山は周囲の地形よりも高く盛り上がったものであり、丘は比較的小高い地形を指します。岳は険しい山々が続く地形を表します。
一般的に、丘は山よりも低く、傾斜が緩やかな地形とされていますが、特定の高さで山と呼ぶか丘と呼ぶかには厳密な基準は存在しません。
また、連なった山々を指して岳と呼びますが、何本の山が集まれば岳とか傾斜による険しさがどのくらいになると岳になるかについては具体的な規定がありません。そのため、山と岳を明確に区別する定義はありません。
国土地理院が発行する地形図において、最も低い山とされているのは、宮城県仙台市宮城野区蒲生にある「日和山」で、標高はたったの3mです。これは「丘」とも呼び難い高さです。
なお、日和山は築山と呼ばれ、人工的に造成された山であっても地形図に山として掲載されています。
秋田県南秋田郡大潟村にある「大潟富士」は、標高0mの築山であり、周囲の比高は日本一高い富士山の1,000分の1に設計されています。
しかし、歴史が浅く、人工的な要素が含まれているため、国土地理院は地形図への掲載を見送っています。
国土地理院が地形図に載せる条件は、「地元住民が山と呼んでいるか」「地元自治体が公式名称としているか」「国土地理院が記載を妥当と判断するか」の3点です。
人工的な山であっても、地元で「山」と呼ばれている歴史がある必要があります。
地形図への掲載の有無は別として、基本的には、地元住民が山と呼ぶならば「山」、山岳と呼ぶならば「山岳」、そして丘と呼ぶならば「丘」であるとされています。
山とは?
ブリタニカ百科事典によれば、相対的に高さが2,000フィート(610m)以上のものを山と定義しています。
国際連合環境計画における「山岳環境」は、以下の条件を満たす地点を山岳としています。
高度が少なくとも2,500m以上ある。
仰角が2度を越え、高度が少なくとも1,500m以上ある。
仰角が5度を越え、高度が少なくとも1,000m以上ある。
また、周囲半径7km以内で300m以上高度が上がっている場合、高度が少なくとも300m以上ある地点も山岳とされます。
この定義に基づくと、山岳地帯はユーラシアの33%、北アメリカの24%、南アメリカの19%、そしてアフリカの14%を占めています。
全陸地面積のおよそ24%が山岳地帯に該当します。
日本では、地方自治体の申請に基づいて、国土地理院が地図に「山」の表示を許可しています。
平地と山の区別は、国土地理院では明確な定義をしていません。
辞書などによれば、山は周囲に比べて地面が盛り上がり高くなっている場所とされています。
そのため、山の始まりは平らな地面が盛り上がり始めた地点と考えられます。
ただし、各山によって異なるため、標高○○m以上や地面の傾斜が○○度以上といった具体的な基準を設けることはできません。
興味があれば、山の前に立って感じながら、その山の始まりを見つけてみてください。
山の分類を紹介
山には複合的なものを山岳(連山、山地、山脈)と総称し、通常、地上にあるものは単に「山」と呼ばれ、海中の山は海山と呼ばれます。
地形の変動に基づく分類方法もあり、低山性山地、中山性山地、高山性山地に分類される。
山地の形成要因による分類方法もあり、
火山活動によって形成された山地(火山性山地)
浸食作用によって形成された山地(残存山地または浸食山地)
地殻の動きによって形成された山地
などが大まかな分類になります。
これらはさらにさまざまな観点から詳細に分類されています。
火山性山地は、形状や構造に基づいて単式火山と複式火山(または複成火山)に分類されます。
単式火山には成層火山や楯状火山が含まれ、複式火山にはカルデラや複数の単式火山の組み合わせが含まれます。
そして、カルデラ火山は二重式火山や三重式火山にも分類されます。
また、火山性山地は噴出場所によって陸上火山、海底火山、氷底火山に分類されます。
浸食山地の分類には、湿潤な地域で形成される「残丘」や、乾燥な地域で見られるインゼルベルクやボルンハルトなどがあります。
地殻の動きによる山地は、褶曲山地、曲隆山地、ドーム状山地、断層山地、傾動山地などに細分化されます。なお、人工的に築かれた山は築山と呼ばれます。
山の高さについて
山の高さ、つまり標高は、一般的には海面のジオイドからの距離で表され、これを海抜と呼びます。
地球上で最も高い山はヒマラヤ山脈に位置するエベレストで、海抜8,848メートルとされています。
