クレヨンとクレパスの違いとは?

クレヨンとは、パラフィンや蝋などの材料と顔料を混ぜて作った、棒状の絵具です。

クレヨンは硬いので、線で描くのに適していますが、色を混ぜたり、重ね塗りや面を描くには向いていません。

そのため、クレヨンは主にクロッキーやスケッチ、線画などに使われます。日本では、この種の絵具を指して一般的に「クレヨン」と呼びますが、広義では、鉛筆やコンテ、パステル、チョークなども含まれ、フランス語では、これらを使った絵画全般を指します。

クレパスは、液体油をクレヨンの原料に混ぜた棒状の絵具です。

1925年に株式会社サクラクレパスによって開発され、「クレパス」は商標登録されています。

一般的には「オイルパステル」と呼ばれますが、「クレパス」は特定の商品名です。

この名前は、定着性があって使いやすいが、線画以外には不向きなクレヨンと、微妙で柔らかい色合いを表現できるが、粉状で定着性がないパステルの長所を兼ね備えているからつけられました。

クレパスは、クレヨンよりも柔らかく伸びが良いので、面を描くことができ、厚塗りもできます。そのため、色を混ぜたり、重ね塗りやスクラッチ技法など、さまざまな表現が可能です。

クレヨンとは?

クレヨンは、溶かした蝋や顔料を混ぜて冷やして固めた棒状の絵具です。

その起源にはいくつかの説がありますが、現代の形式は19世紀にフランスで発明されました。

アメリカでは1903年にビニー&スミスが「クレヨラ」としてクレヨンを生産し、日本では大正時代に自由画教育の普及とともに広まりました。

手を汚さず手軽に彩色できるため、初等教育や児童画によく利用されます。硬質なので、塗り重ねには向きませんが、紙の質感を反映した素朴な描線が得られ、耐水性があります。

また、オイルパステルなどから派生したクレヨンは、より柔らかく、さまざまな技法に応用が利きます。

「crayon」はフランス語で「白亜」を意味する「craie」と「小片」を意味する接尾辞「on」が組み合わさったもので、18世紀末まではパステルや画用木炭を含むさまざまな固形描画材を指していました。

現代では、美術の分野では、つなぎ剤を用いた固形描画材を指します。

クレヨンの種類を紹介

クレヨンは通常のタイプに加えて、各社からさまざまな種類が販売されています。太巻きタイプは、太い線や面を塗るのに適しており、折れにくい特徴があります。

水性クレヨンは、水や石鹸で簡単に落とすことができます。材料には乳化された蝋やポリエチレングリコールなどが使用されます。

リトクレヨンは、リトグラフ用に油脂分が多いクレヨンです。グリースペンシルのような形状のものも作られています。

ヨーロッパの玩具の安全規格(EN 71)を満たす製品にはCEマークが付けられ、米国画材・工芸材料協会(ACMI)の基準を満たす製品にはAPマークが付けられます。

日本産業規格(JIS)にもEN 71に準じた安全規格を含むJIS S 6026「クレヨン及びパス」がありますが、1998年以降、日本絵具クレヨン工業協同組合がJIS表示許可を返上したため、JISマークは付けられず、規格に基づいた自主検査が行われています。

クレヨンを含む玩具の安全性に関する国際規格としてISO 8124が存在します。

クレパスについて

クレパス(オイルパステル)は、棒状の油性固形描画材の一種であり、油性のパステルまたは軟らかいクレヨンに分類されます。

クレヨンの主原料である着色顔料と蝋に加えて、液体油と体質顔料を含んでいます。そのため、柔らかく、画面上で盛り上げたり伸ばすこともでき、より多彩な技法が可能です。

日本で生まれたこの描画材は、1925年に「クレパス」としてサクラクレパス社から発売されました。

これは大正時代に自由画教育運動を推進した山本鼎の提案によるもので、簡便でありながらも、クレヨンのように硬く線画以外の表現に限られたものと、パステルのように粉状で定着性に欠けるという欠点を解消したものです。

クレパスという名前は商標登録されており、他社の製品も含める場合、日本では一般的に「パス」とも呼ばれます。

アメリカでは1940年にPrang社が学童向けのオイルパステルを製造し、ヨーロッパでは1949年にフランスのセヌリエがアンリ・ゲッツとパブロ・ピカソの要望に応えて専門家向けのオイルパステルの製造を開始しました。

さらに、国内外の画材メーカーが様々な製品を製造しています。

初めから児童画に広く使用されており、特に日本ではその比率が高いですが、ヨーロッパでは一般の画家にも比較的使われています。

濃密な質感を表現できるため、第二次世界大戦中には洋画家たちによって油絵具の代替としても使われましたが、その後は一般的には使われなくなりました。

クレパスの特徴

不透明な質感であり、光沢が抑えられている。

定着剤を必要としない。

指や布で画面上での伸ばしや混色が可能。

硬いクレヨンとは異なり、下地を覆い隠す面塗りが容易に行える。

色を重ねて塗ることができ、層を掻き落とすスクラッチ技法も可能。

こすりつけたり加熱して盛りつけることで、絵具が盛り上がるインパスト風の質感が作れる。

油絵用の揮発性油で溶かすことができる(揮発性油は有毒・可燃物であるため、取扱には注意が必要)。

粗面であれば(製品によっては光沢面でも)、様々な材質に描画が可能。また、工業用の固形マーカーとしても利用される。

作品完成後も画面は柔軟性を保ち、こすれば色が移るため、画面を保護するためにはコーティング用のワニスが利用される。経年変化により油分の浸透やブルームが生じることもあり、これを抑えるためにも保護剤が使用される。

多くの製品は安全性の高い材料で作られており、欧州統一規格EN 71(CEマーク)、米国画材・工芸材料協会の承認(ACMI APマーク)、国際規格ISO 8124に適合しており、重金属などの有害物質を含んでいない。

日本工業規格JIS S 6026「クレヨン及びパス」もEN 71に準拠した安全規格を規定しているが、1998年以降JISマークは使用されず、自主検査が行われている。

まとめ

クレヨンとクレパスは、両方とも棒状の絵具であり、それぞれ特有の特性を持っています。

まず、クレヨンはパラフィンや蝋などの材料と顔料を混ぜて作られ、硬質なため主に線描に適しています。

幼児のお絵描きやスケッチによく使われる一方で、混色や重ね塗りには向いていません。

また、日本では一般的に「クレヨン」と呼ばれる絵具には、鉛筆やパステルなども含まれる広義の意味もあります。

一方、クレパスは油性の固形描画材であり、軟らかく、画面上での盛り上げや伸ばし、混色が可能です。

クレヨンよりも技法の応用性が高く、厚塗りやスクラッチ技法など様々な表現が可能です。クレパスは、クレヨンとパステルの中間の特性を持ち、特定の商品名として登録商標も存在します。

両者とも安全性が高く、欧州統一規格や国際規格に適合しています。絵画や児童の描画教材として広く用いられており、それぞれの特性を活かした表現が可能です。