竹と笹の違いとは?どこが違うの?

竹と笹は、どちらもイネ科タケ亜科に属する植物で、通常、大きなものを竹、小さなものを笹と呼びます。

竹は「高い」や「丈」の意味が転じており、一方で笹は「ささやか」などの「ささ」から派生しています。この言葉の由来からは大きさの基準が見えますが、植物学的には大きさだけではなく性質で分類されます。

たとえば、オカメザサは小さいが「笹」に分類され、一方でメダケは大きいが「竹」ではなく「ササ」に分類されます。これは、言葉と植物学上の分類が異なるためです。

竹と笹を見分けるためには、成長後の皮、葉、および枝の出方を観察すると良いです。

竹は成長するにつれて皮がはがれ、茎がツルツルしていきます。

一方で笹は成長しても枯れるまで皮が残ります。

また、葉脈が格子状になっているのが「竹」であり、平行になっているのが「笹」です。茎にある節目から出ている枝の本数も、「竹」は2本で、「笹」は3本以上(5~6本)です。

見分ける他にも、竹は寒冷地では育たず、北海道には生えていませんが、笹は寒冷地でも育つ特性があります。「たけのこ狩り」で北海道で見られるのは、「根曲がり竹」すなわち「チシマザサ」です。

また、笹は日本特有の植物であり、竹は英語で「bamboo(バンブー)」と訳されますが、笹はそのまま「sasa(ササ)」の日本語名が使われます。

ただし、海外のバンブーと日本の竹には繊維質や地下茎の伸び方などの違いがあり、竹とバンブーは異なる種類です。厳密に分類すると、「竹」は英語で「take(タケ)」と訳されます。

一般的な大きさに基づく呼び分けや植物学上の分類だけでなく、素材の利用においても「竹」や「笹」が異なる呼び名があります。

茎の部分を利用したものはどちらも「竹」と呼ばれ、葉を利用したものは「笹」と呼ばれます。

竹と笹は同じではない理由とは?

竹と笹は、植物学的に同じ分類に属し、イネ目イネ科タケ亜科に分類されます。

両者は地中に埋もれる茎を持ち、これを利用して生殖繁殖を行います。

成長すると茎が木質化し、組織が堅くなる木の特徴を備えつつも、太さが成長した後は成長が止まるという、草木の特徴を併せ持っています。

そのため、「竹」か「笹」かという植物学的な定義もまだはっきりしていません。

植物学的には、「竹」か「笹」をどのように区別しているのでしょうか?

それは、「竹」はたけのこの皮が成長すると落ち、一方で「笹」は残って茎を包むという違いがあるそうです。

竹と笹の外見の違い

竹は比較的大型であり、「笹」は比較的小型とされていますが、最も明確な違いはたけのこの皮に見られます。

植物学的な定義では、「竹」はたけのこの皮が落ちるが、「笹」は残るとされます。

たけのこの皮がなくなれば「竹」であり、茎の節に皮が残っていれば「笹」です。

この違いが最も理解しやすいかもしれません。

また、葉にも大きな違いがあり、「竹」の葉脈は格子状であるのに対し、「笹」の葉脈は平行に伸びています。

茎の節目から出る枝の本数も異なり、「竹」は2本で、「笹」は5本程度です。

一か所から多くの枝が出ている場合は、ほとんどが笹です。外見の違い以外にも、竹の花は120年サイクルで咲き、笹の花は60年サイクルで咲くと言われています。

七夕には竹と笹どちらを飾るべき?

率直に言ってしまえば、どちらでも問題ありません。

これは昔の日本では、竹や笹が重要視されてきたからです。

雨風に強く、力強く天にまっすぐ伸びる姿勢には感謝の念があり、また、葉には殺菌効果があることから、これらの植物は神秘的なものと見なされていました。

風に揺れる独特の葉の音は神様の宿るものと考えられ、神事にも利用されました。このような理由から、七夕に竹や笹が使用されるようになったと言われています。

ですので、竹か笹かにこだわる必要はありません。

竹の葉と笹の葉の違いは?

