カレーうどんは、その名の通りカレー風味のスープが特徴のうどん料理です。一方、カレー南蛮には、カレー風味のスープにうどんやそばが使われることがあり、提供される際には「カレー南蛮うどん」や「カレー南蛮そば」としてメニューに記載されることが一般的です。
カレーうどんとカレー南蛮の違いは、麺の種類だけでなく、具材にもあります。
例えば、そば屋の「南蛮」は長ネギを意味し、カレー南蛮にも長ネギが使用されるのが特徴です。
これに対して、カレーうどんには玉ねぎが使われることが多いです。ただし、カレーうどんに長ネギが入っている場合でも、それが間違いというわけではありません。
なお、カレーうどんとカレー南蛮の誕生についてもいくつかの説があります。
カレーうどんの発祥は、早稲田にある「三朝庵」とされています。カレー南蛮に関しては、東京の中目黒にある「朝松庵」や大阪の谷町にある「東京そば」が発祥という説がありますが、実際には「朝松庵」の二代目が大阪で「東京そば」を始めたことがきっかけで、両方の説が正しいと言えます。
南蛮という言葉の歴史
「南蛮(なんばん)」という言葉は、元々中国で使われていた言葉で、四方の異民族を指す「四夷(しい)」の一つとして、主に南方に住む従わない民族に対する蔑称でした。
日本でもこの言葉は同様の意味で使用されていましたが、15世紀にヨーロッパとの貿易が始まると、その意味は変わり、ヨーロッパや東南アジア、特にスペインやポルトガルに関連する物や人々を指す言葉となりました。
「蛮」という漢字自体は、都市文明を持つ漢民族が、服を着ない狩猟採集生活をする南方の人々を見下して使った表現です。
やがて「四夷」の一つとなり、中華思想に基づいて、南方の異民族に対して使われました。「蛮」という字は、虫偏が使われ、人間ではないことを暗示するような悪いイメージが込められていました。現代でも「野蛮」「蛮行」といった表現で使われ、粗暴さや無秩序を意味します。
南宋がクビライによって滅ぼされた後、漢民族が「南蛮人」と呼ばれるようになりました。このように、異民族を蔑む言葉としての「南蛮」は、時代を超えて使われ続けたのです。
南蛮料理の由来とは?
「南蛮」という言葉は、今日の日本においても、長ネギや唐辛子を使った料理の名として残っています。16世紀にポルトガル人が日本にやってきた頃から、「南蛮料理」という言葉が料理書や料亭のメニューに登場し始めました。
この言葉は、ポルトガルから伝わった料理や、後にオランダや中国、さらにはマカオやインドを経由して日本に伝わった料理を広く指すようになりました。
最も古い「南蛮料理」の記録は、17世紀後半の『南蛮料理書』です。また、長崎を中心に広まった「卓袱(しっぽく)料理」と呼ばれる家庭での接待料理にも、南蛮料理の影響が見られます。
唐辛子は「南蛮辛子」とも呼ばれ、ネギや唐辛子を使った南蛮煮や、マリネに似た南蛮漬けもこの時期に広まりました。
カレー南蛮には、唐辛子入りのカレー粉とネギが使われています。また、江戸時代の『嬉遊笑覧』には、鴨南蛮について「ネギを使った料理を南蛮と呼び、鴨を加えると鴨南蛮になる」との記述があります。
まとめ
カレーうどんとカレー南蛮は、どちらもカレー味のスープをベースにした麺料理ですが、いくつかの違いがあります。
カレーうどん
カレーうどんは、カレー味のスープにうどんを入れた料理です。スープはカレー粉やカレールーを使って出汁で薄めたもので、玉ねぎや豚肉などの具材がよく使われます。カレーうどんは、和風の出汁とカレーの風味が融合した、まろやかでコクのある味が特徴です。
カレー南蛮
一方、カレー南蛮は、そばやうどんを使ったカレー風味の麺料理ですが、特徴的なのは「南蛮」という言葉が表すように、具材に長ネギが使われていることです。
「南蛮」という言葉は、もともと日本では唐辛子やネギを使った料理を指すことが多く、カレー南蛮の場合、長ネギが具材として入るのがポイントです。また、カレー南蛮はうどんの他に、そばでも提供されることがあり、特にそば屋では「カレー南蛮そば」がメニューに登場することもあります。
カレーうどんとカレー南蛮の主な違い
具材:カレーうどんには玉ねぎが一般的に使われ、カレー南蛮には長ネギが入る。
麺の種類:カレーうどんはうどんが基本ですが、カレー南蛮はそばやうどんのどちらでも作られる。
名称の由来:カレー南蛮の「南蛮」は、ネギを使った料理に由来しています。
どちらもカレーの風味を楽しめる温かい麺料理ですが、具材や麺の違いによってそれぞれ異なる味わいがあります。