賜ると承るの違いとは?

賜ると承るをわかりやすく比較すると、前者は謙譲語と言われるへりくだって発言する控えめな言い方で、なにかモノを頂くことを表します。一方後者は謙譲語で依頼を引き受けること表します。

賜るの例としては、上司から感謝の品を受ける、王から貴重な言葉を受ける、会社のトップから立派な贈り物を受ける、領主から土地を褒美として受け取る、受賞者は女王陛下に会う機会を得た。などがあります。

一方、承るの例としては、先ほどお客様から苦情をもらう、指示を受ける、この件に関しては受け取ることができません、以下の内容で注文を受けました、ご意見を受けたい。などが挙げられます。

このように賜ると承るは、単語は似たような発音をしていますが、意味が異なるため、注意が必要です。

簡単に言うと、上位の人から何かを得た時には賜るを使い、上位の人から何かを聞いたり、引き受けたりした時には承るを使うと分かりやすいでしょう。

賜ると承るのの英語表現の違い

賜るの英訳は「receive」「get」「take」などであり、たとえば「受賞者は女王陛下に会う機会を得た」を英語にすると、「The awardees got a chance to meet Her Majesty the Queen」となります。

一方、承るの直訳は存在しませんが、「hear」「I got it」という近い表現があります。たとえば「ご意見を受けたい」を英語にすると、「I’d like to hear your opinion」となります。

賜るの意味とは?どういった時に使う?

賜るは日本語でいただくという意味を持ち、謙譲語と尊敬語の一つとして使用されます。この言葉の由来は、古典日本語や古文の中に遡ることができます。

賜るの語源は、中国語や漢文の影響を受けた日本語の古い言葉に由来します。元々は賜(たまう)と書かれ、上位や目上の人から物事を授かる、与えてもらうことを表現していました。この言葉は尊敬の意味合いを含み、謙虚な表現として尊敬語として定着しました。

日本の歴史的な文書や文学作品などで、謙譲語や尊敬語としての賜るの使用例が見られます。この言葉は、恩恵を授かる際の謙虚な表現として、長い歴史を持って日本語に根付いてきたものと言えます。

賜るの古文での例文を紹介

賜るは現代の一般的な日本語ではあまり使われない古風な言葉です。

一般的には、現代の会話や文章で いただく や”もらう といった言葉が使われます。

賜るは古文や格式のある文章、あるいは特定の文脈や場面で使用されることがありますが、日常会話や一般的な文章での使用は限られています。

古文で賜るを使った例文をいくつか挙げます。これらの例文は歴史的な文書や古典文学作品から取られたものです。

「大御心に賜ひ給ひて」(『枕草子』)

「殿様の御楯賜り給ひました」(『平家物語』)

「詔に賜はり給ひて」(『源氏物語』)

「上意に賜ひつる」(『平家物語』)

「賜はり給ひたまひて」(『竹取物語』)

これらの例文では、賜るが尊敬の意を込めた表現として使われています。このような形で賜るは、上位の人からの恩恵を謙虚に受け取る意味で使用されています。

賜るの類義語を紹介

賜るの類義語や同義語には以下のような言葉があります。

授ける(さずける): 与える、贈る、授与するという意味が含まれます。

授かる(さずかる): もらう、受け取るという意味を持ちます。

与える(あたえる): 何かを授ける、与えるという意味です。

頂く(いただく): 謙虚な形でもらう、受け取るという意味合いがあります。

授与(じゅよ): 与えること、贈ることを指します。

これらの言葉は、賜ると同様に、贈る・授ける・受け取るといった行為を表す言葉ですが、微妙なニュアンスの違いがある場合もあります。

承るの意味とは?どういった時に使う?

承るは、謙譲語の一つで、主に受ける、受け取る、聞くといった意味で使用されます。

また、謙譲語として上位や目上の方からの指示、依頼、命令を受け入れるときにも使われます。この言葉は謙虚な態度を示すために使われる一般的な言葉です。

承るは、漢字表記で受けると同じような意味を持ちますが、謙譲語として用いられます。

この言葉の由来や語源については、具体的な歴史的な起源は明確にはわかっていません。

ただし、日本の言葉や文化において、謙譲の表現が大切にされており、それが言葉にも反映されています。

承るのような謙譲語は、日本の伝統的な社会階層構造や尊敬の念を表す文化に由来しています。

上位の立場にある方に対して、謙虚で丁寧な態度を示すために用いられる言葉として定着しました。そのため、古くからの日本語の伝統や習慣から派生したものと考えられます。

承るを使った例文を紹介

承るをつかった例文をいくつか紹介します。

ご予約を承りました。

先生からのお話を承りました。

お手紙を承りました。

お問い合わせを承ります。

当社の方針に反するため、依頼を承ることができかねます。

部長のご意見を承りました。

大切な情報を承りました。

ご依頼を承りますので、お気軽にお申し付けください。

その提案を承ります。

お申し込みを承りました。

これらの例文では、承るが謙譲の意を持ち、依頼や指示を受け入れる態度を表しています。

承るの類義語を紹介

承るの類義語や同義語としては、次の言葉が挙げられます。

受ける(うける): 物事を受け取る、受け入れるという意味で広く使われます。

受け取る(うけとる): 物事を受け取る、受け入れる、受け入れるという意味があります。

聞く(きく): 言われたことを聞く、伝聞する、情報を得るなどの意味が含まれます。

了承する(りょうしょうする): 指示や命令を受け入れる、了解するという意味を持ちます。

受諾する(じゅだくする): 依頼や提案を受け入れる、受け入れる意味があります。

これらの言葉は、「承る」と同じく、受け入れる・受け取る・了解するといった意味を持っていますが、微妙なニュアンスの違いがある場合もあります。

まとめ

賜ると承るはともに謙譲語であり、日本語の丁寧な表現として使われますが、微妙に異なるニュアンスを持っています。

賜る

賜る由来や語源:語源は明確ではありませんが、中国語や漢文の影響を受けた古語の一つとされています。尊敬の意を持つ上位者からのものを謙虚に受け取る意味合いを持つ言葉とされています。

使い方:目上の人からものを受け取る際や、恩恵をいただくときに用いられます。

類義語:授ける、授かる、与える、頂く、授与など

対義語:与える

承る

由来や語源:具体的な由来は不明ですが、謙譲語としての丁寧な受け入れの意味を持っています。

使い方:指示や依頼を受け入れる際や、上位の方からの言葉を受けるときに用いられます。

類義語:受ける、受け取る、聞く、了承する、受諾するなど

対義語:命令する、拒否する

両者とも、謙虚さや丁寧さを表現する言葉であり、それぞれの文脈や状況に応じて使われることが一般的です。