鳥取県の郷土料理栃餅とは?

栃餅の主な伝承地域は鳥取県の八頭郡、鳥取市河原町、三朝町になります。主な食材は、もち米、栃の実です。

栃の実はアクが強く、そのまま食べると非常に苦味があり、舌にピリピリとした痛みを感じることがあります。

古代の知恵によって、栃の実を美味しく食べる方法が開発され、縄文時代から食されていたと考えられています。

昔、米がほとんど収穫できなかった山村では、貴重な食材の一つでした。栃の実は秋になると茶褐色に熟し、栗に似た丸い形で、直径3~4cmに成長します。

収穫時期は10月から11月で、栃の実にはカリウム、銅、マンガン、サポニン、タンニンなどの栄養成分が豊富に含まれています。

地域の家庭では、お正月の雑煮用に「栃餅」を作り、食べる習慣があります。

栃の実のアクを抜き、渋味を取り除いた後、もち米と一緒に蒸してつき、丸めて餅として食べます。

もち米だけで作った餅よりも粘りが少なく、独特の渋味と苦味が感じられる素朴な味わいです。小豆汁に入れると、おしることして楽しむこともできます。

栃の実のアク抜きは日本独自の技術で、半月以上かかる高度な技術が必要です。

そのため、現在では家庭で作ることは少なく、アク抜き済みの栃の実を購入して雑煮用の栃餅を作ることが一般的です。

また、和菓子店では鳥取のお土産品として、あん入りの栃餅が販売されています。

栃餅の作り方と材料

材料(40~55個分)

もち米:1~1.5升
栃の実:500g

【アク抜き用】栃の実:1升
【アク抜き用】木灰(樫やくぬぎなどの堅木):1~2升

作り方

1:下準備(皮むき前) 栃の実を桶に入れ、たっぷりの熱湯を注いで3日間放置し、実を膨らませます。

2:下準備(皮むき) 鍋で湯を沸かし、栃の実を入れて保温しながら、伝統的な2枚板の「トチムキ」などで皮をむきます。

3:下準備(川ざらし) 栃の実を網袋に入れ、谷川の流れで5〜6日間水にさらして川ざらしを行います。

4:下準備(アク抜き) 栃の実を桶に入れ、熱湯をかけてよく混ぜて温め、その後湯を捨てます。栃の実1升に対して灰1〜2升を加え、熱湯を注いで混ぜます。桶にナイロンで蓋をして2日間置き、古毛布などで包んで保温します。この間、最初は1時間ごとに棒でよく混ぜます(3〜4回程度)。

5:アク抜きの確認 栃の実を噛んでみて、舌にピリッと刺す感じがあればアク抜きが成功しています。3粒ほどを蒸すか煮るか焼き、指でつぶして硬い芯が残っていればアク抜きが不完全です。少量で団子を作り、味や色を確認します(色が薄いなどの場合はアク抜きが不完全です)。

6:アク抜きが不完全な場合 桶の灰を洗い流し、再度灰を入れて熱湯を注ぎ、アク抜きの工程をやり直します。アクが抜けていたら、よく洗って灰を落とします。

7:もち米の準備 もち米を洗い、8〜24時間水に浸けます(気温が高い時は短く、低い時は長めに)。

8:水切り 蒸す1時間前に米をざるに上げて水を切ります。

9:蒸し作業 アク抜きした栃の実ともち米を一緒に蒸します。冷凍のものは事前に自然解凍しておきます。

10:蒸し時間 蒸気が上がってから30分ほど蒸します。

11:搗き作業 米粒がなくなり、もち肌になるまで搗きます。

12:丸める 1.5升のもち米で50gのサイズに丸め、約55個に分けます。

※レシピは地域や家庭によって異なる場合があります。

栃餅について紹介

栃餅(とちもち)は、栃の実を灰汁抜きし、もち米と一緒に蒸してからつき上げて作る餅です。もち米だけの餅とは異なり、黄土色や茶色がかった色合いで、粘り気が少なく独特の苦みや渋みがあります。

かつては米の収穫が難しかった山村で貴重な食糧として重宝され、縄文時代から食べられてきたとされています。

現在では、日本全国の土産物としても販売されており、砂糖をつけたり、餡に絡めたり、塩茶漬けとして楽しむなど、さまざまな食べ方があります。

栃の実のアクを抜いて食べるのは、日本だけの独特な方法で、アク抜きには半月以上の時間と高度な技術が必要です。

アク抜きに使用する灰の質や温度管理によって、味わいが大きく変わることがあります。最近では、あらかじめアク抜きされた栃の実も販売されています。

まとめ

栃餅(とちもち)は、日本の伝統的な餅の一種で、主に鳥取県などの地域で作られています。この餅の特徴や作り方について詳しく紹介します。

栃餅の特徴

原材料:栃餅は、栃の実(トチノキの実)ともち米を使って作られます。栃の実は、アクが強く、そのままでは非常に苦味があるため、特別な手順でアクを抜く必要があります。

見た目:もち米だけで作る餅とは異なり、栃餅は黄土色や茶色がかった色合いで、粘り気が少なく、独特の苦味や渋みがあります。

歴史と文化

栃餅は古くから食べられており、米の収穫が難しかった山村では重要な食糧の一つでした。縄文時代から食べられていたとされ、現在では日本全国の土産物としても販売されています。

栃の実のアク抜きは、日本独自の技術であり、半月以上の時間と高度な技術が必要とされます。

現代の取り組み

商品化:あらかじめアク抜きされた栃の実が販売されており、家庭での手間を省くことができます。

土産物:地域の特産品として、和菓子店などで販売されており、旅行のお土産として人気です。

栃餅はその独特の風味と製法で、日本の伝統的な食文化を代表する一品です。