ただし、海抜以外の指標に基づいて最高峰を評価することもできます。例えば、地球中心から見た最高峰は南米アンデス山脈のチンボラソ山で、海抜6,310メートルです。
地球は自転による遠心力で回転楕円体となっており、赤道付近が膨らんでいます。
そのため、赤道からわずか150キロメートル離れたチンボラソ山は、エベレストよりも地球中心から見て高さが2,150メートルもあります。
ハワイのマウナ・ケアも海抜4,205メートルですが、太平洋底から急激に10,203メートルも突き出ており、基盤からの標高では世界最高峰となっています。
日本国内では、最高峰は富士山で標高3,776メートルです。
一方、最も低い山は仙台市の日和山で標高3メートルです。ただし、山の定義や地形学的な分類、地図作成測量による見方には様々なものがあり、最も低い山を特定することは難しいです。
地球外の天体では、ジオイドに相当する面からの距離を標高とします。
ただし、天体ごとに海面がないため、それぞれ恣意的に定義されます。
例えば、火星のアレイドは、温度0.01℃で気圧610.5パスカルとなる面が対応します。日本語では地球上も地球外も山と呼ばれますが、英語ではMonsと呼ばれ、地球の山と区別されます。
太陽系で最も知られている最高峰は火星のオリンポス山で、標高は約27,000メートル(27キロメートル)に達します。
火星には他にもアルシア山(標高19キロメートル)、アスクレウス山(標高18キロメートル)、パボニス山(標高14キロメートル)など、地球よりも遥かに高い火山が存在します。
これは火星においてプレートテクトニクスがなく、マグマが同じ場所に堆積し続けるホットスポットが移動しないことによるものと考えられています。
山を外国語で言い換えると?
山という漢字は、英語を含むさまざまな国の言語で以下のように言い換えができます。
英語 mountain
中国語 山 (shān)
韓国語 산 (san)
ドイツ語 Berg
フランス語 montagne
スペイン語 montaña
イタリア語 montagna
ロシア語 гора (gora)
インドネシア語 gunung
タイ語 ภูเขา (phū kh̄āo)
ベトナム語 núi (núi)
山という漢字は、中国からの文化的な影響を受けて広く使われています。中国語や韓国語では、「山」という漢字がそのまま使われています。
英語では「mountain」という単語が山を指します。この単語は、ゲルマン祖語の「berga」に由来し、高く盛り上がった地形を表しています。
ロマンス諸語のドイツ語やフランス語では、「Berg」や「montagne」などの単語が山を表します。これらの単語は、ラテン語の「mons」や「mons-tre」に由来し、同じく高く盛り上がった地形を指しています。
ロシア語では「гора」という単語が山を表します。この単語は、スラヴ祖語の「gora」に由来し、同様に高い地形を指しています。
東南アジアの言語では、山を意味する単語は、原住民の言語からの借用語が多く見られます。
山という概念は、世界各地で似たような意味で用いられており、その表現も文化や歴史の影響を受けていることがうかがえます。
山の由来
山という漢字は、その語源や由来が古代の象形文字にさかのぼります。この漢字は、山の形状を表現しています。語源や成り立ちについては以下のようになります。
象形文字の起源: 「山」の原型は、山が平らでなく崩れた様子を表した象形文字から派生しています。古代の文字は、物事の形や特徴を描写したり印象づけたりするために使用されました。
形状の表現: 「山」の漢字は、垂直な線が地平線よりも高くそびえ立っている構図で山を表しています。この形状は、山が天に向かってそびえ立つ様子を表しています。
古代の変遷: 「山」の漢字は、古代の文字の中で変遷を経て現代の形になりました。その過程で線が簡略化され、より視覚的にわかりやすくなりました。
意味と象徴: 「山」は一般的に、自然の中での重要な要素であり、文学や宗教、哲学においても象徴的な意味を持っています。山は高揚感や穏やかさ、また時には試練や困難を象徴することもあります。
言語や文化において山がどれほど重要であるかを考えると、漢字の「山」がその形状や意味を通して、自然界の特徴を表現する力強い表現となっています。
丘とは?
