広島県の郷土料理あずまとは?

あずまの主な伝承地域は、広島県の尾道市、福山市です。主な食材として、ママカリ、卯の花(おから)、生姜、塩、酢、ごま、ニラ、ネギなどがあります。

ママカリを酢でしめて作った寿司で、酢飯の代わりに酢で味付けしたおからを使うのが特徴です。

米が貴重だった時代、米を節約するためにおからを使うようになりました。

ママカリだけでなく、コハダやコノシロでも作られます。沿岸部では「アズマ」や「アズマ寿司」と呼ばれ、山間部の三次市周辺では鮎を使った「卯の花寿司」が作られています。

その他、富山県や石川県、愛媛県にもおからを使った寿司があり、使う魚や作り方が異なります。昔は祭りや正月に作られ、酒の肴やおかずとして皆で楽しみました。

あずまは秋の祭りや正月など、家族や地域の人々が集まる時に作られ、酒の肴やおかずとして振る舞われました。

あずまの飲食方法は、ママカリを三枚におろし、酢でしめます。おからに砂糖、塩、酢を加えてよく炒め、冷ましたものに刻んだネギやニラ、ごま、生姜などを混ぜます。それを小さく握り、しめた魚をのせて完成です。時にはゆずを加えることもあります。

あずまの作り方と材料

材料(4人分)

ママカリ(またはコハダ) 320g
塩(ママカリ用) 少々
酢(ママカリ用) 適量
卯の花(おから) 240g
砂糖 30g
しょうが 少々
塩(卯の花用) 少々
酢(卯の花用) 適量
いりごま 適宜
ねぎ 1本

作り方

1:ママカリ(またはコハダ)は三枚におろし、塩をふって少し置き、その後酢でしめます。

2:鍋に卯の花(おから)、砂糖、塩、酢を加えてよく炒め、冷ました後にごま、刻んだしょうが、小口切りにしたねぎを混ぜます。その後、小さく握り、しめたママカリを上にのせて完成です。

ままかりについて紹介

ままかり(飯借り)は、ニシン科のサッパ属に属する小型の魚で、サッパを酢で漬けた料理です。主に岡山県を中心とした瀬戸内海地方で食べられている郷土料理であり、「ままかり」はサッパの別名でもあります。

サッパは鱗と内臓を取り除いた後、塩をふりかけ、新ショウガ、トウガラシ、コンブなどと一緒に酢に漬けます。元々は、サッパに塩を振って酢で一晩置き、その後甕(かめ)に移して砂糖を加えた酢をかけ、さらに一晩漬け込んでいました。小さめのサッパは頭をつけたまま調理し、大きめのサッパは頭を外して調理することが一般的です。

岡山県では、サッパを使った料理は酢漬けだけでなく、焼き漬け、ぬか漬け、鮓(すし)、丸ずし(姿鮓)、塩漬け、焼き物、南蛮漬けなどさまざまな方法があります。

最も古い記録は『岩藤林弥茶』にあり、文化14年(1817年)の11月20日に「ままかり酢付け」と記されているのが確認されています。

「ままかり」という名前は、隣家から飯(まま)を借りて食べるほど美味しいという意味が込められていると伝えられています。また、成島柳北の『航微日記』(明治2年)では、漁師が魚を獲った際、隣船から飯を借りて食べるほど美味しいことに由来しているとも述べられています。

まとめ

広島県の郷土料理「あずま」は、尾道市や福山市などの沿岸地域で伝統的に食べられている料理です。

この料理の特徴は、酢でしめた魚と、おから(卯の花)を使った独特な寿司です。米が貴重だった時代に、米を節約するためにおからを酢で味付けし、代用するようになったとされています。

主に使用される魚は、地元でよく獲れるママカリ(またはコハダ、コノシロ)ですが、地域によっては鮎を使った「卯の花ずし」というバリエーションもあります。

調理方法としては、まず魚を三枚におろし、塩をふってしばらく置いた後に酢でしめます。

おからには砂糖、塩、酢を加えて炒め、冷ました後に刻んだネギやニラ、生姜、ごまなどを混ぜます。そのおからを小さく握り、酢でしめた魚を乗せて完成します。時にはゆずを加えることもあります。

「あずま」は、昔から祭りや正月など、家族や地域の人々が集まるときに作られ、酒の肴やおかずとして振る舞われてきました。しかし、近年では家庭で作られることが少なく、スーパーや飲食店ではあまり見かけることがありません。伝統的な味を守るための保存や継承の取り組みが求められています。

広島県の「あずま」は、地域ごとの特徴や作り方の違いがあり、地元の人々に愛され続けてきた郷土料理です。