幼稚園と保育園と保育所と託児所の違いとは?なにが一番違うの?

幼稚園は、学校教育法に基づく一つの学校であり、その管理は文部科学省が行っています。この施設は、3歳から小学校に入学するまでの幼児を対象としており、教育者は都道府県の教育委員会が発行する「幼稚園教諭」の資格を持つ必要があります。

保育園は児童福祉法に基づく施設で、厚生労働省が所管しています。法的には保育所が正式名称であり、保育園は通称とされていますが、施設の広さによって保育園、保育所や公立と私立などが呼び分けられることもあります。

この施設は、保護者が理由により乳幼児を保育できない場合に対応し、そのためには国家資格である保育士資格が必要です。

保育園や保育所といった名称に対する法的な制約は存在せず、認可を受けていない施設も存在します。

これらの施設は、認可を受けていないにも関わらず保育所(保育園)と名乗ることがあります。

託児所は乳幼児を預かり、保育する施設であり、一時的に預かる場所から、保育所と同様に継続的に預かる施設まで様々です。

無認可の保育施設の中には、保育所や保育園の名称を使用する場合も見られます。

また、幼稚園と保育所の施設や運営を一元化しようとする動きもあり、2006年から導入された認定こども園の制度が、教育と保育を総合的に提供するために存在しています。

幼稚園と保育園の費用の違いについて紹介

子どもの年齢によって、幼稚園と保育園の利用料が異なります。2019年10月からは、3歳児クラスからの利用料が「幼児教育・保育の無償化」により無償となりました。

ただし、保育園の0歳児~2歳児クラスの利用料は、市区町村ごとに保護者の所得やきょうだいの状況に応じて定められています。

「子ども・子育て支援新制度」の対象外となる一部の幼稚園では、利用料と入園料(月割)が月額2万5,700円まで無償で、超える部分は保護者負担となります。

具体的な対象は市区町村で公表されています。また、2歳児から受け入れの幼稚園では、子どもが満3歳児になると無償になります。保育園は3歳児クラスからが無償です。

費用の詳細は?

保育園の場合、0歳児~2歳児クラスの利用料は、所得に応じた段階的な設定があります。

国の水準に基づいているため、生活保護世帯は0円から始まり、上限は自治体によって異なりますが最大で10万4,000円です。

2人目の子どもは半額、3人目以降は無償となる場合もあります。

ただし、3歳児クラス以上では利用料以外の給食費やその他費用は原則保護者の負担ですが、自治体によっては支援がある場合もあります。

幼稚園の場合、文部科学省による「子供の学習費調査」によれば、幼稚園への支払額は2018年度には公立が約14万円、私立が約36万2,000円でしたが、2021年度には公立が約7万5,000円、私立が約16万5,000円に半減しています。

さらにかかる費用として、保育園では給食費がありますが、3歳児クラス以上では実費がかかります。

イベント費用や保護者会費、お昼寝用の寝具や体操服、通園バッグ、紙おむつの処理費用なども発生する場合があります。

同様に、幼稚園では送迎バス代、給食費、教材費、制服代、バッグ代、行事費、保護者会費などがかかります。また、一部の幼稚園では習い事を提供しており、その費用も別途発生しますが、預かり保育の代わりに利用する保護者もいるようです。

保育園と幼稚園は学力に違いが出るのか?

将来的な学力において、保育園と幼稚園で差が生まれるのでしょうか? 幼稚園には教育に熱心なイメージがありますが、保育園は就労中の子どもが過ごす場であり、家庭的な雰囲気が広がります。同じ年齢の子どもが通うこれらの施設で、学力にどのような違いが生まれるのでしょうか。

まず、前提として、保育園は子どもの保育を行う福祉施設であり、幼稚園は小学校入学前の教育を目的とした施設です。

管轄も異なり、保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省が担当しています。

幼稚園は一般的に小学校での学習を想定したプログラムを導入することが多く、一方で保育園は生活や遊びを通じて学ぶことを重視しています。

ただし、近年は「幼保一元化」の動きもあり、施設ごとに異なる教育方針や理念が存在します。

例えば、一部の幼稚園は「自然との触れ合い」や「自由な遊びからの学び」を重視しています。

同様に、保育園でも国語や算数、英会話などの勉強時間を設けるところが増えています。

要するに、施設の種類よりも、個々の園の教育方針や子どもに合った環境が重要です。入園前に見学や説明会に参加し、家庭の考え方や子どもに合うかを確認することが大切です。

学力差に影響するポイントとして、子どもののびのびとした過ごし方や親子の関わりが挙げられます。

文部科学省が2010年に発表した「幼稚園卒の子どもは保育園卒の子どもよりも成績が高い」という結果がありますが、これについては親の所得格差よりもしつけスタイルや親子の関わり方が影響を与えていることが示唆されています。

