製品と商品の言葉の違い

商品は商売で使用される物品であり、販売や取引の対象となる物品を指します。製品は製造された物品であり、原材料から加工されてできた物品を指します。

簿記会計においても、商品は加工されずに直接販売される物品を指し、製品は加工されてから販売される物品を指します。

例えば、自社の工場で生産し販売するメーカーの場合、同じ物品であっても、工場で製造された段階では製品となり、市場で販売される段階では商品となります。

他社製品を仕入れて販売する場合も、仕入れ先の他社工場での段階では「他社製品」と呼ばれ、仕入れてから販売する段階では「自社商品」と呼ばれます。

また、「財テク商品」や「保険商品」といったサービスに関しても、「商品」の表現が用いられます。

商品と製品の意味の違い

商品と製品には、会計とマーケティングの観点からの意味の差があります。

会計の文脈では、商品は仕入れて販売する対象物であり、製品は製造して販売する対象物を指します。マーケティングにおいては、商品は売れることを前提とした品物を指し、製品は製造された品物を指します。

企業が何かを製造する際には、通常、その製品を売ることを意図していますが、製造されたものは商品と製品」分類されます。

これらの意味の違いは、「製品が顧客が求めるものを製造したのか、それとも企業が単に売りたいものを製造したのか」という点にあります。

大きな違いは、「商品」が顧客中心であり、顧客の需要に基づいているという視点です。一方で、「製品」は企業が自社中心であり、企業が提供したいものを中心に考えられています。

両者の意味が一致し、「顧客が求め、かつ企業も売りたいもの」という場合もありますが、多くの企業が「新商品を開発したが売れない」という悩みを抱えている場合、それは「製品」が開発されていると言えるでしょう。

製品が顧客のニーズから生まれず、むしろ企業のニーズから生まれた場合、それは商品ではなく製品となります。製品の発案者である社長は、製品が開発されたことに満足しても、顧客が引かれないことに不満を抱く可能性があります。

会計における製品と商品の使い分け

販売目的の品物に対する製品と商品の簿記会計での使い分けは、どちらも販売目的の品物を指します。販売目的ではないものは、製品と商品とは呼ばれません。

例えば、洋服を購入した場合、以下のように使い分けが行われます。

加工せずにそのまま転売したもの → 商品
加工してから販売したもの → 製品

簿記会計では、次のように定義されます。

商品: 加工せずにそのまま販売するもの
製品: 加工してから販売するもの

商品と製品の違いは、単純に「販売できる状態になっているかどうか」だけです。

メーカーの場合、製品は販売できる状態になっておらず、工場で製造された直後の状態を指します。一方で商品は、販売できる状態になっており、店頭で販売される状態を指します。

仕入れ業者の場合、製品は販売できる状態になっておらず、他社の倉庫にある状態を指します。商品は販売できる状態になっており、自社の倉庫または店舗にある状態を指します。

マーケティングにおける製品と商品の使い分け

商品は商取引の対象となる品物であり、商売を行う上で顧客に提供し、対価を受け取る対象です。製品は製造された品物であり、工場やソフトウェアなどで制作され、自らが製造して他者に販売される品物です。

製品は商品の一部を構成しており、例えば工場で製造された品物を工場長が紹介する際には、「わが社の製品」と言っても、「わが社の商品」と紹介しても言語としての違いはありません。

社内では自社内で開発したソフトを製品と呼び、仕入れたソフトや販売する機械類などを商品と区別することもあります。

従って、自社制作したものを含め、全てを「わが社の商品」と呼んでおくことが語義的に問題ないと言えます。

商品を英語で表すと?

