大器晩成の故事成語はどんな意味なの?

大器晩成とは、器の大きさが完成するまでに時間がかかることから、本当に偉大な人物も成功するのには時間がかかるという意味の言葉です。

この言葉は、才能のある人々が逆境に立ち向かう際の励ましとしても使われます。

この言葉の由来は、中国の古典である「老子道徳経」にあります。

そこでは、「大方無隅、大器晩成」という言葉が登場します。

この文脈では、大きな器は作り上げるのに時間がかかるものの、必ずしもすぐに完成するわけではないという意味が込められています。

「大器」とは、偉大な才能を持つ人を指し、「晩成」は長い時間を費やして成し遂げることを意味します。

大器晩成の由来を紹介

大器晩成という表現は、中国の古典「老子道徳経」に由来します。この古典には次のように書かれています。

「老子道徳経」においては、大器は造るのに時間がかかるが、必ずしもすぐに完成するわけではないという解釈がなされています。

また、中国の歴史書「三国魏志」には、魏の武将が従弟に対し、大器晩成を例に挙げて励ました後に、従弟が成功を収めたという逸話が記されています。

このことが、大器晩成が現在の意味で用いられるきっかけとなったと言われています。

老子道徳経とは?

老子(ろうし)は、古代中国の思想家であり、儒教や道教の源流とされる人物です。

「老子道徳経」は、老子が著したとされる古代中国の哲学書であり、中国の古典の一つです。

全文は五千余字からなり、主に道教の基本的な考え方や道徳観、政治思想などが述べられています。

この経典は、老子の思想を記したものとされていますが、実際の作者や成立時期については諸説あります。

一般的には、老子の時代を基に前後五世紀ごろに成立したとされています。

「老子道徳経」の中で、『道徳経』とも呼ばれる章句の一つである「道徳経」という部分があり、これが特に有名です。

この章句では、老子が道(道、または道徳の意)についての考えを述べており、その内容は中国の思想史に大きな影響を与えました。

老子の主張する「無為自然」「無為而治」「無為而成」といった考え方は、後の道教や中国の政治思想にも影響を与え、広く中国文化圏において重要な位置を占めています。

大器晩成は何歳から当てはまるの?

成功と大器晩成は、年齢に関して個人によって異なる見解がありますが、一般的には40代から50代の中年以降に成功した人が多く見られます。

『論語』には、「三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る……」という有名な言葉があります。

これは、30歳で自立し、40歳で迷いがなくなり、50歳には天から与えられた使命を知るという意味です。

この文から考えると、大器晩成の人は珍しくないと言えるでしょう。

大器晩成型の女性は、コツコツと誠実に努力を重ね、何年もかけて成功を収めるタイプです。

真面目で誠実な性格であり、周囲から好感を持たれ、応援されることが多いとされています。

また、若い頃に比べて人生の後半に開運する傾向があり、50歳頃に生きがいを見つけ、充実した人生を送ることができるかもしれません。

大器晩成型の人は、強いメンタルが必要であり、未来が確約されていない中でも努力を続けることが求められます。

大器晩成とはただ時を待つことではなく、何を積み重ねてきたかが重要です。

大器晩成型と関連する星座としては、やぎ座や乙女座などが挙げられます。

やぎ座の女性は、若い頃から落ち着いた大人の印象を与え、年齢を重ねるごとに魅力が増すと言われています

。一方、乙女座の成功には努力が必要であり、頑張らないモードのスイッチをONにしていると大器晩成型になる可能性があるとされています。

大器晩成の類語を紹介

大器晩成と同様に、成功や才能が時間をかけて開花することを表す故事成語や類語はいくつかあります。

鶏口牛後(けいこうぎゅうご)

解説:「鶏口」は小さな口、つまり小さな始まりを指し、「牛後」は大きな後になることを意味します。つまり、最初は小さいことから始まり、徐々に大きなものに成長することを表します。

一寸の虫にも五分の魂(いっすんのむしにもごぶのたましい)

