鶏口となるも牛後となるなかれの意味と由来を紹介

このことわざは、大きな組織に入って末端の立場に甘んじるよりも、小さな組織でリーダーになることの方が望ましいという教訓を含んでいます。

このことわざは中国の故事に由来し、就職活動や転職を考える人々に向けて、よくアドバイスやエールとして用いられています。

鶏口牛後の四字熟語は同じ意味

四字熟語の「鶏口牛後」は、「鶏口となるも牛後となるなかれ」と同じ意味を持っています。どちらも同じ由来を持つ言葉であり、「鶏口牛後」を簡潔に表現したのが「鶏口となるも牛後となるなかれ」です。

この表現には逆の意味を持つバリエーションもあり、「鶏口となるよりも牛後となれ」という使い方もあります。

この言葉は、将来性の高いがリスクのある仕事を選ぶか、安定性の高いがリスクの低い仕事を選ぶかという考え方の違いから生まれたバリエーションを示しています。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」の由来は中国の歴史書『史記』の「蘇秦列伝」にあります。中国戦国時代、強国であった秦に対抗するため、学者の蘇秦が韓の恵宣王に説いた言葉、「寧為鶏口、無為牛後」が基になっています。

この言葉の真意は、秦に従属することなく独立した国家としての韓を維持し、周囲の国々と協力して秦に対抗すべきであるというものです。恵宣王が蘇秦の助言に従ったことで、秦の侵攻を15年間防ぎ、平和を保つことができました。

史記の蘇秦列伝とは?

史記の「蘇秦列伝」は、中国の歴史書『史記』の中で、戦国時代の政治家であり外交家でもあった蘇秦の伝記です。以下にその概要を詳しく説明します。

蘇秦は紀元前4世紀に活躍した中国戦国時代の人物で、現在の河南省商丘市出身とされています。

彼は「合縦策」と呼ばれる外交戦略を提唱し、諸国が連携して強国秦に対抗することを主張しました。その中心的な思想が、「鶏口となるも牛後となるなかれ」という言葉で表現されています。

彼は韓国の恵宣王に対して、秦に屈するのではなく独立した立場で存在し、他の国々と連携して秦に対抗することの重要性を説きました。この助言に従った恵宣王は、秦の侵攻を防ぎ、一時的ながらも戦国時代の一定の平和をもたらしました。

蘇秦はその後も外交や政治で活躍し、様々な国で重要な役割を果たしましたが、後に敵対する他国の策略によって捕らえられて処刑されたとされています。しかし、その外交戦略と哲学は、中国の外交の基礎として後世に影響を与え続けました。

『史記』の「蘇秦列伝」は、彼の生涯と功績を詳細に記述したものであり、戦国時代の政治・外交情勢を理解する上で貴重な史料とされています。

鶏口となるも牛後となるなかれを使った例文を紹介

「鶏口となるも牛後となるなかれ」は、大きな組織において末端の立場に甘んじるよりも、小さな組織でリーダーになることを奨励する諺です。

例文:彼は大企業での安定したポジションを手に入れることができたが、「鶏口となるも牛後となるなかれ」と考え、スタートアップ企業のCEOになる道を選んだ。

解説: この例文では、主人公が大企業で安定したポジションを手に入れたものの、将来性とリーダーシップの観点から、スタートアップ企業のCEOとしての道を選んだことが示されています。彼は「鶏口となるも牛後となるなかれ」の精神に基づき、小さな組織でのトップの座を目指したのです。

例文:若者たちはしばしば「鶏口となるも牛後となるなかれ」の意味を理解せず、大企業の名門校からの求人に飛びついてしまうことが多い。

解説: ここでは、若者たちが大企業の求人に飛びつく傾向について言及しています。彼らは安定性や名声を求めて大企業に入りたがることがありますが、「鶏口となるも牛後となるなかれ」の考え方に立ち返ることで、リスクを取りながらも小さな組織でのリーダーシップを選ぶべきであることを示唆しています。

例文:彼女は経済の専門家として大手企業での地位を手に入れることができたが、「鶏口となるも牛後となるなかれ」という格言を信じ、自分のコンサルティング会社を設立した。

