虎穴に入らずんば虎児を得ずとは?どういった意味なの?

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」は、「成功するためにはリスクを冒さなければならない」という意味です。

虎児は文字通り虎の赤ちゃんで、ここでは成功を指します。

虎児を得るには、虎が住む穴に入らなければならないことから、成功するにはそれなりの危険を冒さなければならないという意味合いです。

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」は「こけつにいらずんばこじをえず」と読みます。しばしば「はいらずんば」と誤読されますが、正しくは「いらずんば」ですので、注意が必要です。

虎穴に入らずんば虎子を得ずの由来とあらすじを紹介

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の由来は、中国の歴史書「後漢書」に登場する武将・班超の言葉にあります。

古代中国、班超は皇帝の命を受けて西城に派遣されました。最初は友好的に迎えられましたが、匈奴からの使者が到着すると、その扱いは冷たくなりました。

班超とその部下たちは、「王が匈奴に寝返り、我々は皆殺しにされるかもしれない」という恐れにさいなまれました。

匈奴の軍勢は圧倒的に優勢でしたが、班超は敵陣に奇襲をかけることを決断し、「虎穴に入らずんば虎子を得ずだ。匈奴に夜襲を仕掛けよう」と部下たちに呼びかけました。

この言葉は、部下たちの士気を鼓舞するために班超が発したものでした。結果、その夜の奇襲は成功し、班超は大勝利を収めたと伝えられています。

班超とはどんな人物?

後漢書に登場する武将・班超(はんちょう)は、中国後漢時代の武将・政治家であり、西域における重要な外交官でもありました。

班超は、紀元前1世紀後半から2世紀前半にかけて活躍しました。

彼は当初、漢の都である長安の近くで教育を受け、学問に秀でた青年でした。その後、外交官として遠方の地域に派遣される機会を得ました。

彼の最も有名な業績は、西域(現在の中央アジア地域)の探検と外交です。

班超は、匈奴との交渉や、西域諸国との連絡役として重要な役割を果たしました。特に、西域への使節団を率いてその地域の探索や支配を試みたことが知られています。

また、班超は軍事的にも活躍し、匈奴や他の西域の部族との戦闘においても成功を収めました。

彼の有名な言葉「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は、その冒険心と果敢さを象徴する言葉として後世に残されています。

班超は後に、政治的な理由で失脚し、長安で病没しましたが、その業績と冒険精神は後漢時代の中国史において重要な位置を占めています。

虎穴に入らずんば虎子を得ずを使った例文を紹介

例文1:「彼は就職活動で全国各地を訪れ、遠方の企業にも挑戦しました。虎穴に入らずんば虎子を得ずの精神で、見事に理想の仕事を見つけることができたのです。」

解説: この例文では、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」が就職活動における積極的な行動を表しています。候補者は自分の地域だけでなく、遠方の企業も探索し、リスクを冒して新たなチャンスを手に入れました。

例文2:「彼女はスポーツの大会に初参加しました。初めての舞台で不安もありましたが、虎穴に入らずんば虎子を得ずの精神で全力を尽くし、見事に優勝を果たしました。」

解説: ここでの「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は、初めての大会であるにもかかわらず、挑戦を恐れずに全力を尽くした結果、成功を収めたことを表しています。

例文3:「起業家は新しい市場に挑戦し、競争が激しい状況でもリスクを取りました。虎穴に入らずんば虎子を得ずの精神が、彼に成功をもたらしたのです。」

解説: この文では、起業家が市場の困難な状況にもかかわらず、新しいビジネスチャンスに挑戦したことが強調されています。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は、競争が激しい業界で成功するために必要な積極的な行動を示しています。

これらの例文は、それぞれ異なる状況で「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の精神がどのように適用されるかを示しています。この成語は、安全な場所に留まらず、リスクを冒して挑戦することの重要性を教えてくれます。

虎穴に入らずんば虎子を得ずの類義語を紹介

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」に類似した意味を持つ言葉や成語、表現には以下のようなものがあります。