商品に対する英語表現はいくつかあります。以下にそのラインナップを見てみましょう。

Product
Goods
Item
Merchandise
Commodity

これらの単語はすべて商品という意味で使われますが、微妙にニュアンスが異なります。将来的にビジネスで英語を使いたい場合は、これらの違いを理解しておくと良いでしょう。

Product

Productは一般的に「商品」として使われる単語で、ビジネスシーンでもよく見られます。フォーマルな場面で使いたいときに向いていますが、一般的なカジュアルなシーンでも使用可能です。

辞書に引くと製品とも書かれているので日本語訳は製品でも問題ないと思いますが、日本語での商品や製品の違いを考えると、店頭に並んでいるものでもproductとして扱われることが特徴です。

Goods

Goodsは消費者視点での商品や品物を指します。POPなどで見かけることがあり、一般的には複数形のgoodsが使われます。ビジネスやカジュアルなシーンで消費者が商品を指す際に使います。

Item

Itemは商品や品物の意味を持つ単語で、単数形と複数形の両方で使用されます。使いやすさがあり、カジュアルなシーンで広く使われることが特徴です。

Merchandise

Merchandiseはフォーマルな場面でよく使われ、主にビジネスシーンで登場します。会社間の売買取引における「商品」を指すことがあります。消費者が直接使うよりも、取引や契約の文脈で使われることが一般的です。

Commodity

Commodityは商品や農産物、鉱産物を指す単語で、原価に関連した文脈で使用されることがあります。複数形のcommoditiesが一般的で、上級レベルのビジネス英語でよく見られます。

これらの単語を理解し、使い分けられるようにすると、ビジネスシーンや英会話でより適切な表現ができるでしょう。

まとめ

製品と商品の主な違いをまとめてみます。

製品と商品の定義

製品(Product): 製造や生産の過程を経て作られた物品で、原材料や加工を経て完成したものを指します。製品は製造者によって直接販売されることがあります。

商品(Goods): 販売対象となる物品全般を指し、製品も含まれます。商品は消費者に提供され、商業活動において交換価値を持つものです。

製品と商品の製造と販売の過程

製品は製造段階を経て、製造者が所有している段階を指します。販売段階になると、製品は商品として扱われます。

商品は販売対象となり、顧客に提供される段階を指します。商品は製品としての特性を持ちながらも、市場での取引や消費者への提供が重要です。

製品と商品の言葉の意味

製品は製造者や製造プロセスに焦点を当てる用語で、製品開発や製品品質といった文脈でよく使用されます。

商品は販売と消費者に焦点を当てる用語で、小売業やマーケティングなどで頻繁に使用されます。

製品と商品の所有権と取引

製品は製造者や製造工場が所有し、取引が行われない限りは製造者の管理下にあります。
商品は販売可能な状態で、取引が行われ、所有権が変わることで顧客や小売業者の所有に移ります。

製品と商品の市場における位置づけ

製品は製造者の視点から市場に投入され、需要や競争などが考慮された上で商品として提供されます。

商品は市場で需要に応じて販売され、価格や広告などが商品戦略に影響を与えます。

総じて言えるのは、製品は生産段階での物品を指し、それが市場で販売されて初めて商品となります。商品は市場経済において消費者との関係を持つ対象であり、製品が商品に変わる過程は販売活動によって成り立っています。

また、商品と製品は、いくつかの共通点を共有しています。以下に、商品と製品の主な共通点をまとめてみます。

物理的な存在

どちらも物理的な存在であり、形や構造を持つ物品を指します。これらは視覚的、触覚的、あるいは他の感覚を通じて認識できるものです。

商業的な価値

商品も製品も商業的な価値を持ち、市場で取引が可能です。これらは需要と供給に基づいて価値が生まれ、通常は価格が付けられています。

生産段階

どちらも製造または生産の段階を経て市場に供給されます。製品は製造の過程で作られ、その後商品として市場に投入されます。

消費者対象

商品も製品も、最終的には消費者や企業などの顧客に提供されます。製品が商品に変わる瞬間は、市場での取引や販売が行われるときです。

需要と供給

どちらも市場において需要と供給の法則に従います。需要があると供給が行われ、需要がなければ供給も行われません。

商業的な取引

商品も製品も商業的な取引の対象であり、金銭や他の価値と引き換えに取引が成立します。これによって企業は収益を上げ、顧客は必要な物品を入手します。

品質の重要性

どちらも品質が重要です。顧客が求める品質や性能に応じて評価され、市場で競争力を維持するために品質向上が求められます。

市場戦略

商品も製品も市場戦略が必要です。価格戦略、販売促進、広告などの要素が組み合わさり、競争力を維持し、市場での存在感を確立します。

これらの共通点からも分かるように、商品と製品は商業活動において密接に結びついており、市場における役割や特性において共通する側面が多く存在しています。