竹と笹について一般的には、竹は高く大きなもの、笹は低く小さなものと思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。

通常、竹は孟宗竹など背が高い大型のもの、一方で笹はやぶに生えている、せいぜい子供の身長ぐらいの小型のものとされています。

名前に「~タケ」がつくのは竹で、「~ササ」がつくのは笹というイメージも広がっていますが、これも大きさの印象から来ていて、名前と実際の植物の属性が一致しないこともあります。

たとえば、大きな「ヤダケ」や「メダケ」は笹の仲間であり、逆に小さな庭のグランドカバーとして人気のある「オカメザサ」は竹の仲間です

名前による印象とは裏腹に、竹と笹の違いは植物学的なものであると言えます。竹は成長するにつれて稈鞘(たけのこの皮)が落ち、稈がツルツルしてきます。

これに対し、笹は成長しても稈鞘が落ちずに残り続けます。

葉の構造も異なり、竹の葉脈は格子状であるのに対し、笹の葉脈は並行しています。

枝の出方も異なり、竹は1つの節から2本の枝が出るのに対し、笹は3本以上の枝が出ます。

また、生育地域も違い、竹は寒冷地では育ちませんが、笹はクマザサなどが寒冷地でも育つことができます

竹や笹の葉が長持ちするかどうかについては難しい問題です。

竹も笹も切った後の水揚げが難しく、水にさしてもすぐに葉が丸まってしまうことがよくあります。

なるべく切る前の状態を保ちたい場合は、一年生の若竹を選ぶと良いでしょう。

棹(竹の茎)が濃い緑色のものが若竹です。

一節ごとに孔を開けて水を入れたり、葉を一部切って蒸散を防いだりする方法もありますが、それでもなかなか切る前の状態を維持するのは難しいと言われています。

パンダは竹と笹の違いを知ってて食べているの?

パンダが主食とする竹や笹も、年中同じ種類のものを食べているわけではありません。竹には成長すると栄養素が失われる傾向があるため、パンダは新芽を求めて時折それを摂取します。

また、竹には栄養が豊富でないことから、時期によっては笹の葉をメインに食べることもあるとのことです。

哺乳動物にとって重要な栄養素であるリンやカルシウムを摂取するため、季節ごとに食べ物を使い分けているわけです。

さらに、雌のパンダは妊娠すると胎児に栄養を供給するため、栄養価の高い食物を求めて摂ることがあります。

同じ食べ物を一律に大量に摂取しているわけではなく、栄養バランスを考慮した食事を取っている点は、まるで人間のような食生活をしているようです。

そこで、パンダの好物として思い描く竹や笹も、実はパンダにとっては得手不得手があり、苦手な食べ物もあることをご存知でしょうか?

パンダが好物でない竹や笹を食べる理由

結論から言えば、パンダは「笹や竹がそこにあるから」食べているだけです。

実際に行われたパンダの体内の研究によると、パンダの胃や腸は笹や竹を消化するのには適していないことが判明しています。

パンダは元々熊の仲間であり、草食動物ではないため、腸も熊などと同様に短く、笹や竹を効果的に消化吸収するのは難しいのです。

笹や竹を食べるようになった理由には大きく2つの要因が考えられます。

餌の取り合いを避けるための生存戦略

パンダは俊敏ではなく、敵に襲われると防御する手段がありません。

他の動物との競争から逃れるために、中国の山岳地帯へ移動しました。

山岳地帯には笹や竹が豊富に生育しており、いつでも食べることができるため、この地域への移住が行われたと考えられています。

氷河期の影響

およそ300年前までは肉を主食としていたパンダも、氷河期を迎えると餌としていた動物が減少し、笹や竹を食べることになりました。

生き残るためには食糧を確保する必要があり、その結果として笹や竹を食べるように進化していったとされています。

その後も、竹や笹が豊富に生えている地域に住むことで、パンダはこれらの植物を食べる習慣を身につけました。

パンダが竹や笹を大量に食べる理由

さて、なぜパンダは笹や竹を大量に食べるのでしょうか?

実は、パンダは一日の大半を食事に費やしています。一日10時間以上も食事に費やし、その間に20キロもの笹や竹を摂取するそうです。

しかし、笹や竹はパンダの体には適しておらないため、ほとんどが吸収されずに排泄されてしまいます。1日に10キロ以上の量を摂取する理由は、これに起因しています。

竹や笹を摂る際、そのほとんどが腸で消化されずに排泄されるため、必要な栄養素を効果的に摂取するためには大量の食物を摂る必要があるのです。10キロ食べても2キロほどしか消化されないため、その分大量に食べることが必要とされています。

この生態は、パンダの本来の食性や体の構造から外れたものであり、竹や笹を摂ることが生存戦略として発展した結果です。動物園で飼育されているパンダも、笹や竹以外にも野菜や果物などが与えられることがあります。これにより、栄養バランスを取りながら生活できるようになっています。

パンダの食事習慣は、厳しい自然環境での生存戦略と歴史的な変遷が影響している一面があり、その姿勢や食生活は人間とも共通する要素が見られます。

竹の特徴とは?

