「水魚の交わり」という表現は、中国の三国時代を記した『三国志』の「蜀志」諸葛亮伝に由来するとされています。
三国時代の蜀漢の初代皇帝である劉備は、卓越した才能を持つ諸葛亮を軍師として迎え入れ、深い信頼関係を築きました。
しかし、古参の家臣たちはその親密さに嫉妬し、不満を抱いていました。
劉備は彼らに対し、「諸葛亮は私にとって魚にとっての水のような存在だ」と説明し、納得させました。
三国志の蜀志とは?
『三国志』は中国の歴史書で、陳寿によって三国時代(魏・蜀・呉)の歴史が記されています。『三国志』は全65巻からなり、そのうちの一部分が「蜀志」です。「蜀志」は蜀漢の歴史と人物について記録された巻です。
蜀志の概要
「蜀志」は蜀漢(しょっかん)、つまり劉備、関羽、張飛などが属する国の歴史を中心に記述されています。以下に、蜀志の主要な特徴と内容について説明します。
成立背景
『三国志』は西晋の時代に、陳寿によって編纂されました。陳寿は蜀の出身であり、蜀漢の歴史や人物について詳しい記録を残しています。
「蜀志」は『三国志』の中で蜀漢の部分を担当しており、蜀漢の歴史や重要な出来事、人物の伝記などが詳細に記されています。
内容構成
「蜀志」は15巻から成り、劉備やその家族、主要な家臣たちの伝記が中心となっています。
劉備(玄徳)やその息子劉禅(後主)、軍師諸葛亮(孔明)などの著名な人物の伝記が含まれています。
また、関羽、張飛、趙雲、馬超、黄忠などの蜀漢の名将たちについての記述も多く見られます。
重要なエピソード
劉備が諸葛亮を三度訪ねて軍師に迎える「三顧の礼」。
諸葛亮の北伐など、蜀漢の重要な戦役や出来事。
劉備と孫権(呉の君主)の同盟関係、関羽の死とそれに続く出来事。
諸葛亮の死後、蜀漢が次第に衰退していく過程。
評価と影響
「蜀志」は蜀漢の視点から書かれているため、蜀漢の英雄たちが非常に高く評価されている部分があります。
『三国志』全体が後世の文学作品や歴史書に多大な影響を与えており、特に「蜀志」のエピソードは小説『三国志演義』やその他の文化作品に頻繁に引用されています。
「蜀志」は蜀漢の歴史やその登場人物の生涯を詳細に伝えており、三国時代の一角であった蜀漢の興亡を知る上で重要な資料となっています。
水魚の交わりを使った例文を紹介
水魚の交わりは、非常に親密で切り離せない関係を表現するために使われる故事成語です。この表現を使った例文とその解説をいくつか紹介します。
友人関係の場合
例文: 彼と私は幼い頃からの親友で、まるで水魚の交わりのような関係だ。
解説: この文では、「水魚の交わり」が使われて、幼少期からの親友関係の親密さを強調しています。水と魚のように切り離せない存在であることを示しています。
ビジネスパートナーの場合
例文: 社長と副社長の関係はまさに水魚の交わりで、どんな困難も一緒に乗り越えてきた。
解説: ここでは、会社のトップ二人の強い信頼関係と協力の重要性を表現しています。どんなに困難な状況でも共に助け合う関係性を示しています。
家族関係の場合
例文: 私と母は水魚の交わりのように、お互いに支え合って生活しています。
解説: 親子の関係を表すために「水魚の交わり」を使っています。家族の中で特に強い絆を持ち、お互いに頼りにしている様子を表現しています。
師弟関係の場合
例文: 師匠と弟子の関係は水魚の交わりのように深く、お互いの存在がなければ成り立たない。
解説: 師匠と弟子の間の強い結びつきと、お互いの存在が重要であることを強調しています。師弟関係の親密さと依存度を示しています。
恋人関係の場合
例文: 二人の関係は水魚の交わりのようで、離れては生きていけないほどの愛情を感じている。
解説: 恋人同士の深い愛情と絆を表現しています。お互いにとって必要不可欠な存在であることを強調しています。
チームメイトの場合
例文: チーム全員が水魚の交わりのように結束し、一丸となって試合に臨んだ。
解説: スポーツチームなどの団結力を表現しています。チームメイトの強い絆と連携の重要性を示しています。
共同研究の場合
例文: 研究者たちは、水魚の交わりのように協力し合い、重要な発見を成し遂げた。
解説: 研究チームのメンバーが緊密に協力し、共通の目標に向かって努力している様子を示しています。
これらの例文は、いずれも「水魚の交わり」の持つ強い絆や不可分な関係性を表現するのに適しています。
それぞれの文脈において、関係の親密さや切り離せない結びつきを強調するために使われています。
水魚の交わりの類義語を紹介
水魚の交わりに類似した意味を持つ故事成語や表現にはいくつかあります。以下にいくつかの類義語を紹介し、それぞれの意味や使い方について解説します。
心心相印(しんしんそういん)
意味: 互いの心が通じ合っていること。相手の気持ちを理解し、共感する関係。
解説: 「心心相印」は、心が一つになっている様子を表現します。お互いの気持ちを理解し合い、信頼しあう関係を指します。水と魚のように不可分な絆を持つことを示します。
手と手を取り合う(てとてをとりあう)
意味: お互いに手を取り合って助け合うこと。協力し、共に行動すること。
解説: 「手と手を取り合う」は、協力して困難を乗り越える様子を表現します。手を取り合って前進するように、お互いに支え合い、共に努力する関係を意味します。
肩を並べる(かたをならべる)
意味: 同じ目標や立場に立って、共に努力すること。困難を共に乗り越えること。
解説: 「肩を並べる」は、お互いに協力して一緒に進むことを意味します。肩を並べて前進するように、お互いが同じ方向に向かって一致団結し、共に頑張る関係を示します。
手を組む(てをくむ)
意味: お互いに手を組んで協力し合うこと。共同で行動すること。
解説: 「手を組む」は、お互いに手を取り合って協力し合う様子を表現します。手を組んで困難を乗り越えるように、お互いが協力し合う関係を示します。
これらの類義語は、「水魚の交わり」と同様に、強い絆や協力関係を表現する言葉です。お互いに助け合い、共に困難を乗り越えることを象徴しています。
まとめ
水魚の交わりは、非常に親密で不可分な関係を表現する故事成語です。
その由来は、中国の古典『三国志』の中にある諸葛亮と劉備のエピソードに基づいています。以下に、この故事成語についてのまとめを示します。
水魚の交わり
意味: 非常に親密で切り離せない関係を表現する言葉。水と魚のように密接なつながりを持つことを指す。
由来: 中国の古典『三国志』の中に、蜀漢(劉備)の初代皇帝である劉備が、その軍師である諸葛亮に対して「水魚の交わり」という言葉を用いたエピソードがあります。
劉備は、諸葛亮との関係が非常に親密で切り離せないものであることを表現するために、「私にとって、諸葛亮がいることは、魚にとっての水のようなものなのだ」と述べました。
特徴
非常に親密な関係を示す。
お互いが切り離せないほどの絆で結ばれている。
互いになくてはならない存在であることを強調する。
使用例
友人関係、家族関係、恋人関係、ビジネスパートナー関係など、様々な人間関係で使われる。
お互いが助け合い、信頼し合っている関係を表現する際に用いられる。
水魚の交わりは、水と魚が切り離せないほど密接な関係を持つことから、人間の関係においても同様に強い絆を示す言葉として用いられます。
常に共にいて、お互いを支え合う存在であることを強調します。