1枚
黒豆(煮豆):100g
さやいんげん:20g
調味料
砂糖:大さじ1.5
しょうゆ:大さじ2
酒:大さじ1
作り方
1:米を炊く
米を洗い、水に浸して塩を加え、炊飯する。さやいんげんは軽くゆでて細かく切っておく。
2:材料の下ごしらえ
にんじんは細切りに、ごぼうはささがきにして水にさらす。干ししいたけは水で戻して細切りにし、油揚げは湯通しして同じく細切りにする。
3:具材を煮る
戻したしいたけの漬け汁とだし汁を使い、ごぼう、しいたけ、油揚げを調味料で煮る。具材がやわらかくなったら、にんじんを加えてさらに煮込む。
4:ご飯と具を混ぜる
炊きあがったご飯を少し冷まし、煮た具材の汁を切って混ぜ合わせる。
5:仕上げ
黒豆を加え、最後にさやいんげんを散らして完成。
まとめ
ぶりは、広島県を中心とした地域で伝承される郷土料理で、炊き込みご飯の一種です。その名前は、広島の方言で「混ぜる」を意味する「もぶる」に由来するとされ、地域によっては「もぶりご飯」や「もぐり飯」と呼ばれることもあります。
特徴と歴史
もぶりは、炊いたご飯に野菜や豆類などの具材を混ぜ込んだ料理で、農作業の合間やお祝いごと、法事など幅広い場面で親しまれてきました。
主な材料には、にんじん、ごぼう、れんこん、干ししいたけ、油揚げ、黒豆、さやいんげんなどが使われます。季節や地域によりエビや魚介類、こんにゃく、ちくわなどが加えられることもあります。
大竹市では弘法大師の命日や春秋の彼岸の際に振る舞われたり、家を新築した際には大きな丸いおむすびにして地域住民に配られる習慣がありました。
具材を奇数にすることで縁起が良いとされ、祝いの席では欠かせない料理となっています。
干ししいたけやごぼうなどを調味料とともに煮て、ご飯に混ぜ込むことで作られます。黒豆やさやいんげんが彩りを添え、素材の風味が引き立つ素朴な味わいが特徴です。
現在では家庭で作られることが少なくなってきましたが、地元の飲食店や学校給食で提供されるほか、地域のイベントや料理教室を通じて保存・継承の努力が続けられています。
また、商工会議所などのPR活動を通じて、地域外にもその魅力が発信されています。
もぶりは、地元の風土や文化が色濃く反映された料理であり、広島県民にとって懐かしい味わいを提供するだけでなく、地域のつながりを象徴する存在でもあります。