解説:この成語は、一見地味なものでも、内には大きな潜在能力があることを表しています。一寸(ちょっとした)虫にも、五分(十分な)の魂が宿るという意味です。

水滴石を穿つ(すいてきいしをうがつ)

解説:水滴が石を穿つように、長い時間と継続した努力があれば、どんな困難な状況でも克服できるという意味があります。

千里の道も一歩から(せんりのみちもいっぽから)

解説:長い旅も最初の一歩から始まることを指し、何事も最初の一歩が重要であることを表します。大きな成功も小さな始まりから始まるという意味です。

継続は力なり(けいぞくはちからなり)

解説:長期間にわたる努力や継続した取り組みが、成功へと導く力を持つことを表します。諦めずに続けることが重要であることを示します。

これらの故事成語は、大器晩成と同様に、時間や努力が必要であることを示唆しています。成功や成長には、根気強く努力を重ね、長期間にわたって粘り強く取り組むことが不可欠です。

大器晩成の故事成語を使った例文を紹介

大器晩成を示す言葉や表現を使った例文を複数挙げてみます。

例文:大器晩成の彼は、若い頃は目立たなかったが、30歳を過ぎてからその才能が開花し、業界で注目を集める存在となった。

解説:この例文では、「大器晩成」という言葉が直接使われており、その後に若い頃は地味であったが、時間とともに成長し、成功を収めた人物の姿が描かれています。

例文:彼女は大器晩成型のタイプだ。長い年月をかけて努力を積み重ね、40代になってからその本当の輝きを見せ始めた。

解説:ここでは、「大器晩成型」という言葉が使われ、その後に長い年月をかけた努力の結果、40代になってから成功を収めるタイプの人物が描かれています。

例文:彼の人生は大器晩成の典型例だ。最初は苦労していたが、地道な努力と忍耐が実を結び、50歳を過ぎてから成功を掴んだ。

解説:ここでは、「大器晩成の典型例」という言い回しが使われ、最初は苦労があったが、長期間の地道な努力と忍耐が成功へとつながった人物の例が示されています。

例文:彼は大器晩成型のキャリアを歩んできた。20代の若さでの失敗を乗り越え、30代から徐々に実績を積み重ね、50歳を超えてから真の成功を手にした。

解説:この例文では、「大器晩成型」という表現が使われ、若い頃の失敗を経て、時間をかけて実績を積み重ね、50歳を過ぎてからの成功を果たした人物のキャリアが描かれています。

これらの例文は、大器晩成を示す言葉や表現を使って、人物の成長や成功の過程を描写しています。

まとめ

大器晩成は、人や事物が成長や成功に時間を要することを指す言葉です。

主に才能や能力が遅れて開花することを表現し、若い頃は目立たず地味な存在であっても、時間とともにその素質が発揮され、大きな成果を収めることがあることを示しています。

この概念は、古代中国の故事や古典文学に由来し、道教や儒教の思想にも影響を与えました。

具体的には、老子道徳経などの古典文献において、大器は作るのに時間がかかるが必ずしもすぐに完成するわけではないという考え方が示されています。

大器晩成の考え方は、次のような特徴を持っています。

時間と努力の重要性: 大器晩成の人や事物は、時間と努力をかけて成長し、成功を収めるとされます。苦労や挫折を経験し、それを乗り越えることで本来の才能や潜在能力が開花すると考えられています。

根気と忍耐: 大器晩成を達成するには、根気強さや忍耐力が不可欠です。途中で諦めずに長期間にわたって努力を続けることが求められます。

期待と可能性: 若い頃から目立たない存在であっても、大器晩成の可能性を秘めていることがあります。成功や成長には時間がかかることもありますが、その過程で成長し、価値を示すことができるとされます。

年齢や経験の重視: 大器晩成の考え方では、若さや経験だけでなく、年齢や長い人生経験も重視されます。人生の後半になってから成功を収めることもあり得るとされます。

大器晩成は、挫折や苦労を乗り越え、根気強く努力を続けることで、最終的には大きな成果を得ることができるという希望を与えています。