島根県の郷土料理スズキの奉書焼きとは?

スズキの奉書焼きの主な伝承地域は松江市で、主な使用食材はスズキになります。

松江市にある宍道湖は、約1万年前にできたとされています。

その広さは、東西に約17km、南北に約6km、周囲は47kmあり、国内7番目の大きさです。

風光明媚な湖面から、「日本百景」にも選ばれました。宍道湖は海水と淡水が混ざり合う汽水湖であり、水域や季節によって海水の割合が異なります。

この特異な環境が、地元料理の味を育んできました。スズキは、ヤマトシジミ、アマサギ(ワカサギ)、シラウオ、モロゲエビ(ヨシエビ)、コイ、うなぎと共に、宍道湖を代表する魚介類「宍道湖七珍」として有名です。

スズキは成長過程でコセイゴ、セイゴ、チューハンと名前が変わりますが、古事記の出雲神話「国譲り」では、大和朝廷との和合した祝宴に出雲から大きなスズキが献上されたと言われています。

江戸時代から繁栄した松江市の名物料理である「スズキの奉書焼き」は、漁師がたき火の灰で蒸し焼きにしたスズキを、松江藩七代藩主の松平治郷が奉書(楮を原料にする和紙)に包んで差し上げたことから始まったとされています。

宍道湖のスズキの旬は秋から初冬です。

宍道湖が荒れはじめるとスズキは中海へと向かい、そこで回遊を行います。この時期のカミナリを地域では「スズキおとし」とも呼びます。

回遊後、スズキは宍道湖に戻り産卵し、身が肥え脂がのり、食べごろになります。「スズキの奉書焼き」は今でも会合や祝宴などの特別な日に食べられます。

身に傷をつけないようにエラからワタを取り除きます。

身に塩を振りかけ、奉書に包みます。奉書は酒と水で濡らし、蒸し焼きにすると香りが増します。また、奉書は油を吸収するため、身の脂っこさがなくなります。

もみじおろしや醤油、すだちを添えて食べます。焼いた奉書から広がる香ばしい香りが口の中に広がります。他にも、スズキはムニエルや揚げ物、吸い物などでも楽しめます。

家庭での調理は少なく、松江市内の飲食店や料亭で提供されていますが、予約が必要な場合があります。

宍道湖七珍料理の一つとして、島根県立大学短期大学部健康栄養学科の学生が調理実習を通じて学んでいます。

スズキの奉書焼きの調理法と材料

スズキの奉書焼きの材料(4人分)

スズキ 1本
和紙の奉書用紙
塩 適量

スズキの奉書焼きの作り方

1:スズキのうろことエラを取り除く。

2:つぼ抜きを使って内臓を取り出し、ニガタマだけを取り除いて再度戻す。

3:スズキ全体に塩を振りかける。

4:奉書用紙を水に濡らし、スズキを2〜3枚重ねて包む。

5:天火で蒸し焼きにする。

※ レシピ提供元: 島根県食生活改善推進協議会

※ レシピは地域や家庭によって異なる場合があります。

奉書焼きとは?

奉書焼きは、日本で行われる魚の調理法の一つです。

この料理では、魚介類やキノコ類を奉書紙で包んで、天火で蒸し焼きにします。適度な蒸し焼きにすることで、焼き汁が逃げないのが特徴です。

特に島根県松江市では、「スズキの奉書焼き」として知られています。これは、スズキを奉書紙で包んで蒸し焼きにする料理で、地元の郷土料理の一つです。

一般的には家庭で作られることは少なく、主に飲食店や料亭で提供され、特別な場で食べられます。

島根県の宍道湖は海水と淡水が混ざり合う汽水湖であり、古事記の国譲りでも出雲から大和朝廷にスズキが献上された歴史があります。

また、松江市は江戸時代には松江藩の城下町として栄えていました。

スズキの奉書焼きは、漁師が灰で蒸し焼きにしていたところ、松江藩七代藩主の松平治郷が要望した際、灰が付いたままではお粗末と考えられ、奉書紙に包んで献上されたことが始まりとされています。

この料理は、松江市の料亭「臨水亭」の2代目が復活させたといわれています。

宍道湖のスズキは、秋から初冬にかけて回遊を行い、産卵のために宍道湖に戻ってきます。その際の身が肥えて脂がのっている時期が旬とされています。

まとめ

スズキの奉書焼きは、日本の郷土料理の一つであり、特に島根県松江市で知られています。

この料理では、スズキを奉書紙で包み、天火で蒸し焼きにします。スズキのうろことエラを取り除いた後、塩を振りかけ、奉書紙で包むことで、スズキの風味を引き立たせつつ、適度な蒸し焼きの状態を保ちます。

奉書焼きの利点の一つは、焼き汁が逃げないことであり、スズキの旨味を閉じ込めることができます。

この料理の起源は、松江藩七代藩主の松平治郷(不昧公)が、漁師が灰で蒸し焼きにしたスズキを灰がついたままではお粗末として、奉書紙に包んで献上されたことに始まります。

以降、松江藩主の御用の折の料理として親しまれ、庶民の間でも長らく口にされることはありませんでした。

宍道湖のスズキは、秋から初冬にかけて回遊を行い、産卵のために宍道湖に戻ってきます。

その際の身が肥えて脂がのっている時期が旬とされ、奉書焼きに最適な状態となります。この料理は、特別な日や祝宴の際に提供され、松江市内の飲食店や料亭で味わうことができます。