竹(タケ)は、植物学的にはイネ目イネ科タケ亜科に属し、茎(稈)が木質化する木本の一種である。

竹は温暖で湿潤な気候が広がる地域に分布し、アジアの温帯・熱帯地域が主な生息地となっている。

竹の分布範囲は北は樺太から南はオーストラリアの北部、西はインド亜大陸からヒマラヤ地域、あるいはアフリカ中部にまで広がるが、北アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカの大半には見られない。

代表的な種であるマダケなどの竹の稈は20m以上にもなる。これらの竹の特徴は非常に強靭で、大きくしなっても簡単には折れない。

竹は通常、地下茎を広げ、その地下茎から直接タケノコが生えることで増殖していく。

この増殖は無性生殖の一形態である栄養生殖であり、同一のクローンから生まれた竹で構成される。

竹はある時点で一斉に花を咲かせ、有性生殖を行った後、枯死する。

花が咲くことは非常にまれで、発生する場合も4月から5月の期間に限られる。

一部の竹は長い周期で開花し、ハチクやマダケは約120年の周期が推定されている。

ただし、開花サイクルが不明瞭な種も多い。竹林の中には地滑りを引き起こすことがあり、この現象は竹林が放置されると発生しやすい。

また、竹が放置されることによって森林が減少し、生態系に悪影響を与える問題も発生している。

竹は成長力が非常に旺盛で、ピーク時には1日で1メートル以上成長することがある。

竹林は時折、周囲の建物に侵入することがあり、その影響は地滑りや環境への悪影響となる。竹の利用は古くからさまざまであり、竹細工や建材、竹紙などが製造されてきた。

竹酢液や竹炭もその有効な利用法として知られている。放置された竹林の問題に対処するために、竹を有効に利用する試みや研究が行われている。

竹の芽である「筍」は食用とされ、ジャイアントパンダは葉を主食としている。

モウソウチクを除く多くの種は限られた地域にのみ自生する傾向があり、その理由は未解明である。

竹の様々な用途

竹は、成熟したものから得られる硬い節で仕切られた稈(かん)などが利用され、その特性により和弓や釣竿などさまざまな用途に使われています。

竹は管としての性質を持ち、弾力性に富んでいるため、特に引っ張りに強いです。

青竹から得られる素材は耐久性に課題がありますが、焙ったり湯通ししたりすることで改善され、煤竹は独自の色合いと耐久性を備えています。

建材や内装材、調理器具、楽器、結束材など、竹はさまざまな製品の素材として使用されています。

また、伝統的な工芸品や玩具、食材、バイオ燃料、竹酢液など、その用途は多岐にわたります。

さらに、竹の節を使った伝統的な建築や掘り井戸など、特殊な用途も存在します。竹はその柔軟性と強度、多様な特性から、さまざまな文化や生活に根付いています。

日本での竹の歴史

日本人と竹との歴史は非常に古く、縄文時代の遺跡から竹を素材とした製品が見つかっています。

竹は我々の生活に深く関わり、農業や漁業など、さまざまな分野で利用されてきました。その軽さと高い加工性から、自ら編んだり職人に注文して使いやすい形や大きさの竹かごを製作したりしました。

伝統的な日本家屋では、竹が建築材料として使われ、土壁には竹が芯に塗り込められていました。

この壁は寒さ、暑さ、湿気などを調整し、日本の気候に適した環境を提供していました。竹は現在でも、その堅牢さと熱伝導率の高さから床材などの住宅資材として利用されています。

竹は日用品や玩具から茶道や華道の道具、楽器、武道具まで様々な文化の中で使用され、日本の生活や文化に欠かせない存在です。

手入れの行き届いた竹林は美しい風景を生み出し、日本各地に広がっています。

竹は成長が早く、一般的に国内には約600種、世界には約1,200種類あると言われています。

竹は毎年地下茎の節に新しい竹を生じ、数カ月で成長します。竹稈は地下茎が太いほど寿命が長く、一般的には20年ほどです。竹は樹木のように年輪を重ねず、成長しはじめて3年以上経った竹が利用されます。竹は地下茎も伸長し、神秘的な形状の中に生命力を秘めています。

竹には神秘性があり、古代の人々はその不思議な形状に信仰心を寄せていました。

これが『竹取物語』や竹を用いた祭りや神事の背後にある要因ではないかとされています。

世界での竹の歴史

竹は、その歴史ついてはっきりとした証拠は難しいですが、多くの地域で古くから利用されている植物の一つです。

以下は、竹に関する一般的な考え方や歴史的な背景です。

竹の起源

竹は世界中で見られる植物で、アジア、アフリカ、アメリカ、オーストラリアなどさまざまな地域に分布しています。

竹は古代から広く利用され、その多様性と利便性から、人々によって異なる文化で重宝されてきました。

竹のアジアでの利用

特にアジアでは、竹は日常生活のさまざまな側面で使われています。

建築材料、生活用品、食材、工芸品など、幅広い用途に利用されています。

中国や日本などのアジア諸国では、古くから竹の利用が盛んであり、文学や伝統的な芸術においてもしばしば言及されています。

竹の耐久性と柔軟性

竹は非常に速く成長し、木材よりも軽くて柔軟性があります。また、抗菌性や耐久性も備えています。これらの特性から、竹はさまざまな環境で使われ、特に建築や日用品として広く利用されています。