高を括る

意味: 高い目標や難しい課題に挑戦すること。リスクや困難を覚悟して、大胆に取り組むことを意味します。

解説: 「高を括る」は、一般的には物事に対して自信や決意を持って取り組むことを指します。成功するためには、大胆にチャレンジし、リスクを冒す姿勢が求められます。

進取の精神

意味: 新しいことに積極的に取り組み、進んで行動すること。積極的な改革や革新を意味します。

解説: 「進取の精神」は、新しいアイデアや技術を導入し、変化に積極的に対応する意欲を表します。革新的な発想や行動力が重要視される状況で使用されます。

見切り発車

意味: 完全な準備が整っていない状態で行動に移ること。計画的でなくても、とりあえず始めることを指します。

解説: 「見切り発車」は、全ての準備が整ってからではなく、機会を逃さず即座に行動することを指します。リスクや不確定要素を覚悟しているという点で、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と似たニュアンスがあります。

初志貫徹

意味: 初めに立てた志や目標を最後まで貫くこと。最初の決意を持ち続け、困難に立ち向かう精神を指します。

解説: 「初志貫徹」は、最初に抱いた志や目的を曲げずに実現するための忍耐力や粘り強さを表します。成功するためには、最初の決意を持ち続け、一貫した行動をとることが重要です。

これらの類義語や成語は、それぞれが異なる文脈で使用されますが、共通しているのは挑戦し、リスクを冒すことの重要性を強調している点です。どれも成功や成果を得るためには、積極的な行動や決意が不可欠であることを示しています。

虎穴に入らずんば虎子を得ずの対義語を紹介

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の対義語として考えられる表現や成語について、いくつか紹介します。それぞれの意味と解説を付けて説明します。

安全第一

意味: 安全を最優先し、リスクを取らずに安全な道を選ぶこと。

解説: 「虎穴に入らずんば虎子を得ず」がリスクを冒して挑戦することを肯定するのに対し、「安全第一」は事前のリスク回避を重視する立場を示します。安全性や確実性を重んじる考え方です。

後ろ盾がある

意味: 何かに挑戦する際に、バックアップやサポートがあり、安全な状態で行動すること。

解説: 「後ろ盾がある」場合、自身の行動や決断が裏付けられており、大きなリスクを冒す必要がないという意味です。リスクを最小限に抑えつつ、安全な状態で目標に向かうことができます。

波風立てずに

意味: 問題やトラブルを避け、安全かつ平穏な状態を保つこと。

解説: 「波風立てずに」は、安全を最優先し、周囲に影響を与えずに事を進めることを指します。冒険やリスクを避け、安定性を重んじる立場を表しています。

これらの対義語は、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の対照的な態度や行動を示しています。安全や確実性を重視する立場と、リスクを冒して挑戦する姿勢との間にある対比を理解することができます。

まとめ

虎穴に入らずんば虎子を得ずは、中国の故事成語であり、冒険や挑戦を意味する言葉です。

意味と由来

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とは、「安全な場所にとどまっていては成果や成功を得られない」という意味です。

具体的には、虎が住む洞窟(虎穴)に入らなければ、その子どもである虎子を捕まえることはできないという比喩です。

この成語は、冒険心や果敢さを称え、リスクを冒して挑戦する精神を讃えるものとして、広く用いられています。

使用例と応用

日常生活やビジネス、スポーツなどさまざまな場面で、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の精神が引用されます。

成功を目指すためには、時には安全を犠牲にしてでも挑戦する姿勢が必要だという教訓が込められています。

また、計画や準備が整った後に行動することの重要性も含まれており、ただ無謀にリスクを取るのではなく、計画的な挑戦が求められる場面もあります。

似た意味の表現

「高を括る」や「進取の精神」といった言葉も、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と類似した意味合いを持ちます。

これらは、積極的に新しい挑戦に取り組むことや、自己の限界を超えて成長するためにリスクを冒すことを奨励する表現です。

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は、成功や成果を求めるためには時に冒険やリスクを恐れずに挑戦することの重要性を示す古典的な教訓です。