うなぎとあなごの違いとは?海魚と川魚の違いだけなの?

うなぎとあなごは同じウナギ目に分類されますが、うなぎはウナギ科に、一方であなごはアナゴ科に属し、それぞれの特徴は生態、外見、栄養、味に表れています。

うなぎとあなごの生態の異なる点は、あなごが一生を海で過ごす海水魚であるのに対し、うなぎは海で産卵した後、孵化して淡水域に遡上し、河川や湖沼で成長する降河性の回遊魚であることです。

うなぎとあなごの外見の違いについて述べると、うなぎは灰色に近く、一方であなごは薄茶色で側面に白い斑点があり、背びれの下にも白い点が一列になっています。

また、うなぎは下あごが突き出ているのに対し、あなごは上あごが突き出ています。尾びれに関しても、うなぎは丸みがありますが、あなごの尾びれは尖っています。

栄養成分と味においても、うなぎとあなごには違いがあります。うなぎは脂質が多く、カロリーが高く、脂っぽくこってりとした味がありますが、あなごは低カロリーでさっぱりとした味わいです。

また、あなごはビタミンAを多く含みますが、うなぎはその5倍近くも含んでいます。その他にも、ビタミンB1、B2、D、E、カルシウム、EPA(コレステロールを減少させる効果がある)やDHA(脳を活性化させる効果がある)など、うなぎの方が栄養価が高いです。

うなぎとあなごの栄養や味違いについて

うなぎとあなごの味の違いについて考えてみましょう。

近年、うなぎの漁獲量が減少し、その結果、うなぎの価格も高騰しています。

そのため、「うなぎは高いからあなごにしようかな」と思って食べてみて、「うなぎと似ているけど全然違う味だった」と感じる人も増えているかもしれません。

外見や生態と同様に、味にも相違が見られます。

簡単に言えば、うなぎはこってりとした味わいがあり、一方であなごはさっぱりとした味が特徴です。

天然産か養殖か、産地によっても味が異なりますが、簡潔に言うとこのような味の違いがあります。

ただし、これはうなぎの方が美味しいか、あなごの方が美味しくないか、逆にそのような単純な比較ではありません。

肉の赤みが好きな人や脂身が豊富な肉が好きな人がいるように、うなぎとあなごの味の違いも好みの範疇です。

ぜひ食べ比べてみて、自分の好みを見つけてみるのはいかがでしょうか?

また、うなぎとあなごの栄養の違いについてですが、先に述べたように、うなぎはこってりとした味わいがあり、一方であなごはさっぱりとした特徴がありますが、その違いは栄養面にも影響しています。

通常、うなぎはあなごの約2倍の脂質を含んでおり、その結果、高いカロリーと濃厚な味わいになっています。

そして、脂質だけでなく、うなぎは他にも様々な栄養素を豊富に含んでいます。

特に注目すべきはビタミン類で、あなごと比べるとうなぎの方が圧倒的に多いのです。

各栄養成分を100グラムあたりで示した表は以下の通りです。

ビタミンA: うなぎが2400μg、あなごが500μg
ビタミンB1: うなぎが0.37mg、あなごが0.05mg
ビタミンB2: うなぎが0.48mg、あなごが0.14mg
ビタミンD: うなぎが18μg、あなごが0.4μg
ビタミンE: うなぎが7.4mg、あなごが2.3mg

これにより、うなぎとあなごの栄養成分の差異が明らかとなります。

比較してみると、うなぎは少なくとも2〜3倍、場合によっては40倍以上の栄養価があることが分かりますね。

土用の丑の日にうなぎを食べる習慣があるように、うなぎは非常に栄養価が高く、夏バテ予防や健康維持に最適です!また、スタミナ補給だけでなく、ビタミンが豊富なため美容にも効果的な食材と言えるでしょう。

ウナギとは?

ウナギ(鰻、泉海魚、うなぎ)は、ウナギ科(Anguillidae) ウナギ属(Anguilla)に属する魚類の総称です。

これらの魚は主に世界中の熱帯から温帯にかけて分布しています。

日本ではニホンウナギ、オオウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギなど、世界で19種類(そのうち食用とされるのは4種類)が確認されています。

外見がウナギに似ているが、分類学上は異なるグループに属するフウセンウナギ、デンキウナギ、タウナギなどもいます。

また、ヤツメウナギ、ヌタウナギは硬骨魚類でなく、原始的な無顎魚類(円口類)に分類されます。

ウナギは種類や地域によって食用とされることがあり、日本では特にニホンウナギが有名で、蒲焼や鰻丼などの料理法が広く愛されています。

日本では漁業と養殖が行われてきましたが、最近では国外からの輸入も増えています。

ウナギは泳ぎが得意ではなく、遊泳速度は遅いです。

他の魚と異なり、ヘビのように体を横にくねらせて波打たせることで推進力を得ています。この独特な泳ぎ方は「蛇行型」と呼ばれ、ウツボやハモ、アナゴなど、ウナギに似た体型の魚でも見受けられます。

