クッキーとビスケットには、曖昧な違いがあり、「ある」と言えばあるし、「ない」と言えばない。両者の最大の違いは、呼称の違いにあります。
日本では「クッキー」や「ビスケット」と呼ばれるものが、アメリカでは両方を「クッキー」と呼び、イギリスでは「ビスケット」、フランスでは「ビスキュイ」と呼ばれています。
アメリカでも「ビスケット」と呼ばれるものはありますが、例えばケンタッキーフライドチキンのメニューにあるスコーンのような食べ物は、アメリカでは「ビスケット」と呼ばれます。
日本では、もともと「ビスケット」と呼ぶことが一般的で、「クッキー」は戦後になってから多く使われるようになった呼称です。
ビスケットは幕末から携帯食として広まり、一方でクッキーはアメリカ文化の影響で広まりました。そのため、ビスケットは安価なもの、クッキーは高級なものというイメージがあります。
ビスケットを「クッキー」と誤解されないようにするため、1971年に全国ビスケット協会がビスケットとクッキーの定義を定めました。
簡単に言えば、成分に含まれる糖分と脂肪分の合計が40%以上で、手作り風の外観を有するものが「クッキー」で、それ以外のものが「ビスケット」です。
ただし、「手作り風の外観」という基準は曖昧ですが、これは全国ビスケット協会の定義であり、日本農林規格(JAS)のものではありません。
菓子メーカーのほとんどは全国ビスケット協会に加盟しているため、スーパーなどで売られている菓子はこの定義に当てはまりますが、協会に加盟していない小さな洋菓子店などはこの定義に従う必要がありません。
一般的には、ビスケットより脂肪分が多く、手作り感のあるものがクッキーと認識されています。
サブレは、フランスから伝わったビスキュイの一種で、ビスケットやクッキーの一種です。
サブレには全国ビスケット協会の定義はありませんが、バターやショートニングの比率が高く、バターの風味とサクッとした食感が特徴です。
クラッカーや乾パンもビスケットの一種です。
クラッカーは、塩味の堅焼きにした薄くて砕けやすい、イーストや酵素が入ったビスケットです。
乾パンは、長期保存や携帯に便利なよう、水分を減らして堅く作ったビスケット様のパンです。ビスケットの語源は「二度焼いたパン」であり、長期保存のために乾かしたパンをもう一度焼いたものがビスケットの始まりです。
ビスケットとは?
日本で一般的に「ビスケット」と呼ばれる菓子は、全国ビスケット協会の定義によれば、ハードビスケットを指します。
これらのビスケットは、砂糖や油脂を抑え、水分を多めにして作られるため、パリッとした食感が特徴です。
ビスケットの名前の由来には複数の説がありますが、ラテン語の「ビス(2度)・コウトゥス(焼かれたもの)」が基になっているとされています。
古代からヨーロッパでは航海や遠征時に、2度焼いて日持ちを良くしたパンが持ち運ばれていました。これがビスケットの起源と考えられています。
ビスケットの形が現代に近づいたのは16世紀ごろで、ヨーロッパの貴族たちの間で食べられるようになりました。
イギリスのエリザベス女王やフランス王妃のマリー・アントワネットもビスケットを好んでおり、宮廷で作られていたと言われています。
クッキーとは?
クッキーは、砂糖や油脂を多く含み、水分を控えめにした生地で作られます。その結果、サクサクとした食感が特徴です。
クッキーの語源は、オランダ語の「クオキエ」という言葉で、「小さなお菓子」を意味します。
オランダ人がアメリカに移住し、クオキエを作って販売したところ、大きな人気を博しました。
すぐにこのお菓子はアメリカ全土に広まりました。アメリカでは、一般家庭で手作りされる家庭菓子として親しまれ、手で固めて作るため、ゴツゴツとした見た目が特徴です。
サブレとは?