丘は、その周囲よりも高いが山より低く、傾斜が緩やかな地形を指します。頂上が明確に見られ、周囲より高くて平らな場所は高台と呼ばれます。
山と丘の違いははっきりしておらず、この定義に合致する地形であっても、山または山岳と呼ばれることがあります。
丘陵は多数の丘が連続して存在する地域を指します。
丘の形成原因には、火山活動、地殻変動、侵食などがあります。
火山活動によって形成される丘は、火山灰や溶岩が積み重なってできます。
地殻変動によって形成される丘は、地層が隆起したり、褶曲したりしてできます。
侵食によって形成される丘は、河川や風などの作用によって周囲の地層が削られてできます。
丘は、自然環境や人々の生活にさまざまな影響を与えます。
自然環境では、水源や森林、生物多様性の保全に重要な役割を果たします。人々の生活では、農業や牧畜、レジャーや観光など、さまざまな目的に利用されます。
丘は地球の自然環境を代表する存在と言えるでしょう。
日本にはさまざまな丘が存在し、代表的なものには東京の皇居の北に広がる「皇居外苑」、京都市の北東部に広がる「嵐山」、大阪市の北東部に広がる「箕面山」などがあります。
丘はその周囲よりも高いが山より低く、傾斜が緩やかな地形を指し、その存在は多岐にわたる自然環境と人間の営みに影響を与えています。
山と丘の違いは高さではない
標高は山、丘、岳の違いを理解する上で鍵となります。一般的な分類では、標高が高いものを山、標高が低いものを丘とし、特に神聖な場所や高い山々を岳と呼びます。
たとえば、富士山は標高3,776mで日本一の高さを誇り、岳」呼ばれます。反対に、皇居外苑は標高約30mと低いため丘とされます。
しかし、単に標高が高いだけが決定要因ではありません。
例えば、標高2,000mを超える山でも、周囲の山よりも標高が低い場合、それは「丘」として分類されることもあります。
逆に、標高が低くても険しい地形や神聖な性格の場合は、「岳」と呼ばれることもあります。
このように、山、丘、岳の違いは標高だけでなく、形状や成因、歴史的背景など、多岐にわたる要素によって定義づけられます。
丘を別の言い方に言い換えると?
丘を別の言葉で表現するには、その独自の特徴に注目することが鍵です。
丘は周囲よりも高いが山より低く、かつ傾斜が緩やかな地形を指します。この特徴を考慮して、いくつかの同義語を挙げてみましょう。
高地
小峰
小嶺
地塁の一部
陵
丘地の一部
また、丘ができる原因に応じても、異なる表現が可能です。例えば、火山活動によるものは「火山丘」、地殻変動によるものは「地殻変動丘」、侵食によるものは「侵食丘」と呼ばれます。
以下に、具体例を挙げてみます。
外苑高地は、東京都心に広がる高台です。
嵐山は、京都市で知られる小峰です。
箕面山は、大阪市の北東にそびえる標高333mの丘地です。
このように、丘の特性や形成要因に着目して、多様な表現が可能です。
丘を外国語で言い換えると?
漢字の「丘」は、英語を含む様々な国の言語で次のように表されます。
英語:hill
中国語:丘 (qiū)
韓国語:언덕 (eondeok)
ドイツ語:Hügel
フランス語:colline
スペイン語:colina
イタリア語:collina
ロシア語:холм (xolm)
インドネシア語:bukit
タイ語:เนิน (niên)
ベトナム語:đồi (đồi)
丘という漢字は、中国から伝わったもので、中国語や韓国語などの漢字文化圏ではそのまま「丘」と書かれています。
英語では「hill」という言葉が丘を指します。この単語はゲルマン祖語の「hjul」に由来し、円形の丘を意味していました。
ドイツ語やフランス語などのロマンス諸語では、「colline」や「collina」などの言葉が丘を表します。これらの単語は、ラテン語の「collis」に由来し、同様に円形の丘を指していました。
ロシア語では「холм」という言葉が丘を表し、これはスラヴ祖語の「kolmь」に由来しています。インドネシア語やタイ語などの東南アジアの言語では、丘を指す単語は主に現地の言語から採用されたものが多いようです。
「丘」という漢字は、世界中で異なる言語で使用され、その意味も共通しています。
丘の由来
「丘」(おか)という漢字の語源や由来については特定の起源がなく、複数の説があります。
一般的に、漢字の形は象形文字や指事文字といった形で、物事を表すために描かれたものが派生していきます。しかし、具体的な「丘」の語源については明確な記録が残っていないことがあります。
「丘」の形は、土地が盛り上がった様子を表していると考えられています。
形が平らで盛り上がりが緩やかな地形を指し、それが後に「丘」という漢字で表現されるようになりました。土地や地形を表す漢字は、その形に地勢や風景の特徴が表現されることが一般的です。
ただし、個別の漢字の起源に関しては確定的な情報が得られないことが多いため、漢字の成り立ちに関する解釈は推測や学説に基づくものが主です。
山岳とは?