解説: この文では、彼女が大手企業での地位を手に入れたものの、独立して自分のコンサルティング会社を立ち上げた例が示されています。彼女は自らのスキルと経験を生かし、小さな組織のトップとして活躍する道を選んだのです。

これらの例文から分かるように、「鶏口となるも牛後となるなかれ」は、安定性とリスクを天秤にかけ、小さな組織でのリーダーシップを選ぶことの重要性を教えています。

鶏口となるも牛後となるなかれの類語を紹介

鶏口となるも牛後となるなかれに類似する意味を持つ言葉や諺について、いくつかご紹介します。それぞれの言葉の意味や使い方を解説します。

「蛙頭蜂尾」(がとうほうび)

意味: 仕事や計画が最初は大きな期待を持たせるが、結果は期待に反して中途半端で終わることを指します。最初の勢いがあっても、後半には勢いがなくなることを表現します。

解説: 「蛙頭蜂尾」は、始めが蛙の頭のように大きく見えるが、終わりが蜂の尾のように小さくなるという意味で使われます。この言葉も、「鶏口となるも牛後となるなかれ」と同様に、最初の状態や立場が後の結果や地位と比べて重要であるということを示唆しています。

「始まり半ばまず」(はじまりなかばまず)

意味: 仕事やプロジェクトが始まったばかりの段階では順調に進んでいるように見えるが、途中で問題が生じてうまくいかなくなることを指します。

解説: この言葉は、始めの段階が成功していても、途中で失敗する可能性があることを警告しています。計画や事業の成功は最終的な結果にかかっており、最初の成功だけで判断すべきではないという教訓を含んでいます。

「玉砕覚悟」(ぎょくさいかくご)

意味: 大きなリスクや困難に立ち向かう際に、最後まで戦う覚悟を持つこと。失敗しても最後まで貫く決意を示す言葉。

解説: 「玉砕覚悟」は、「鶏口となるも牛後となるなかれ」とは異なるが、リスクを恐れずに最後まで努力し続ける姿勢を表現します。成功するかどうかではなく、挑戦する意志や覚悟が重視される点で、一定の類似性があります。

これらの類語や類似する諺は、それぞれ異なるニュアンスや状況を表現していますが、いずれも行動や選択の結果を見据え、慎重に判断することの重要性を示しています。

まとめ

「鶏口となるも牛後となるなかれ」は、大きな組織において末端の立場に甘んじるよりも、小さな組織でリーダーになることを奨励する日本の諺です。以下にこの諺についてまとめます。

意味と背景

意味: 大きな組織に属することで末端のポジションを得るよりも、小さな組織でトップの立場に就く方が望ましいという教訓を含んでいます。安定性よりも将来性やリーダーシップの機会を重視することを意味しています。

背景: この諺の背景には、中国の古代の諺「寧為鶏口、無為牛後」があります。この言葉は、戦国時代の中国で、外交家の蘇秦が韓の恵宣王に対して秦に屈服せず、独立した立場を維持し、他国と連携して秦に対抗すべきと説いた故事に基づいています。

適用例と教訓

適用例: 例えば、安定した大企業でのポジションと、リスクのあるスタートアップ企業の経営者としての道を比較する場面で使われます。安定性とリスク、そして将来性を考慮して、自らのキャリアや事業戦略を選択する際の指針となります。

教訓: この諺は、安定性や即時の利益だけでなく、将来の成長やリーダーシップの機会を重視することの重要性を教えています。一時的な成功よりも、持続可能な発展と自己実現を目指す姿勢を奨励します。

社会的意義

個人レベル: 個人のキャリア選択や経営戦略において、リスクを恐れずにチャンスを活かす意欲を促します。自己の能力を信じて、大きな組織の枠を超えて成長する機会を求める姿勢を養います。

社会全体: 小さな組織や新興企業の育成を通じて、イノベーションと競争力の向上を促進し、経済のダイナミズムを支える役割を果たします。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」は、個人の志向や社会全体の経済活動に深い影響を与える諺であり、現代のビジネス環境においても重要な教訓として受け継がれています。