鳥取県の郷土料理らっきょう漬けとは?

らっきょう漬けの主要な伝承地域は、鳥取市福部町、北栄町になります。使用される主な食材は、らっきょうです。

鳥取県におけるらっきょうの栽培は、江戸時代にまで遡ると言われています。

参勤交代の際に小石川薬園から持ち帰ったのが始まりとされています。

当時は砂地でも育つ強い生命力を持つらっきょうが少数の農家によって自家用に栽培されていましたが、大正時代に入ってから産業として本格的に広まりました。

特にスプリンクラー灌漑が導入されたことで、大規模な生産が可能になりました。

加工品としてのらっきょうの塩漬けが始まったのは昭和40年頃のことで、市場価格の変動を安定させるため、農業協同組合が加工事業を展開し、これが価格調整の一環として役立っています。

収穫は5月末から6月中旬にかけて行われ、塩漬けや味付けされたらっきょうが年中販売されています。鳥取砂丘の土産としても人気があり、年間を通じて食べられる保存食となっています。

らっきょうの漬け方には「本漬け」と「簡単漬け」の2種類があります。

「本漬け」は、塩漬けにしてから一定期間発酵させ、乳酸発酵による風味を引き出しますが、手間がかかる一方で保存が長く可能です。

一方「簡単漬け」は、すぐに作れる手軽な方法で、冷蔵保存が必要です。最も一般的なのは「甘酢漬け」ですが、地域では他にも「塩漬け」や「赤ワイン漬け」「しそ漬け」などさまざまなバリエーションがあります。

収穫時期には「洗いらっきょう」や「根付らっきょう」が市場に出回り、加工品としてのらっきょうは一年中販売されています。

鳥取いなば農業協同組合では、地域ブランドとして「鳥取砂丘/ふくべ砂丘らっきょう」を推進しており、平成27年度には地理的表示保護制度(GI)に登録されています。

らっきょう漬けのレシピと材料

材料(4kgのらっきょう用)

らっきょう: 4kg
塩: 1.2kg
らっきょう用の酢: 1.8L
氷砂糖: 1kg
赤唐辛子: 小さめのもの約8本

作り方

1:まず、らっきょうを塩漬けにし、10日から2週間ほど置きます。(すぐに食べない場合は、このまま保管可能)

2:次に、塩抜きのために流水で洗い流します。少し塩味が残る程度が目安です。

3:熱湯を用意しておきます。

4:ざるに広げたらっきょうに熱湯をさっと回しかけ、冷まします。

5:殺菌済みの容器に冷ましたらっきょうを入れ、氷砂糖、らっきょう酢、種を取った赤唐辛子を加え、密閉して冷暗所で保存します。

※このレシピは、地域や家庭によって異なる場合があります。

らっきょうについて紹介

ラッキョウは、中国やチベットのヒマラヤ地域を原産地とし、古代からアジア各地で食用として利用されてきました。

日本には9世紀頃に伝わり、最初は薬として使用されていました。当初はその強い匂いと辛味が敬遠されがちでしたが、体を温める効果があるとされ、江戸時代には食用としても広まり、漬物や煮物に利用されるようになりました。

特に根元が肥大化した白色や紫がかった白色の部分が食用とされています。この強い匂いと辛味は、ニンニクやニラに含まれるアリル硫化物によるものです。

ラッキョウにはさまざまな品種があり、大きな玉の在来種「らくだ」や、台湾で生産される「玉らっきょう」などが一般的です。

軟白栽培とエシャロット

軟白栽培されたラッキョウを葉付きのまま早摘みしたものは、「エシャレット」や「エシャロット」の名前で市場に流通しています。

ただし、日本ではエシャロットとエシャレットの呼称が混乱していることが多く、生食用に栽培されたラッキョウが「エシャロット」として売られることがあります。

実際のエシャロット(学名: Allium cepa var. aggregatum)は、玉ねぎの一種で、調味料や野菜として利用されます。

栽培方法

ラッキョウの栽培は簡単で、晩夏に球根を植え、翌年の初夏に収穫します。球根を植える土壌は肥料が必要とされますが、ラッキョウは冬の寒さにも強く、手間がかからない植物です。

収穫されたラッキョウは、干して保存した後に、翌年の種球としても使われます。主な産地は鳥取県や鹿児島県などです。

日本での食文化

ラッキョウ漬けは、甘酢漬けを中心にさまざまな味付けが楽しまれています。

各家庭で手作りされることも多く、酢漬けや味噌漬け、醤油漬けなどが一般的です。カレーライスの付け合わせとしてもよく見られ、消化を助ける効果があるとされています。特に鳥取県や福井県などでは、ラッキョウが地域の特産品として知られています。

栄養素と健康効果

ラッキョウにはビタミンB1の吸収を助けるアリル硫化物が含まれており、血流を促進し、免疫力向上や生活習慣病予防に効果があるとされています。

また、ラッキョウには食物繊維が豊富に含まれており、特に水溶性のフルクタンが多く、体内の新陳代謝を活発にします。

まとめ

らっきょう漬けは、日本で一般的に食べられる保存食のひとつで、らっきょうの根を漬け込んで作られます。特に甘酢漬けが有名ですが、他にもさまざまな方法で漬けられることがあります。

らっきょう漬けは酢漬けにすることでシャキシャキとした歯ごたえとさっぱりとした酸味が特徴。甘酢漬けは、酸味に甘さが加わり、よりマイルドな味わいになります。

さまざまならっきょう漬けの種類

甘酢漬け: 酢、砂糖、水を混ぜた甘酢に漬けたもので、酸味と甘みのバランスが取れた味わいです。

塩漬け: シンプルに塩のみで漬けたもの。さっぱりとした風味で、ご飯のお供に最適です。

醤油漬け: 醤油をベースにした漬け汁に浸け込んだもの。醤油のコクが加わり、しっかりとした味付けになります。

味噌漬け: 味噌を使った漬け汁に漬けることで、深い味わいと風味が加わります。

らっきょうには、ビタミンB1の吸収を助けるアリル硫化物が含まれており、疲労回復や新陳代謝の促進、消化を助ける効果が期待されています。また、食物繊維が豊富で、腸内環境の改善にも寄与します。