おでんに添えられる「からし」と、ホットドッグに使われる「マスタード」は、どちらもアブラナ科植物であるカラシナの種子を原料としています。
ただし、「からし」はツンとした刺激が特徴である一方、「マスタード」はよりマイルドな風味です。
この違いは、使用される種子の種類や製造方法に由来します。
「からし」はオリエンタルマスタード(和がらし)の種子を使用しており、辛味が強いのが特徴です。
一方で、「マスタード」はイエローマスタード(洋がらし)の種子を使っており、こちらは比較的刺激が弱く、穏やかな味わいです。
種子を粉末状にして水を加える際、発生する「芥油」によっても味わいが異なります。
オリエンタルマスタードは「アリル芥油」という揮発性が高い成分を含み、これが強い辛味を生み出します。
一方、イエローマスタードには「ベンジル芥油」が含まれますが、揮発性が低いため辛味は控えめです。
「からし」は粉末にお湯を加えて練ることで、辛味が際立ちます。
一方、「マスタード」はお湯だけでなく酢も加えて作られるため、酢酸が酵素の働きを抑制し、辛味がさらにマイルドになります。
さらに、用途の違いも両者の特徴に影響を与えています。
「からし」は薬味として少量を添えるのが一般的であるのに対し、「マスタード」はソースとしてマヨネーズやケチャップと同様に使われることが多いため、味わいが調整されています。
マスタードとからしの3つの違い
「マスタード」と「からし」を見分けるポイントはどこにあるのでしょうか?これらの違いは、大きく分けて原料、作り方、そして味わいの3つです。
それぞれの特徴を詳しく解説します。外見では分からないポイントを理解して、違いをしっかり区別できるようにしましょう。
原料の違い
どちらもアブラナ科の植物であるカラシナの種子を使っていますが、その種類が異なります。
「マスタード」に使われるのはイエローマスタードと呼ばれる種子で、穏やかな辛さが特徴です。これに対して、「からし」の原料はオリエンタルマスタードで、ツンとした強い刺激が特長です。
作り方の違い
製造方法にも大きな違いがあります。
「マスタード」は、カラシナの種子にお酢や砂糖、ワインなどの調味料を加えることで、風味に奥行きを持たせています。
また、種子をすり潰したものや、粒をそのまま残したものなど、様々な形状があります。
一方、「からし」は、純粋に種子のみを使います。
すり潰して粉末にしたり、水を加えて練ったりするシンプルな製法で作られるため、ストレートな辛さを楽しむことができます。
味わいの違い
「マスタード」の味は、お酢やワインの効果でまろやかになり、辛いものが苦手な人でも食べやすい仕上がりです。
「からし」は、強烈な辛味が最大の特徴。余計な味付けがないため、ダイレクトな刺激を感じることができます。
主に薬味として使われることが多いのも、その特徴ゆえです。
このように、「マスタード」と「からし」は見た目は似ていますが、原料や製法、味わいが異なるため、それぞれの特徴を知ることで使い分けがしやすくなります。
まとめ
からしとマスタードは、どちらもアブラナ科の植物「カラシナ」の種子を原料とした調味料ですが、使用される種子の種類や製法、風味に違いがあります。
からしの原料はオリエンタルマスタード(和がらし)と呼ばれる種子で、強い辛味と鼻にツンと抜ける刺激が特徴です。
粉末状にして水を加えて練ることで、辛味がさらに際立ちます。
余計な調味料を加えないため、シンプルかつ純粋な刺激を楽しめます。主に薬味として、例えばおでんや餃子の添え物として使われます。
一方、マスタードの原料はイエローマスタード(洋がらし)で、からしに比べて辛味が控えめでマイルドです。
種子にお酢や砂糖、ワインなどの調味料を加えることで、風味に深みと柔らかさが生まれます。また、粒を残したものやすり潰したものなど、バリエーションが豊富です。ホットドッグやサンドイッチなど、ソースとして幅広く使われるのが特徴です。
このように、からしは薬味、マスタードは調味料やソースといった用途で使い分けられ、それぞれの特性を活かして料理の味を引き立てます。