サブレはフランスで誕生した焼き菓子で、日本では一般的にクッキーの一種として認識されています。
一般的なクッキーやビスケットに比べて、サブレはショートニングやバターを多く使用し、通常、ベーキングパウダーは使用されません。
サブレの語源にはいくつかの説がありますが、17世紀にサブレ伯爵夫人のレシピがフランス社交界で大流行し、そこから世界中に広まったと言われています。
また、サブレが持つサクサクとした食感から、「砂」を意味するフランス語の「サブル」に由来するという説もあります。
世界でのビスケットとクッキーの違い
アメリカでのビスケットとクッキーの違い
アメリカでのビスケットとクッキーの違いは次のようなものがあります。
ビスケットは通常、小麦粉、脂肪(バターやショートニング)、ベーキングパウダー、塩などの基本的な材料で作られます。
脂肪をカットイン(粉を脂肪に混ぜ込む)して作られ、ふんわりとしたテクスチャーが特徴です。
クッキーは砂糖、バター、小麦粉、卵、ベーキングパウダーなどが主な材料であり、ビスケットよりも甘く、しっとりとしたテクスチャーを持っています。
ビスケットは通常、丸い形状で、オーブンで焼かれます。また、生地が比較的厚いことが一般的です。
クッキーは、生地を丸めて平らに広げ、焼くことで平らな形状に仕上げられます。また、クッキーの方が一般的に薄く、広くなります。
ビスケットは通常、朝食や食事の一部として食べられることが多く、特に南部の料理ではビスケットが重要な役割を果たしています。ビスケットはソーセージやグレービーと一緒に食べられることが一般的です。
クッキーはスナックとして食べられることが一般的で、デザートとして提供されることもあります。チョコレートチップクッキーやオートミールクッキーなど、さまざまなフレーバーがあります。
これらの違いにより、アメリカの食文化ではビスケットとクッキーがそれぞれ異なる用途や味わいを持ち、広く愛されています。
イギリスでのビスケットとクッキーの違い
イギリスでのビスケットとクッキーの違いは次のようなものがあります。
ビスケットは、小麦粉、砂糖、バター、およびさまざまな風味付け(例: チョコレート、果物、ナッツなど)で作られます。ビスケットの生地は一般的に堅く、しっかりとしたテクスチャーを持ちます。
クッキーも同様に小麦粉、砂糖、バターを主な材料として使用しますが、クッキーは通常、卵やベーキングパウダーを加えることで、より柔らかくてもちもちしたテクスチャーを持ちます。
イギリスのビスケットは一般的に平らで、円形または四角形の形状をしています。ビスケットの表面には模様や穴があることがあります。
クッキーは一般的に丸くて平らな形状をしています。また、クッキーの表面にはチョコチップやナッツなどの追加のトッピングが施されることがあります。
イギリスのビスケットは、お茶の時間やスナックとして、または単体で食べられることが一般的です。様々な種類のビスケットがあり、例えばリッチティーやデジェスティブビスケットが有名です。
イギリスのクッキーは、おやつやデザートとして食べられることが一般的です。特にチョコチップクッキーやショートブレッドが人気があります。
これらの違いにより、イギリスの食文化ではビスケットとクッキーが異なる用途や味わいを持ち、広く愛されています。
オランダでのビスケットとクッキーの違い
オランダでのビスケットとクッキーの違いは次のようなものがあります。
ビスケットは通常、小麦粉、砂糖、バター、卵、そしてベーキングパウダーなどの材料で作られます。ビスケットは通常、比較的硬くてクリスピーなテクスチャーを持ち、甘さが控えめです。
クッキーも同様に小麦粉、砂糖、バター、卵を使用しますが、通常、クッキーはより柔らかくてもちもちとしたテクスチャーを持ちます。クッキーにはチョコチップやナッツなどのトッピングが頻繁に使われます。
オランダのビスケットは一般的に平らで四角いまたは長方形の形状をしています。ビスケットは、特に伝統的な種類では表面に模様が付けられています。
クッキーは一般的に丸く、平らな形状をしています。クッキーは生地を丸めて広げ、オーブンで焼くことで作られます。
オランダのビスケットは、コーヒーや紅茶の時間に一緒に楽しむことが一般的です。また、朝食やおやつとしても人気があります。代表的なオランダのビスケットには、スペキュロスやストロープワッフルがあります。
