つみれ煮は、島根県の伝統料理の一つで、地域では広く親しまれています。この料理の主な材料は、沖ギス、アジ、トビウオ、ごぼう、人参などです。
島根県は海岸線が長く、豊かな漁場が広がっています。
対馬暖流が流れる沖合は特に豊かで、まき網漁や底びき網漁、定置網漁、一本釣り漁など様々な漁法が行われています。
これらの漁法で収穫される沖ギスやアジ、トビウオなどは、すり身にされ、ごぼうやねぎなどと混ぜてつみれにされ、「つみれ煮」や「つみれ汁」として食べられます。
特に「つみれ煮」には、地元で沖ギスがよく使われます。
沖ギスは小ぶりで、一匹だけでは物足りないため、複数匹をミンチにしてつみれにすることが一般的です。
沖ギス以外にも「トンコロイワシ」と呼ばれることもあります。
沖ギスは通年手に入りますが、旬は12月から2月で、この時期には特に脂がのっています。新鮮な状態で食べるためには、一夜干しなどの加工が行われます。
「つみれ煮」の調理方法はさまざまで、野菜を入れて蒸したり、出汁で煮たりします。
さっぱりとした風味を加えるためにしょうが汁を使ったり、ヤマイモをつなぎに加えることもあります。
また、つみれ状に成形して揚げたり、なめろうにしたりすることもあります。
沖ギスは鮮魚店やスーパーマーケットで手に入りますし、冷凍保存もできるため利便性が高いです。地元の飲食店でも、地元産の魚をつみれ煮として提供しています。
つみれ煮の作り方と材料
つみれ煮の材料
沖ギスのミンチ 500g
片栗粉 50g
卵白 2個分
塩、酒 少々
みりん 少々
生姜の絞り汁 少々
ねぎ 適量
昆布だし汁 200cc
塩 5g
淡口醤油 30cc
みりん 30cc
生姜の絞り汁 少々
生姜 適宜
つみれ煮の作り方
1:沖ギスを解凍し、頭や内臓を取り除き、骨ごとたたいてミンチ状にする。 (フードプロセッサーを使っても可。)
2:1にみじん切りにしたねぎの半量と調味料を加え、片栗粉と卵白と一緒によく混ぜる。
3:昆布だし汁に調味料を加え、2を小さめのつみれ状にして加え、煮る。
4:つみれが浮いてきたら、淡口醤油と塩で味を調え、最後に残りのみじん切りねぎと千切り生姜をのせる。
レシピのアレンジ
トビウオやアジを使用したり、混ぜ合わせてつくることもできます。
※レシピは地域や家庭によって異なる場合があります。
沖アジとは?
オキアジは、アジ科の代表種であるマアジよりも平べったい形をしており、その名前は沖合で見られることに由来すると言われています。
しかし、実際には沖合だけでなく沿岸海域にも生息し、体長40cmくらいまで成長します。
日本近海では南日本などの暖かい海域が分布の中心であり、冬場には沖縄でまとまって漁獲されることがあります。
したがって、マアジのように日本各地でたくさん漁獲されるわけではありませんが、丹後の海では時折、南の海から対馬暖流に乗って回遊してきた群れが定置網で捕獲され、市場にも並びます。
アジ科の魚は味のよさで知られており、逆に「味」の語源はアジとも言われるほどですが、オキアジもその例外ではありません。
つみれの特徴
つみれとは、主にイワシやアジ、サンマなどの青魚のすり身を使用して作られる料理であり、つくねとは異なるものであることが一般的に誤解されています。
つみれは、指先やスプーンを使って生地を摘んで煮汁などに入れるのに対し、つくねは生地をあらかじめ成形している点が異なり、材料の違いではないのです。
つみれの作り方
1:魚肉や畜肉のすり身に、鶏卵や澱粉などのつなぎを加えて練り、手で一口大にちぎります。
2:煮立っただし汁の中に落として加熱します。
3:事前に成形せず、手で摘んで湯に入れることから「つみいれ」「つみれ」と呼ばれます。スプーンなどでつまみ取って湯などにくぐらせて加熱することもあります。
使用される魚の種類は地域によって異なります。
関東ではイワシやアジ、九州や日本海沿岸ではトビウオなど青魚が使われることが一般的ですが、北海道ではスケソウダラ、関西ではエソなど白身魚も使われます。
材料によって仕上がりの見た目や味わいが異なります。
海外のつみれ
中国の中華料理では「魚丸」と呼ばれ、潮州料理や福州料理などでよく使われます。
また、香港では「魚蛋」と呼ばれ、唐辛子やカレー味の汁で煮て、串刺しにしたものは学生のおやつとしても人気があります。さらに、東南アジア諸国でも様々な種類のつみれがあります。
まとめ
つみれ煮は、島根県の郷土料理の一つであり、青魚のすり身を主な材料として用いることが特徴です。
以下に、つみれ煮に関するまとめを提供します。
主な材料は、青魚のすり身(沖ギス、アジ、トビウオなど)、野菜(ごぼう、人参、ねぎなど)、調味料(昆布だし、塩、醤油、みりんなど)です。
魚のすり身に野菜や調味料を混ぜ合わせ、つみれの形にしてから煮込みます。
つみれを手で摘んで湯に入れて加熱するのが一般的ですが、事前に成形してから煮る場合もあります。
使用される魚や野菜は地域や季節によって異なります。青魚の種類や地方の特産品を活かしたつみれ煮があります。
冬場には特に脂がのっている沖ギスが好まれ、季節ごとに味わいが異なります。
魚介類の旨味と野菜の風味が溶け合い、さっぱりとした煮汁が特徴です。
地域によってレシピや味付けに微妙な違いがあり、その土地ならではの味わいを楽しめます。
ヘルシーな食材を使用しており、栄養価も高く、地域の人々に親しまれています。
日本以外のアジア諸国でも、類似した料理が存在します。中国では「魚丸」として、香港や台湾などでさまざまなバリエーションが楽しまれています。
つみれ煮は、日本の地域ごとの食文化や季節の移り変わりを感じられる料理であり、その風味や歴史を楽しむことができます。