かぼちゃとパンプキンの違いとは?

かぼちゃは大きく「西洋かぼちゃ」「日本かぼちゃ」「ペポカボチャ」の3種類に分けられます。これらの総称として、英語では「スクワッシュ(Squash)」という言葉が使われ、種類に関係なく「かぼちゃ」を指す際にはこの表現が一般的です。

日本で最も普及している「西洋かぼちゃ」は、英語では「ウインター・スクワッシュ(Winter squash)」や「カボチャ・スクワッシュ(Kabocha squash)」と呼ばれています。

次に多い「日本かぼちゃ」は、「トロピカル・スクワッシュ(Tropical squash)」または「ジャパニーズ・スクワッシュ(Japanese squash)」として知られています。

一方、「ペポカボチャ」は「サマー・スクワッシュ(Summer squash)」という名称で呼ばれますが、これらの分類の中に「パンプキン」という言葉は含まれません。

「パンプキン(Pumpkin)」という英語の名称は、実はペポカボチャの一部を指しており、特にオレンジ色の果皮を持つものを指します。

これらは主にハロウィンでおなじみのジャック・オー・ランタンに使用されるかぼちゃです。また、ペポカボチャにはパンプキン以外にも、金糸瓜やおもちゃかぼちゃ、ズッキーニといった種類が含まれます。

カボチャと英語表現のあれこれ

日本ではハロウィーンの飾りとして知られるパンプキンですが、アメリカでは食材としても広く利用されています。加工が面倒なため、ペースト状にした缶詰が販売され、主にスープやパイの材料として使われているそうです。

ところで、カボチャを表す英語「スクワッシュ(squash)」には、動詞や名詞としても別の意味があります。

動詞では「押しつぶす」や「抑える」といった意味があり、名詞としては「スカッシュテニス」や「レモンスカッシュ」といった言葉でおなじみです。

このため、「スクワッシュ」ではなく「スカッシュ」と表記されることもありますが、「サマー・スカッシュ」となると飲み物を連想させて少々ややこしいです。

また、「パンプキン(pumpkin)」にもユニークな用法が見られます。例えば、「He is some pumpkins」は「彼はなかなかの人物だ」を意味しますが、単数形の「pumpkin」は「大柄な人」や「おっちょこちょい」を指すこともあります。

さらに「pumpkin head」となると「のろま」や「愚か者」を表すそうで、英語の奥深さを感じます。

カボチャの名前の由来

では、なぜ日本では「カボチャ」という名前が定着したのでしょうか?

農業関連の資料によると、16世紀半ば、ポルトガル船がカンボジア経由で大分に漂着し、その際に伝えられたため、「カンボジア」の名が由来となったそうです。

当時日本に伝わったのは、現在でいう「日本カボチャ」でした。また、中国の南京から伝わった瓜として「南京瓜」や「南京」と呼ばれることもあったようです。

この日本カボチャは煮崩れしにくいため、煮物用の食材として広く受け入れられました。

19世紀になると、アメリカから別の品種が導入され、「西洋カボチャ」と呼ばれるようになりました。

当初は家畜の飼料用でしたが、品種改良が進むと甘みが増し、食用として普及しました。

西洋カボチャは日本カボチャに比べて甘さが強く、ホクホクした食感が特徴で、高度経済成長期以降は市場の主流となりました。

東京青果の加藤宏一さんによると、「日本人はホクホクした食感を好むため、流通しているカボチャの約8割が西洋カボチャではないか」とのこと。スーパーの店頭でも、「えびす」や「みやこ」といった西洋カボチャが大半を占めています。

ちなみに、家計調査によると、カボチャを最も多く食べる都市は新潟市で、那覇市の約2倍もの消費量があります。日本全国の消費動向を示すデータを見ると、地域ごとの傾向が一目でわかり興味深いですね。

まとめ

かぼちゃはウリ科の野菜で、世界中で栽培されています。主に「西洋かぼちゃ」「日本かぼちゃ」「ペポかぼちゃ」の3種類に分類され、それぞれ特徴が異なります。

西洋かぼちゃは甘みが強くホクホクした食感が特徴で、日本で最も流通しています。日本かぼちゃは煮崩れしにくく、煮物に適しています。ペポかぼちゃにはズッキーニや金糸瓜、ハロウィンの「パンプキン」も含まれます。

日本では、かぼちゃは16世紀半ばにカンボジア経由で伝わり、「カンボジア」が「カボチャ」の由来とされています。

当時は主に日本かぼちゃが食べられていましたが、19世紀以降にアメリカから伝わった西洋かぼちゃが改良され、現在では主流となっています。

かぼちゃは栄養価が高く、特にビタミンA(βカロテン)が豊富で、免疫力向上や視力維持に役立つとされています。

さらに、ビタミンCや食物繊維も含まれており、美容や健康をサポートする食材として人気です。

料理では煮物、スープ、グラタン、デザートなど幅広く利用され、季節を問わず楽しむことができます。

また、保存性が高く、丸ごとであれば長期間保存が可能な点も魅力です。