鳥取県の郷土料理親ガニのみそ汁とは?

親ガニのみそ汁の主な伝承地域は、鳥取市周辺で、主要食材は、親ガニ(ズワイガニのメス)、大根になります。

親ガニのみそ汁は、ズワイガニのメスである親ガニと大根を使った、鳥取県の伝統的な味噌汁です。

冬の鳥取ではズワイガニが豊富に水揚げされ、冬の味覚として知られています。

オスのズワイガニは「松葉ガニ」と呼ばれ、メスは卵を抱えた姿から「親ガニ」と呼ばれています。

他の地域では「セコガニ」や「セイコガニ」という名前で知られ、甲羅の上から見えるオレンジ色の卵が特徴です。親ガニは松葉ガニよりも小ぶりで、旬の時期には地元のスーパーで手頃な価格で購入でき、家庭でよく調理される一品です。

親ガニの甲羅には内子(うちこ)、お腹には外子(そとこ)があり、カニ味噌とともに豊かな旨味を持っています。その旨味を引き出すために、具材は少なめにして作られるのが特徴です。

食べられる時期や機会: 親ガニを使った味噌汁は、11月から12月の漁期限定のため、食べられる期間が限られています。このため、冬の季節に楽しむことができる貴重な地元の味として、広く親しまれています。

親ガニを半分に切って水から茹で、沸騰したら大根を加えて弱火で火を通します。最後に味噌を溶かし入れて完成です。

カニの出汁を活かすために、具材は控えめにします。水から茹でることで親ガニの出汁がしっかりと大根に染み込み、非常に美味しい味噌汁になります。

現在も親ガニのみそ汁は冬の家庭料理として作られ続け、親から子へと受け継がれています。また、学校給食としても提供されており、若い世代にも広く親しまれています。さらに、親ガニの漁期である11月から12月には、県内のイベントでもこの料理が振る舞われています。

親ガニのみそ汁の作り方と材料

材料(4人分)

親ガニ(ズワイガニのメス):2杯
大根:1/2本
味噌:適量
水:1500ml
葉ねぎ:お好みで

作り方

1:大根を短冊切りにし、親ガニを腹の部分から半分に切る。

2:親ガニを水から煮始め、沸騰後15分ほど茹でる。

3:切った大根を加える。

4:味噌を加えて味を整える。

5:お好みで葉ねぎを加える。

※このレシピは、地域や家庭により異なる場合があります。

ズワイガニについて紹介

ズワイガニ(楚蟹、学名:Chionoecetes opilio)は、十脚目ケセンガニ科に属するカニで、主に深海に生息する大型の食用カニです。

ズワイガニのメス(セコガニ)は、全身が暗赤色で、甲羅は三角形に膨らんでいます。鉗脚(第1胸脚)と第5胸脚は短いですが、第2 – 4胸脚は長く、大きなオスの脚を広げると最大70cmに達します。

オスの甲幅は最大14cmに達しますが、メスはその半分程度の大きさです。メスは成熟すると産卵、抱卵、幼生放出を繰り返します。日本産のズワイガニは歩脚の長節が長く、亜種 C. opilio elongatus Rathbun, 1924 として分類されることもあります。

「ズワイ」という名前は、細い木の枝を指す古語「楚(すわえ、すはえ)」が変化したもので、漢字では「津和井蟹」とも書かれます。

オスとメスではサイズが異なり、漁獲地域によって名称が変わります。

オス:エチゼンガニ、マツバガニ、ヨシガニ、タイザガニなど

メス:メスガニ、オヤガニ、コッペガニ、コウバコガニ、セコガニ、セイコガニ、クロコガニなど

ズワイガニは、日本海の山口県以東、茨城県以東からカナダにかけて、北太平洋、オホーツク海、ベーリング海に広く分布しています。水深50 – 1,200mの砂泥底に生息し、水深200 – 600mの深海と水温0 – 3℃を好みます。

雑食性で、貝類や多毛類、海底に落ちた魚介類や海洋性哺乳類の屍骸、自分自身の殻も食べます。成長して親になるまで約10年かかり、オスは11齢で漁獲許諾サイズの甲羅幅90mmを超えます。最終齢からは約4年生存します。

産卵期は初産が6 – 7月、経産が2 – 4月で、深海に生息しているため脱皮や季節移動、生態の解明はあまり進んでいません。

オホーツク海での調査では、季節や性別によって生息水深が変化することが確認されています。

交尾後、卵はメスの腹肢に抱卵され、1年から1年半後に孵化してプレゾエアとなり放出されます。

孵化後、親は短期間で再び産卵します。成熟したメスは長期間卵を抱え、交尾時に受け取った精子はメスの貯精嚢に保存され、徐々に使用されます。

飼育実験では、ゾエア幼生からメガロパ幼生期の適正飼育水温は9 – 14℃で、100日から120日で稚ガニとなり、着底します。2003年の若狭湾での調査では、メスは約66,000粒の卵を抱え、高齢のメスはあまり放出しないことがわかりました。

まとめ

親ガニは、体色が暗赤色で、甲羅は三角形に膨らんでいます。オスと比べて体のサイズは小さく、特に甲幅がオスの約半分程度です。親ガニは成熟すると、以下のような特徴的な生態を持ちます。

親ガニは、成熟すると産卵を行い、卵を抱えるようになります。産卵期は初産が6 – 7月、経産が2 – 4月です。

産卵後、卵はメスの腹部の内面にある腹肢に抱えられ、約1年から1年半で孵化します。孵化後はプレゾエアという幼生が放出されます。

卵の数と孵化

メスは約66,000個の卵を抱えることがあり、高齢のメスは卵を放出しないこともあります。卵は、メスが抱えている期間中に成熟し、一定の期間を経て孵化します。

交尾と精子の保存

交尾後、メスの貯精嚢に精子が保存され、これを徐々に使用して産卵します。これにより、メスは長期間にわたって卵を抱えることができます。

サイズと成長

メスのズワイガニはオスよりも小さく、成長して親になるまでには約10年かかります。成熟するまでには、甲羅幅が90mmを超える必要があります。

生息環境

ズワイガニのメスは、深海の水深50 – 1,200mの砂泥底に生息しており、水温が0 – 3℃の環境を好みます。生息地域によっては、季節や性別に応じて生息水深が変化することがあります。

ズワイガニの雌は、繁殖に重要な役割を果たしており、その生態は深海の厳しい環境に適応しています。