角寿司の主な伝承地域は、広島県の広島市、北広島町、安芸高田市など、広島県の北部地域で主に作られています。主な材料は、米、しめさば、卵、かまぼこ、しいたけ、栗、山椒の葉、人参の葉、干しえび、でんぶなどが使われています。
四角い木製の型に酢飯と具材を詰めて作る押し寿司で、広島市安佐北区やその周辺地域で親しまれている。
型から押し出すと、6~8個の同じ形の寿司が出来上がることから、四角い形状を特徴として「角寿司」と呼ばれるようになった。「押し寿司」や「田舎寿司」という別名でも知られている。
具材は「上置き」と「中具」に分けられる。「上置き」は寿司の表面を飾る具材で、しめさば、薄焼き卵、しいたけ、松茸、かまぼこ、栗、干しえびなど色鮮やかな食材が使用される。
一方、「中具」は酢飯の中に隠れる具材で、人参、しいたけ、ごぼう、豆などを少し濃い味付けで煮込んで用意するのが特徴。酢飯を進めると中から現れる濃厚な味わいが楽しめる工夫が施されている。
また、具材を調理することで、時間が経っても美味しさが損なわれにくい。昭和30年代には多くの家庭で専用の木型が使われ、祝い事や来客時のごちそうとして振る舞われることが一般的だった。さらに、多めに作って隣近所に分け合う風習も見られた。
正月や花見、盆、秋祭りなどの年中行事のほか、婚礼や葬儀など家で行う儀式の際に作られてきた。現在では作る機会は減ったものの、家庭や地域のイベントで引き続き楽しまれている。
四角い木型に酢飯を詰め、煮込んだ野菜類を中具として入れる。その上にしめさばや薄焼き卵、しいたけ、栗などを飾り付ける。型から押し出すと、均一な四角形の寿司が出来上がる。
地域の飲食店や直売所で販売されるほか、郷土料理教室などで作り方が伝えられている。北広島町では、地元の文化を学ぶ場として活用されており、伝統を次世代に引き継ぐ努力が続けられている。
角寿司の材料とレシピ
材料(4人分)
ごはん:3カップ
【合わせ酢】酢:大さじ4
【合わせ酢】砂糖:大さじ2
【合わせ酢】塩:小さじ1
しめさば:適量
薄焼き卵:適量
かまぼこ:適量
しいたけ:適量
甘く煮た栗:適量
松茸:適量
煮豆:適量
でんぶ:適量
にんじんの葉:適量
作り方
1:炊きたてのごはんに【合わせ酢】を加え、全体が均一になるよう混ぜて寿司飯を作ります。
2:寿司飯を木枠に詰め、一層目を作ります。上にしめさばや薄焼き卵、しいたけなどの具材を飾り、彩りよく仕上げます。
3:必要に応じて、寿司飯の中に煮た野菜や煮豆を加え、アクセントをつけるとより美味しく仕上がります。
4:木枠を使って押し固め、四角い形に整えたら完成です。
まとめ
角寿司は、広島県北部を中心に伝わる伝統的な押し寿司の一種です。その特徴は四角い形状で、専用の木型を使って酢飯と具材を詰めて作ります。
具材は、寿司の上部を飾る「上置き」と、酢飯の中に隠れる「中具」の二層構成です。
「上置き」には、しめさば、薄焼き卵、しいたけ、かまぼこ、でんぶ、栗など、彩り豊かな食材を使い、「中具」には、にんじん、しいたけ、ごぼうなどを煮たものを入れます。酢飯の酸味と具材の濃厚な味付けの調和が特徴で、見た目にも華やかな一品です。
角寿司は、かつて正月や祭り、冠婚葬祭など特別な日によく作られていました。多めに作って隣近所に配る文化もあったほど、地域の絆を象徴する料理でもあります。現在では家庭で作る機会は減りましたが、郷土料理として地元の教室や飲食店で継承されています。四角い形の中に詰まった歴史と味わいが魅力です。