隗より始めよとは?どういう意味なの?

隗より始めよ(かいよりはじめよ)の故事成語の意味は、大きなことを始める際には、まずは身近なことから取り組むと良いという意味です。また何事もまずはその提案をした人が実行するべきだという意味になります。

燕の昭王が、自分の国に有能な人材を集めたいと考えたとき、郭隗に尋ねたところ、「郭隗を大切に扱い、優遇するべきです。

そうすれば、普通の私ですらこれほど大事にされるのだから、もっと優れた人物はさらに大切にされると考え、多くの有能な人が他国から集まってくるでしょう」と答えました。

その通り、燕には次々と優れた人材が集まったことから、この言葉が生まれました。戦国策からの出典

郭隗とは?

郭隗(かくかい)は、中国戦国時代の燕国に仕えた人物で、特にその策略と知恵で知られています。彼は燕の昭王に対し、優れた人材を集めるためのアドバイザーとして働いていました。

郭隗のエピソードで有名なのは、彼が燕国の昭王に「優れた人材を集めるためには、まずは自分が大切にされるべきだ」と提案した話です。彼自身がまずは優遇されることで、その後により優れた人物が集まると信じており、実際にこのアドバイスが成功し、多くの有能な人材が燕国に集まったとされています。

このエピソードから、「隗より始めよ」という言葉が生まれました。これは、物事を始める際にはまずは自分自身から取り組むべきだという教訓を含んでいます。郭隗は、その実践によって自身の名を歴史に刻むこととなりました。

戦国策とは?

『戦国策』(せんこくさく)は、中国戦国時代(紀元前475年〜紀元前221年)の歴史的な策略や謀略をまとめた書物で、古代中国の政治と戦略に関する重要な資料です。

この書物は、主に戦国時代のさまざまな国家やその指導者たちが繰り広げた外交や軍事の策略、政策に関する記録が集められています。

内容と構成

『戦国策』は、複数の巻に分かれており、各巻はそれぞれの国(例えば、秦、楚、燕、魏など)に関連する策略や歴史的事件について述べています。

全体としては、約33巻に分かれているとされ、各巻はその時代のエピソードや策略が具体的に記録されています。

主な内容

策略と外交: 各国の指導者たちが用いた策略や外交手法について詳しく記されています。これには、敵国をどうしてもくつがえすか、同盟を結ぶためにどう交渉するかなどが含まれます。

政治的な洞察: 戦国時代の政治状況やそれに対する指導者たちの対応についても触れています。これにより、当時の政治的な背景や人物の行動原理が理解できます。

歴史的エピソード: 各国の重要な歴史的出来事や、指導者たちの重要な発言・行動が取り上げられています。

影響と評価

『戦国策』は、古代中国の政治戦略に関する貴重な資料であり、その後の歴史書や策略書に大きな影響を与えました。特に、外交や戦争における策略に関する洞察は、後世の政治家や戦略家にとっても重要な参考となっています。

隗より始めよの言い換え表現を紹介

「隗より始めよ」のような故事成語には、同じように物事を始める際の心構えや順序に関するものがいくつかあります。

言行一致

意味: 言葉と行動が一致していること。言ったことを実行に移すこと。

解説: 「隗より始めよ」と同じく、まずは言ったことを自ら実行する重要性を強調する成語です。この成語は、話すだけでなく実際に行動に移すことの重要性を示しています。

身をもって示す

意味: 自らの行動で手本を示すこと。

解説: 「隗より始めよ」と似た意味で、自分が率先して行動することによって他人に影響を与えるという考え方です。リーダーシップや模範行動を強調しています。

自分を改めて始める

意味: まずは自分自身を変えることで物事を始めるということ。

解説: これは、物事を変えるためにはまず自分から始めなければならないという考えを表します。「隗より始めよ」にも通じる部分がありますが、特に自己改善に重きを置いています。

先に手本を示せ

意味: 他者に指示する前に自分が模範を示すべきだということ。

解説: 自分が手本を示すことで他人に良い影響を与えるという意味で、「隗より始めよ」と関連があります。この成語は、リーダーシップの重要性を示しています。

身をもって示せ

意味: 自らの行動で実際に手本を示すこと。

解説: 自分がまず行動してみせることで他人に影響を与えるという意味です。自分の行動で他人に模範を示すという考え方が「隗より始めよ」と共通しています。

他人に先駆けて実行する

意味: 他人より先に自分が実行すること。

解説: 自分が最初に行動を起こすことで他人を促すという意味で、「隗より始めよ」と同じように自分から始めることの重要性を示しています。

これらの成語やフレーズは、いずれも「隗より始めよ」が持つ自分から始めるという理念を異なる角度から表現しています。

隗より始めよを使った例文を紹介

「新しいプロジェクトを成功させるためには、リーダーである君がまず自分から積極的に動くべきだ。隗より始めよという言葉があるように、自分が先頭に立って模範を示そう。」

