数字の「0」には2つの読み方がありますよね。それは「ゼロ」と「レイ」です。みなさんはこの2つの読み方の違いをご存知でしょうか。混同して使っている人も多いと思います。
そこで、今回は「ゼロ」と「レイ」の違いについて解説していきたいと思います。
結論:ゼロは英語、レイは漢語
ゼロは英語から入ってきた言葉で、全くないという状態を表します。
一方、レイは中国から伝わってきた漢語で、全くない、もしくはほんの少ししかないという意味を表します。
「0」の歴史
古代エジプトやローマなどでは、数学が発達しており、さまざまな概念が生み出されましたが、彼らは数字を主に暦法に用いていたため、0の概念は不要でした。そのため、彼らは0の概念を思いつくことができませんでした。
そして、0という概念を生み出したのは「無」という概念について思考を深めていた古代インド人でした。
インドで生まれた0の概念は世界中に伝わっていき、数学界で大発見とされました。
「ゼロ」をもっと詳しく
ゼロとはインドで生まれた0の概念がヨーロッパに伝わり、明治期の日本に英語として入ってきたものです。そのため、日本語にはもともとなかった表現です。
そして、ゼロはまったくないという意味を表します。例えば、事故ゼロ運動は、事故をまったくない状態にしましょう、という運動になります。
そして、ゼロはレイに比べて発音もはっきりしているので、聞き取りやすくするために用いることがあります。また、「無い」という意味を強調する場合にも、ゼロが使われます。
ちなみに、ゼロの漢字に「零」が使われることがありますが、これは完全に後付けの当て字であって、正式な読み方かどうかはかなりグレーゾーンです。
「レイ」をもっと詳しく
レイとはインドで生まれた0の概念が中国に伝わり、日本に入ってきたものです。そのため、漢語で日本にはもともとなかった表現です。
ちなみに、日本では昔、0の概念がなくても不自由なく生活できたため、和語で0を表す表現はありません。
そして、そんなレイはまったくない、もしくはほんの少しという意味を表します。そして、漢字では零と書きます。
みなさんもうお分かりだと思いますが、ゼロとレイとの一番大きな違いはほんの少しという意味があるかどうかです。
レイにはこの意味があるため、例えば降水確率を表す時には必ずレイパーセントと言います。なぜなら、降水確率は四捨五入で計算されており、0%とは0%以上5%未満のことだからです。ニュースなどでは必ずこのように読んでいます。
また、0時、0度、0点などはそれ自体が存在しない、というわけではないのでレイ時、レイ度、レイ点などと呼ばれます。
ただ、これには時、度、点などが英語ではなく日本語なので、それに合わせているという説も存在します。
また、私たちは普段、1をイチ、2をニなどと呼びますが、これらの読み方も漢語のものです。そのため、数字を読み上げるときには同じ漢語であるレイを用いたほうが適切でしょう。普通、イチ、ニ、スリーなどとは読み上げないですよね。それと同じです。
0はレイとゼロどっちで読む?
日本語には、数字を表すことばとしておもに2つの系統の言い方があります。
ヒトツ、フタツ、ミッツ…
これは、日本で古くから使われているやまとことば(和語)の言い方です。
イチ、ニ、サン…
これは、昔の日本人が、当時の中国の発音での一、二、三を日本語に取り入れたものです(漢語)。零[レイ]も、この漢語にあたります。
数を数えるのにあたって、日本語では和語と漢語という2つのものを伝統的に使ってきたのですが、ある時期に英語からゼロという言い方がもたらされました。
これはおそらく明治時代で、今から100年ちょっと前のことだと思います。和語・漢語の数え方に比べれば、歴史として浅いものです。
イチ、ニ、スリーと言ったら非常におかしく聞こえるのと同じように、0のところだけ歴史の浅い英語からの外来語ゼロを使うのはあまり好ましくない、という理由から、数字を読み上げるときなどはゼロを使わずレイと言うようにしているのです。
ただし、ゼロという発音はレイに比べて強く響くような印象もあるため、無いということを強調する場合には、放送で「ゼロ」を使うこともあります。
事故ゼロ 海抜ゼロメートル地帯 欠席者ゼロ
このように、ゼロが使われるのはまったく無いという意味の場合です。午前零時を午前ゼロ時と言わないのは、この場合に(あるものごとが)あるかどうかということを問題にしているわけではないからです。
電話番号や郵便番号などを読み上げるときにゼロを使わないのは、こういったこととも関係があります。
なぜ日本人は「0」を「ゼロ」と呼ぶのに、「0.1」の「0」は「れい」と読むのでしょうか?
ゼロとレイは漢字「零」の訓読み(英語発音 zirō)か音読み(中国語発音 Líng)かの違いです。
日常的に0をれいと読むひともいます。はっきりと聞き取りやすいのは2音節のぜろのほうなので(1音節の「れい」は前後のことばに埋没したり「れ」「れー」「え」「でい」「てい」などと聞こえてほかの意味にも取りうる音と紛らわしい)、とくに読み上げる数字を他者に聞かせる場合などは「ぜろ」とするひとは多いでしょう。
後ろに小数点がつく場合に「れい-てん」と言うのは、単に「ぜろ-てん」よりも言いやすいからではないでしょうか。
れい-てん-(0~9)という一連の音の中では、ほかの意味に取られることもほとんどないでしょうし。れいを省いててん-(0~9)としたって通じたりします。
まとめ
以上、この記事では、ゼロとレイの違いについて解説しました。
ゼロ:まったくないこと
レイ:まったくないこと、もしくはほんの少ししかないこと
このように、ゼロとレイとは実はまったく同じ表現というわけではないのです。注意して使っていきたいですね。
ゼロとレイの違いについて理解いただけたと思いますが、この2つの表現が使い分けられる背後にある理由をさらに詳しく考えてみましょう。
まず、ゼロとレイの違いは、その言葉自体の由来にあります。前述の通り、ゼロは英語に由来し、明治時代に日本に導入された言葉です。
このため、日本語の伝統的な表現方法には含まれていなかった言葉であり、英語圏の文脈や専門用語などで使用されています。
一方、レイは中国から伝わった漢語で、日本に入ってきた表現です。
日本では昔から0の概念が存在しなくても生活が成り立っていたため、日本語の伝統的な表現方法(和語)には含まれていませんでした。
しかし、このレイにはまったくないだけでなくほんのわずかしかないという意味も含まれています。そのため、数字の文脈で微細な差異を表現する際に便利です。
日本語において、数字の読み方には和語と漢語の2つの系統が存在します。和語としてヒトツ、フタツ、ミッツなどがあり、漢語としてイチ、ニ、サンなどが用いられます。
しかし、明治時代に英語由来のゼロが導入されたことから、数字を読み上げる際にはゼロを避け、レイを使用することが推奨されています。
この違いが顕著に現れるのは、小数点以下の数字を表現する際です。
たとえば、0.1はレイテン(「レイ」に「てん」を付ける)と言い、その微細な差異を明確に伝えるのに役立ちます。
一方、ゼロテンという表現はあまり使用されず、聞き手にとって明確でないことが多いため、レイテンという表現が好まれます。
最終的に、日本語においてゼロとレイは数字のない状態を表す表現として共存しています。
使い分けは文脈や微妙な意味の差異に依存し、伝統的な言語の流れや文化的な要素に根差しています。したがって、どちらを使用するかは具体的な状況に応じて決まります。