オランダのクッキーも朝食やおやつとして人気がありますが、特に子供たちに人気があります。クッキーは様々なフレーバーやトッピングで提供され、パーティーや特別なイベントでよく見られます。
これらの違いにより、オランダのビスケットとクッキーは異なる用途や味わいを持ち、食文化の重要な一部となっています。
オーストラリでのビスケットとクッキーの違い
オーストラリアにおけるクッキーとビスケットの違いは次の通りです。
オーストラリアのクッキーは通常、小麦粉、砂糖、バター、卵、そしてチョコレートチップやナッツなどの追加の風味付け材料で作られます。クッキーはしっとりとしたテクスチャーを持ち、通常は比較的柔らかめです。
オーストラリアのビスケットも小麦粉、砂糖、バターなどを主な材料として使用しますが、クッキーよりも少し硬めのテクスチャーを持ちます。
ビスケットにはさまざまな種類があり、例えば、チョコレートビスケット、バタービスケット、オートミールビスケットなどがあります。
オーストラリアのクッキーは一般的に丸く、平らな形状をしています。クッキー生地は丸められ、オーブンで焼かれます。
オーストラリアのビスケットは一般的に四角いまたは長方形の形状をしています。ビスケットは生地を丸めて広げ、押し型で形を整えたり、切り分けたりして作られます。
オーストラリアのクッキーは一般的にスナックやデザートとして楽しまれます。
特に、チョコレートチップクッキーやオートミールクッキーが人気です。
オーストラリアのビスケットは、お茶の時間やコーヒーブレイクの際に一緒に楽しむことが一般的です。ビスケットは伝統的に茶やコーヒーに浸して食べられることもあります。
オーストラリアでは、クッキーとビスケットはそれぞれ異なる味わいや用途を持ち、人々に愛されています。
ニュージーランドでのビスケットとクッキーの違い
ニュージーランドにおけるクッキーとビスケットの違いは以下の通りです。
ニュージーランドのクッキーは通常、小麦粉、砂糖、バター、卵、およびチョコレートチップやナッツなどの追加の材料で作られます。クッキーはしっとりとしたテクスチャーを持ち、通常は柔らかめです。
ニュージーランドのビスケットも同様に小麦粉、砂糖、バターなどを主な材料として使用しますが、クッキーよりもやや硬めのテクスチャーを持ちます。
ニュージーランドのクッキーは一般的に丸く、平らな形状をしています。クッキー生地は丸められ、オーブンで焼かれます。
ニュージーランドのビスケットは一般的に四角いまたは長方形の形状をしています。ビスケットは生地を丸めて広げ、押し型で形を整えたり、切り分けたりして作られます。
ニュージーランドのクッキーは一般的にスナックやデザートとして楽しまれます。特に、チョコレートチップクッキーやオートミールクッキーが人気です。
ニュージーランドのビスケットは、お茶の時間やコーヒーブレイクの際に一緒に楽しむことが一般的です。ビスケットは伝統的に紅茶やコーヒーに浸して食べられることもあります。
ニュージーランドでは、クッキーとビスケットはそれぞれ異なる味わいや用途を持ち、人々に愛されています。
まとめ
クッキーとビスケットは、両方とも広く愛される焼き菓子ですが、いくつかの違いがあります。
クッキー
クッキーは通常、小麦粉、砂糖、バター、卵を主な材料として使用します。
しっとりとしたテクスチャーを持ち、通常は柔らかめです。
形状は丸く、平らな形状をしています。生地を丸めて広げ、焼いて作ります。
用途としては、スナックやデザートとして楽しまれます。
ビスケット
ビスケットは通常、小麦粉、砂糖、バター、またはショートニング、そして時にはベーキングパウダーを主な材料として使用します。
比較的硬めのテクスチャーを持ち、しばしばクリスピーな食感が特徴です。
形状は四角いまたは長方形の形状をしています。生地を丸めて広げ、押し型で形を整えたり、切り分けたりして作ります。
用途としては、お茶の時間やコーヒーブレイクの際に一緒に楽しまれ、伝統的には飲み物に浸して食べられることもあります。
両方の焼き菓子は、さまざまなフレーバーやトッピングで提供され、世界中で広く楽しまれています。それぞれの国や文化によって微妙な違いがありますが、どちらも甘くておいしいおやつとして愛されています。