解説: この例文では、新しいプロジェクトを始める際にリーダーが自分自身の行動を通じて模範を示すべきだと強調しています。リーダーが自ら積極的に動くことで、他のメンバーもそれに続くようになるという考え方です。成語「隗より始めよ」に基づいて、自分がまず行動を起こすべきだというメッセージが伝わっています。

「部長が会議に遅刻したままだと、部下も同じように遅れる可能性が高い。だから、部長自身が時間を守るように心がけるべきだ。隗より始めよという言葉を忘れずに。」

解説: この例文では、部長が自分から時間を守ることで部下も同様に行動するよう促すべきだとしています。リーダーシップの重要性を「隗より始めよ」の考え方に基づいて説明しており、部長が模範を示すことで部下に良い影響を与えるという意味です。

「新しいルールを作る際には、まず自分がそのルールを守ることが重要だ。隗より始めよというように、自ら実践することで他人に示すことが大切だ。」

解説: この例文では、新しいルールを導入する際に、自分自身がそのルールを守ることが先決だとしています。ルールを作るだけでなく、自分がそのルールに従うことで他人も自然と従うようになるという考え方です。「隗より始めよ」の理念を具体的な行動に落とし込んで説明しています。

「プロジェクトの成功には、まずはチーム全員が協力し合う必要がある。そこで、私たちが率先して協力し合う姿を見せることで、他のメンバーも同じように行動するだろう。隗より始めよの精神で取り組もう。」

解説: この例文では、プロジェクトの成功のためにはチーム全員が協力する必要があるとし、自分たちが率先して協力する姿を見せることで他のメンバーも同様に行動するだろうと述べています。成語「隗より始めよ」を用いて、自分から始めることの重要性を強調しています。

「会社の新しい方針を徹底するためには、まず経営陣がその方針を実行することが重要だ。隗より始めよといわれるように、リーダーが模範を示すことで、全体の一致団結が生まれる。」

解説: この例文では、会社の新しい方針を実行する際に、まず経営陣がその方針を実行することが重要だとしています。経営陣が模範を示すことで全体が一致団結し、方針が徹底されるという考えです。成語「隗より始めよ」を用いて、リーダーシップの役割とその影響力を説明しています。

これらの例文は、いずれも「隗より始めよ」の教訓に基づいて、自分から始めることの重要性を説明しています。

まとめ

隗より始めよ(かくよりはじめよ)は、中国の戦国時代の故事に由来する成語で、物事を始める際に自分から手をつけるべきだという意味です。この成語の背景や具体的な意味について詳しく解説します。

故事の背景

この成語は、古代中国の戦国時代の燕国にまつわる故事に基づいています。燕の昭王(しょうおう)は、国を強化し、有能な人材を集めたいと考えました。そこで、郭隗(かくかい)という人物に助言を求めました。

郭隗は、燕の昭王に対して以下のようにアドバイスしました。 「自分を大切に扱い、優遇することで、他の人々も自分を見習って、優れた人物が集まってくるだろう。」

郭隗自身が優遇されることにより、自分以上の優れた人材が集まると考え、実際にその通りになったため、このエピソードが成語「隗より始めよ」として知られるようになりました。

成語の意味

自分から始めること: 物事を始める際には、自分から率先して行動することが重要だという意味です。リーダーや責任者がまずは自分自身で実行し、その姿を示すことで、他者もそれに従うようになるという考え方です。

模範を示す: 自分が手本を示すことで、他の人々に影響を与え、良い結果をもたらすことが期待されます。

使用例

ビジネスシーン: 「新しいプロジェクトを成功させるためには、リーダーである君がまず自分から積極的に動くべきだ。隗より始めよという言葉があるように、自分が先頭に立って模範を示そう。」

教育や指導: 「生徒たちに規律を守るように教えるなら、まずは教師自身が規律を守ることが大切だ。隗より始めよの精神で取り組むべきだ。」

「隗より始めよ」は、リーダーシップや自己改善、模範行動の重要性を強調する際に使われる成語で、実際に行動することで周囲に良い影響を与えることの重要性を示しています。