竹の文化的な象徴

竹はいくつかの文化で繁栄、柔軟性、調和の象徴とされています。

例えば、東アジアでは竹が春の季節と結びつけられ、七夕の飾りや節句の行事で竹が使われます。日本では「松竹梅」が縁起物とされ、竹はその一部として良い縁起を象徴しています。

総じて、竹はその生育のしやすさと多様な用途から、様々な文化で重要な役割を果たしています。

笹の特徴

笹(ササ、篠、筱、筿、小竹)は、イネ科タケ亜科に分類される植物で、その茎である稈(かん)を包む葉鞘が枯れるまで残る特徴を持つ植物群の総称です。

笹は単子葉植物であるイネ科タケ亜科(またはタケ科)に分類されます。竹と笹は茎である稈に年輪が見られず、一方で木本類のように硬くなる性質があります。

植物学的には、イネ科タケ亜科の中で、竹は稈が成長すると葉鞘が早く脱落するものであり、笹は稈に葉鞘が枯れるまで残るものとされています。

例えば、マダケなどの竹では芽(タケノコ)の段階であった葉鞘が成長すると剥がれ落ちますが、笹では成長しても葉鞘はそのまま残ります。

竹と笹の分類は標準和名と必ずしも一致しないことがあります。ヤダケは皮が付いたままであるため笹に分類され、オカメザサは皮が脱落するため竹に分類されます。

笹は匍匐茎を地下に伸ばし、密集した群落を形成します。広がった群れが一面に広がると、これを笹原と呼びます。

笹がよく生える条件はいくつかあります。

一つはパイオニア植物として行動する場合で、河川周辺や道端などでネザサ類が見られます。

これは、不定期な草刈りや川の氾濫などに強いためです。

寒冷地では、ブナ林の伐採や山火事跡地で笹が優占し、無立木地となることがあります。竹刈り機などで人為的な掻き起こしを行い、樹木の実生のための土壌を露出させることもあります。

もう一つはブナ林の下生えで、日本のブナ林では笹類が林床で優占することが多いです。

これらの種は地域によって異なり、太平洋側ではスズタケ、日本海側ではチシマザサがよく見られます。

笹は放置されると藪になりがちですが、生態系の観点からは小動物の隠れ家や昆虫の食草として機能しています。

しかし、笹の繁茂は地中の水分を吸い上げて土壌を乾燥化させたり、他の植物の光合成を妨げたりする一面もあります。

まとめ

竹と笹は、ともにイネ科タケ亜科(またはタケ科)に分類される植物で、その特性や用途にはいくつかの違いがありますが、同じく茎を持つ植物であるため、共通点も見られます。以下に、竹と笹についてまとめてみます。

竹(たけ)の特徴

茎の成長: 年輪がなく、成長すると葉鞘が早く脱落する。

用途: 建築材料、家具、工芸品、日用品、庭園の装飾、竹細工、竹炭、竹の葉で包まれた食品(竹蒸し)など、多岐にわたる。

成長速度: 毎年新しい竹を生やし、数ヶ月で成長する。成熟すると花を咲かせ、竹全体が枯れる。

生息地: 世界中で広く分布し、特にアジアや南アメリカに多く見られる。

竹の文化・伝統

竹取物語: 古典文学である『竹取物語』に登場し、竹は神秘的で異国情緒を感じさせる要素として重要な役割を果たす。

行事: 七夕や正月など、季節行事や祭りに使われることが多い。

竹の花: 竹が花を咲かせることがあり、これが非常に稀な現象として知られ、一部の地域では不吉の前兆とされている。

笹(ささ)の特徴

茎の成長: 年輪がなく、成長しても葉鞘が枯れるまで残る。

用途: 料理(笹寿司)、竹細工、茶道、華道、祭りの飾り(笹飾り)などに利用される。

成長環境: 匍匐茎を伸ばし、群落を作る。笹原と呼ばれることもある。

生息地: 主に日本を中心に分布し、森林や川の周辺、山火事跡地などに見られる。

笹の生態系への影響

生物多様性: 笹は小動物の隠れ家や昆虫の食草として機能し、生態系に一定の影響を与える。

土壌・水分: 笹の繁茂は地中の水分を吸い上げ、土壌を乾燥化させる影響がある。

竹と笹は日本の自然環境や文化に深く結びついており、様々な分野で利用されています。