岡山県北部には、魚料理が多く伝承されています。その中でも、さばずしは秋祭りのごちそうとして知られています。
昔は交通の便が悪かったため、海から遠い山村では生魚を手に入れるのが難しかったため、塩漬けのさばを利用して作られました。
地域によっては秋祭りや田植えの際に作られ、家族や友人に配られました。
さばずしは、塩さばを3枚におろし、合わせ酢に漬けてから、すし飯と一緒に型箱に詰め、一昼夜寝かせて作ります。
塩さばを使うため、年中作ることができますが、秋に取れるさばが特に美味しいとされています。
現代では、秋祭りの家庭での作り方だけでなく、道の駅や地元の料理店でも販売されています。
さばずしの材料とレシピ
さばずしの材料
塩さば酢じめ
塩さば(中) 5尾
塩(生さばの場合) 180g(塩さばの場合:0g)
酢(気温の高い時季は多めに) 1升
砂糖 500g
白飯
米 9合
もち米 1合
だし昆布(スイッチを入れる時に入れる) 5cm角
合わせ酢
砂糖 400g(350g~400g)
酢 200cc
塩 40g
しょうが 12g(さば4枚分)
ゆずの皮 14g(さば4枚分)
すし飯
しめさば1枚に400g
押しずし器用合わせ酢
酢 190cc
砂糖 9g(大さじ1)
準備品
押しすし器
竹の皮
さばずしの作り方
1:塩さばを洗って3枚におろし、皮を取り除き、小骨を丁寧に取り除き、酢で一昼夜締める。
2:ご飯を炊く。もち米を1割入れると粘りとつやが出る。だし昆布は炊飯器のスイッチを入れる直前に入れる(早く入れると、昆布の色がご飯に移る)。
3:砂糖、酢、塩を合わせ、火にかけて合わせ酢を作る。
4:ご飯が炊きあがったら、10~15分後に(ご飯の湯気が上がっている状態の時)ご飯を寿司桶に取り、合わせ酢を入れて酢飯を作る。
5:酢飯が冷める間に、押しずし器浸し用の合わせ酢を作り、押しずし器全体を浸しておく(ラップが容器にくっつかないようにするため)。
6:竹の皮を押しずし器浸し用の合わせ酢で抜いておく。
7:しょうがのみじん切りとゆずの皮の千切りを作っておく。
8:酢飯が冷えたら、10等分に分けておく(さばが大きい場合は9等分)。
9:酢締めしたさばを漬け酢から出し、水分を十分に拭いておく。
10:台の上に大きめのラップを敷き、容器の下のフタを置き、押しずし器を浸した後、容器の中に大きめのラップを敷き、シワが無いようにきちんと広げておく。
11:さばの皮の側を下にし、さばの中央にしょうがまたはゆずの皮を背骨に沿って一列に並べ、その上に分けた酢飯を均等に入れ、上ぶたをして酢飯を
しっかり押さえる。
12:ラップをたたんで押し抜き、ふたを取り、ラップの向こう側と手前側をそれぞれ包み、左右もそれぞれ包む。
13:6にのせ、ラップを整え、輪ゴムで留める。
14:一日寝かせる。
15:適当に切り、器に盛る。
※注意:切る際はラップをつけたままさばを上にして切る。
※レシピは地域や家庭によって異なる場合があります。
鯖寿司の歴史と広がり
鯖寿司は九州から中国地方、四国、近畿、北陸に広がり、特に山陰から山間部に多く見られます。
若狭や山陰地方、そして岡山県新見市など、地域ごとに独自の郷土料理として知られています。
鯖寿司には、押し寿司のバッテラやへしこを使ったへしこ寿司、焼いた鯖をのせた焼さば寿司などのバリエーションがあります。
岡山県北部でも鯖寿司が普及し、1997年までには家庭での作り方が続いています。
古くから、岡山県北部では海産物の流通が限られていたため、山陰地方で獲れた鯖が塩漬けにされ、中国山地を越えて出雲街道を通じて運ばれました。
この運搬中に酵素の作用で旨味が増し、塩加減も程よくなったと考えられています。
その塩漬け鯖を使って、家庭ごとに棒寿司が作られるようになりました。祭事やお祝い事の際にも供され、贅沢な食べ物として楽しまれました。
その姿から「金棒寿司」や「鯖包み」といった通称もあります。
鯖寿司の作り方は家庭ごとに異なります。
低温輸送が可能になってからは、塩鯖ではなく生鯖を使う家庭もあります。
さらに、頭付きの姿寿司や3枚におろした鯖を使った押し寿司、握り寿司風のこけら寿司など、見た目もさまざまです。
岡山県新見市では郷土料理として親しまれ、現在では東京や大阪などの大型デパートでも新見名物として販売されています。
まとめ
さばずしは、岡山県を中心に広く知られる郷土料理であり、その歴史や作り方、食べ方などに関する情報を以下にまとめます。
さばずしの歴史と由来
岡山県北部や山陰地方などで古くから作られてきた郷土料理の一つである。
昔、山間部や海から遠い地域では新鮮な生魚の入手が難しかったため、塩漬けのさばを利用して作られたとされる。これがさばずしの原型である。
さばずしの主な材料
塩漬けのさば
すし飯(酢飯)
さばずしの作り方
塩さばを洗って3枚におろし、酢で一昼夜締める。
すし飯を作り、酢飯として準備する。
さばの上に酢飯を乗せて巻き、型に押し込んで成形する。
成形したさばずしを一日寝かせ、味をなじませる。
さばずしの食べ方
一般的には切り分けて盛り付け、お箸やしゃもじで食べる。
また、イベントやお祭りの際には家族や友人と分け合って楽しむこともある。
さばずしの保存と提供
保存期間は一定であり、冷蔵庫などで保管される。
地域の道の駅や郷土料理店、大型デパートなどで販売されることもある。
さばずしのバリエーション
地域や家庭によって作り方や材料が異なる。
塩さばではなく生さばを使う場合や、酢飯の味付けを変えるなどのバリエーションが存在する。
さばずしの地域性と伝統
地域によって呼び方や作り方が異なり、地元の風土や歴史に根ざした郷土料理として親しまれている。
伝統的な行事や祭りの際に作られ、地域の文化や風習を伝える一翼を担っている。
総じて、さばずしは岡山県やその周辺地域に根付いた伝統的な料理であり、地域の特産品や文化の一部として大切にされています。