鏡開きとは?

鏡開きは一般的には、毎年1月11日がその日とされています。

お正月は年神様を迎える行事であり、鏡餅はその年神様の依り代ですので、年神様がいらっしゃる間は食べることができません。

そのため、年神様がいる「松の内」が明ける11日に鏡開きを行います。地域によっては松の内が15日まで続くところもあり、その場合は鏡開きを15日や20日に行うことが多いです。

かつては「二十日正月」と称し、20日に鏡開きを行っていましたが、徳川三代将軍・徳川家光が慶安4年の4月20日に亡くなったため、その日を避けて11日に変更されたと言われています。

もともとは武家社会の行事だったため、日付の変更も妥当な判断だったのでしょう。

鏡開きとは?意味と由来

鏡開きの由来は、主に以下の2つの側面にあります。

武家社会の風習「具足祝い」

鏡開きは、戦国時代に武士たちの間で行われていた「具足祝い」に由来しています。

「具足」とは、武士が使う鎧や兜のことを指します。お正月に、武士たちはこれらの具足の前に鏡餅を供え、年が明けた後にその鏡餅を下ろして割り、食べる習慣がありました。これによって、戦いの安全や家の繁栄を祈願していたのです。

武家社会では、刃物で餅を切ることは「切腹」を連想させるため、縁起が悪いとされ、木槌などを使って鏡餅を割る形で「開く」ようになりました。

この「開く」という言葉には、運を開く・未来を開くといった前向きな意味が込められており、鏡餅を割る行事の名前が「鏡開き」と呼ばれるようになったのです。

年神様を見送る儀式

また、鏡開きはお正月の間、家に迎え入れた年神様を見送る意味合いも持っています。

お正月に供える鏡餅は、年神様の依り代(よりしろ)として神聖な存在です。

年神様は、鏡餅に宿り、家庭に幸福や豊作をもたらしてくれるとされています。年神様が家を離れる「松の内」が明けると、その鏡餅を割って食べることで年神様を送り出し、そのご加護を体内に取り入れるという意味があります。

鏡餅を食べることで、年神様の力をいただき、1年の健康や繁栄を祈る行事として、鏡開きが行われるようになりました。

この習慣は、家庭の無病息災や豊穣を願うための重要な行事とされています。

歴史的背景と日付の変更

元々は「二十日正月」と呼ばれ、1月20日に行われていましたが、徳川三代将軍・徳川家光が4月20日に亡くなったことにより、その月命日を避けるために1月11日に変更されたと言われています。武家社会の行事として始まったものが、広く庶民にも普及していったのです。

これらの由来を背景に、現在でも鏡開きは日本の伝統的な正月行事として続いています。

鏡開きの意味とは?

鏡開きは、正月の区切りをつける行事で、新しい年の仕事を始める意味がありました。

武士たちは鎧や兜を保管していた箱を開き、商人たちは倉庫を開き、農村では田打ちをして新しい1年のスタートを切っていました。

また、剣道や他の武道では、新年の道場開きの際に鏡開きやお汁粉をふるまうのは、この習慣の名残です。

もともと武士の家で始まった行事のため、切腹を連想させる包丁などの刃物で切ることは避け、手で割ったり、木槌を使って開くことが一般的になりました。

また、「割る」という言葉は縁起が悪いとされ、「開く」という表現が使われるようになり、「鏡開き」という名称が定着しました。

なぜ樽酒も「鏡開き」と呼ぶのか?

お祝いの場で酒樽の蓋を割ることを「鏡開き」と呼ぶのにも理由があります。酒樽の蓋は、酒屋で「鏡」と呼ばれていたためです。

日本人にとって、米から作られる日本酒は特別な意味を持ちます。

多くの神事では、日本酒が供えられ、祈りを捧げた後は、参列者がそのお酒を共に飲み、祈願が叶うことを願う風習(直会<なおらい>)があります。

酒樽に供えられたお酒を振る舞う際には、樽の蓋を割るのですが、縁起の良い「開く」という表現を使います。

つまり、鏡餅の鏡開きも、樽酒の鏡開きも、新しい始まりに際して健康や幸福を祈る意味があり、成功を願うものです。そのため、新しい家が完成した際や、会社の設立記念日、結婚式などで樽酒の鏡開きが行われるようになりました。

現代の鏡餅の鏡開き

最近では、小分けされた餅をパックに入れた鏡餅が一般的になり、鏡開きはパックを開けるだけになりました。

鏡餅を包丁で切ることは避けるべきですが、今では包丁を使う機会自体が少なくなっています。

伝統的な鏡餅の場合、乾燥が不十分だと木槌などで割るのが難しいことがあります。

その際は、「半日ほど水に浸してから電子レンジで少し柔らかくして、手でちぎって」調理する方法もあります。

まとめ

鏡開きは、日本の伝統行事で、お正月に供えた鏡餅を下ろして食べる儀式です。

一般的に1月11日に行われますが、地域によっては1月15日や20日に行うこともあります。

鏡餅は年神様の依り代とされており、年神様が滞在する「松の内」が明ける日に鏡開きをして、その餅を食べることで年神様の力を取り入れ、1年の無病息災を願います。

鏡開きの「開く」という表現は縁起が良いとされ、「割る」などの表現を避けます。

また、もともと武家社会から始まった行事で、切腹を連想させるため包丁などで切ることは禁じられており、手や木槌を使って割ることが推奨されてきました。

この行事は戦国時代の武士の「具足祝い」に由来し、新年の始まりと新たなスタートを象徴するものでもあります。現代では簡易なパック入りの鏡餅が主流ですが、その意味や伝統を守りながら続けられています。