山岳とは、周囲よりも高く盛り上がった地形や場所を指します。地形学的には、丘陵や台地よりも相対的な高さや起伏が大きく、平地と比べて傾斜した地形で構成されています。
山岳は、形成過程に応じて火山山地、褶曲山地、断層山地などに分類されます。火山山地は、火山活動によって形成された山岳で、富士山や桜島がその代表例です。
褶曲山地は、地殻変動によって地層が褶曲してできた山岳で、日本アルプスや北アルプスがこれに該当します。断層山地は、地殻変動によって地層が断層運動によって隆起して形成された山岳で、中央アルプスや南アルプスがこれに分類されます。
山岳は、世界中に広く存在しており、日本でも北海道から九州までさまざまな山岳が見られます。世界的には、ヒマラヤ山脈やアルプス山脈など、多くの重要な山岳地帯が分布しています。
山岳は自然環境や人々の生活に大きな影響を与えており、水源や森林、生物多様性の保全に寄与しています。また、水力発電やレジャー、観光など、さまざまな目的で人々に利用されています。
山岳と山の違い
山岳と山は、両方とも平地より高く盛り上がった地形を指す言葉ですが、厳密な定義が存在しません。通常、山岳は複数の山が連なる地形を指し、山は個別の単一の山を指す傾向があります。
例えば、日本アルプスや北アルプスは、複数の山が連なる山岳地帯であり、富士山や立山は、独立した単一の山です。
ただし、この定義が必ずしも適用されるわけではありません。
低い標高であっても険しい地形の山が山岳と呼ばれることがあります。また、高い標高であっても周囲の山々よりも低い場合、その山は山ではなく丘と見なされることもあります。
このように、山岳と山の違いははっきりとした線引きが難しく、どちらにも分類しにくい場合もあります。
また、山岳と山の区別は英語でも厳密に定義されていません。英語では、どちらも “mountain” という単語で表現されます。
山岳の言い換え
山岳を別の言葉で言い換えたものを紹介します。
山系(さんけい)
例:この国には美しい山系が広がっており、ハイキングや登山が人気です。
山脈(さんみゃく)
例:アンデス山脈は南アメリカに広がる壮大な山脈で、多くの高峰が連なっています。
山地(さんち)
例:古代の文明は山地に築かれ、その厳しい環境で生活していました。
山野(さんや)
例:山野に広がる自然は多様で、そこに生息する動植物は生態系の一部を形成しています。
山域(さんいき)
例:この地域は山岳地帯で、四季折々の美しい風景が広がっています。
山野地帯(さんやちたい)
例:その地域は山野地帯で、豊かな自然と古くからの伝統が息づいています。
山並み(さんなみ)
例:夕日が沈む中、山並みが美しいシルエットを描いていた。
これらの言葉は、広い範囲の山々や山岳地帯を指す際に使用されます。
山岳の由来
「山岳」(さんがく)という漢字の由来や語源について、特定の漢字に直接的に関連する情報はありません。ただし、「山岳」は漢字が表す言葉として、山々や山岳地帯を指す言葉として使用されています。
漢字「山」は、山の形状を示した象形文字で、山の輪郭を表現しています。これは原初の象形文字の一つであり、古代の文字の中で非常に古いものの一つです。
「岳」は山の上に立つ姿を示した象形文字で、山の峰や頂上を表しています。これもまた象形文字の一例で、山の特定の形態を示す文字となります。
「山岳」という言葉は、これらの文字を組み合わせて、山々や山岳地帯を包括的に指すようになりました。この言葉が日本の地形や風景、また登山文化などに関連して使用されています。
まとめ
丘(おか)
定義と特徴:丘は、その周囲よりも高いが、山よりは低く、傾斜がゆるやかな地形を指します。一般的に頂上があり、高台は周囲より高くて平らな場所とされる。
成因:火山性、断層性、侵食によって形成される。侵食によってできたものは残丘と呼ばれる。
利用:農業、牧畜、レジャー、観光などに利用される。人工的に築かれたものも存在する。
山(やま)
定義と特徴:標高が相対的に高く、山地や山脈を構成する地形。単体で存在する山もあり、連なっている場合もある。
成因:火山活動、地殻変動、侵食などによって形成される。複数の山が連なると山脈や山地と呼ばれる。
利用:登山、観光、スポーツなどさまざまな目的で利用される。自然のシンボルとして文学や文化にも影響を与えている。
山岳(さんがく)
定義と特徴:周囲よりも高く盛り上がった地形や場所。地形学的には、丘陵や台地よりも相対的高度差が大きく、起伏がある。
成因:火山性、褶曲山地、断層山地などに分類される。大きな地域を覆う場合、山岳地帯と呼ばれる。
利用:登山、ハイキング、科学研究など多岐にわたる利用がある。自然環境や地形の保全に寄与する。