追跡研究によれば、親子で絵本を読んだり共有型のしつけを行う家庭の子どもが高得点であり、経済的な格差よりも親子の関わりが重要だとされています。

また、遊びの時間が長い保育園・幼稚園出身の子どもは言葉の発達が良いことが示されています。

保育所と保育園の違いについて

結論から話すと、保育所と保育園には保育施設としての本質的な違いは存在しません。

児童福祉法では正式名称を保育所としていますが、施設の開設において保育所または保育園のどちらの名称を使用するかについて法律上の規定はありません。

保育所は保護者が様々な理由で日中の保育が難しい場合に、児童の代わりに保育する施設とされています。

特に認可保育所は、

保育士等の職員の数
保育時間
施設面積
給食設備
防災管理
衛生管理

など、国が定めた基準を満たし、都道府県知事から認可を受けた施設となります。

そのため、保育所、保育園という名称の違いはあっても、同様の保育サービスを受けることができ、公費によって運営されているため保育料にも差がありません。

地域や世代によって、保育園が公立であり、保育所が私立とされることや、施設面積によって呼び分けられることもありますが、法律上の取り扱いは同一です。

また、法律上では「認可外保育所が保育所と名乗ってはいけない」といった規定は存在しません。

そのため、認可外であっても保育所と名乗ることができます。認可外保育所には自治体が審査を行っていないため、保護者が直接手続きを行う必要がありますが、独自性のある保育サービスを提供する場合があります。

認可外保育所では、英会話やリトミック、スポーツなど、独自の教育やサービスを受けることができます。

認可保育所では得られない特長的なサービスが可能であり、認可を受けないことで保育所の独自性を維持している例もあります。

そのため、一概に「認可保育所が良い」「認可外保育所は悪い」と判断することはできません。

託児所と保育園の違いとは?

託児所と保育園はどちらも子どもを預かる施設であり、保育士が働く代表的な場所でもあります。下記に託児所と保育園の違いをまとめました。

託児所

所轄官庁: なし
対象年齢: 託児所によって異なる
保育時間: 託児所によって異なる
開設条件: 乳幼児を1日1人以上預かる場合、自治体への届け出が必要(対象外あり)
目的: 一時的に保護者から子どもを預かる

保育園

所轄官庁: 厚生労働省
対象年齢: 0~6歳
保育時間: 保育園に準ずる
開設条件: 厚生労働省の定めた内容に沿う
目的: 保育を必要とする子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図る

法的な違い

保育園は児童福祉法に基づいて、「保育所」として厳格な定義がされています。所轄官庁や対象年齢、開設条件が規定され、託児所よりも厳密な運営が求められています。

認可保育園では入所のために審査を受け、結果待ちが必要ですが、託児所は事業形態によっては、当日に利用が可能な場合もあります。この点が2つの施設の大きな違いです。

また、幼稚園は3歳児以上からの通園が一般的ですが、託児所は0歳児から6歳児まで広く対象としています。幼稚園が教育を目的とするのに対し、託児所は生活全般や遊びのサポートが主な目的とされています。

ただし、託児所も一部施設では英語や音楽教育を導入している場合があり、同様の方針を取り入れる施設も存在します。

まとめ

幼稚園、保育園、保育所、託児所の主な違いを以下にまとめます。

幼稚園(Youchien)

所管機関: 文部科学省
対象年齢: 通常、3歳以上から小学校入学前まで
教育目的: 基本的に教育機関であり、遊びを通じた学びや社会性の向上が目的。
資格: 幼稚園教諭の免許が必要。

保育園(Hojokuen)

所管機関: 厚生労働省
対象年齢: 通常、0歳から小学校入学前まで
保育目的: 保育機関であり、生活全般や遊びを通じてのケアと、子どもの健全な発達が目的。
資格: 保育士資格が必要。

保育所(Hojosho)

所管機関: 厚生労働省
対象年齢: 通常、0歳から小学校入学前まで
保育目的: 保護者が労働や疾病などで保育できない際に、一時的に子どもを預かり保育する機関。
資格: 保育士資格が必要。

託児所(Takujosho)

所管機関: 特に所管機関はなく、施設により異なる。
対象年齢: 施設によって異なる。
預かり目的: 一時的に保護者が子どもを預ける施設で、特定の目的や事情に基づいて運営されることがある。
資格: 通常、特定の資格は必要ない。運営にあたっての基準は施設により異なる。

これらの施設はそれぞれ異なる法的基準や教育・保育の目的を持っており、資格や所管機関も異なります。選択する際には、子どもや家庭のニーズに合わせて適切な施設を選ぶことが重要です。

また、幼稚園、保育園、保育所、託児所の共通点もまとめました。

子どもの預かり施設

これらの施設はいずれも子どもたちを預かり、保護者が仕事などで子育てが難しいときにサポートを提供します。

乳幼児から小学校入学前までの対象

幼稚園、保育園、保育所、託児所は、基本的に0歳から小学校入学前までの子どもを対象としています。

教育・保育の目的

これらの施設は、子どもたちの健全な成長や発達を支援することを目的としています。ただし、そのアプローチやカリキュラムは施設ごとに異なります。

専門職の存在

保育士や幼稚園教諭など、子どもたちのケアや教育に関する専門職が配置されています。

保護者の労働支援

これらの施設は、保護者が仕事に従事する際に子どもたちを預かり、保育や教育を提供することで、労働と子育てを両立させる支援をしています。

施設の種類や名称の違い

これらの施設は、名称や法的な扱いが異なりますが、その目的や役割においては、子どもたちのケアと成長支援が共通しています。

安全管理と衛生管理

これらの施設は、子どもたちの安全と健康を確保するために、様々な安全管理や衛生管理の基準に従って運営されます。

社会性の向上

幼稚園や保育園などは、子どもたちが集団での生活を経験し、社会性の向上やコミュニケーション能力の発達を促進します。

これらの共通点を踏まえつつ、施設ごとの特徴や違いを理解し、子どもと家庭のニーズに適した選択をすることが重要です。