通常は淡水魚として知られていますが、海で産卵・孵化し、その後淡水域に遡上する「降河回遊(こうかかいゆう)」と呼ばれる生態を持っています。

嗅覚は非常に優れており、イヌに匹敵するほどです。

ウナギは鱗を持っていますが、これは真皮の中に埋まっており、体表は粘膜に覆われています。

ウナギの歴史

日本では奈良時代の『万葉集』に、「武奈伎(むなぎ)」として初めて登場し、これがウナギの古い呼び名であることが確認されています。

京都大学がデジタルで公開している『万葉集』(尼崎本)では、万葉仮名の隣にかな書きが記されており、「武奈伎」の部分に「むなぎ」とのかな書きが付けられています。

院政期になると、「ウナギ」という表記が現れ、その後一般的な呼び名として定着しました。

近畿地方の方言では、「まむし」とも呼ばれています。

江戸時代の小咄「薬缶」では、「鵜が飲み込むのに難儀したから鵜難儀、うなんぎ、うなぎ」といった地口が伝えられています。

また、落語のマクラには、ウナギがまだ広く食べられていなかった時代、小料理屋の女将が思い切ってウナギ料理を提供したところ、案外美味しかったため「お内儀もうひとつくれ、おないぎ、おなぎ、うなぎ」というエピソードが残っています。

ウナギ漁業の手法を紹介

ウナギは様々な漁法で獲られています。その中で、ウナギ延縄漁は主に河川湖沼で行われ、底延縄漁の一環としています。

穴釣りは、竿の先にミミズ、ドジョウ、タニシ(地域によってはアユ)などの餌をつけ、石垣や柵に刺してウナギを釣り上げる方法です。

さらに、伝統的な漁法として、ウナギ掻きが各地で行われています。

これは、泥中のウナギを引っ掛けて船上に引き上げる特殊な漁具を使用する方法で、鉤(カギ)と柄から成り立っています。

また、うなぎ塚漁やうなぎ石漁、うなぎ石倉漁なども広く行われています。

これらの漁法では、川底に石を積み上げ、その中に隠れたウナギを捕獲します。網を使う方法もありますが、紀南地方では網ではなくウナギ鋏(はさみ)が使用されています。

さらに、せん漁業では筒状の漁具を用いることがあり、ウナギの場合には竹筒を使用したり、ウナギ刺胴漁や竹筒漁などが行われています。

釣りとしての遊漁では、ミミズやカニなどを餌にして釣る方法が一般的です。

ウナギは嗅覚に優れているため、通常の集魚剤や不自然な匂いのものは避けます。

釣れる時間帯は一般的に日没から2時間前後で、場所によっては日没から日の出まで釣れることもあります。釣り方としては、ブッコミ釣り、置き釣り、穴釣りなどがあり、特に置き釣りと穴釣りはウナギに特有の釣り方です。

なお、河川ではなく汽水域や外海に生息するウナギは「青うなぎ」と呼ばれ、川魚特有の臭みがなく非常に珍重されています。特に岡山県児島湾の青うなぎは有名です。

鰻の養殖技術の歴史

ウナギの養殖は、まず天然のシラスウナギを捕獲してから始まります。

これは黒潮に運ばれて日本沿岸に到達したウナギの子供であるシラスウナギを収穫し、それを養殖するプロセスです。

日本では、ビニールハウスを使用した養殖が主流であり、台湾や中国南部の広東省では露地養殖が行われています。

ハウス養殖では、ボイラーを使用して水温を約30℃に保ち、ウナギの成長を促進することが可能です。

ただし、この過程で餌を含むサルモネラ菌の汚染が発生することがあります。

現在、商業的な養殖ウナギはすべて天然の稚魚を育てたものであり、天然資源が枯渇すると養殖が難しくなります。

日本でのウナギ養殖(養鰻)は、1879年(明治12年)に東京深川で始まりました。

その後、1891年(明治24年)には静岡県湖西市で、原田仙右衛門が日本で初めて人工池での養鰻を試み、浜名湖周辺が日本の養鰻の中心地となりました。

日本全体では、2011年まで毎年約2万トン前後養殖されていましたが、2012年以降は減少し、2013年には約1万4000トンにまで減少しました。

2013年のデータによれば、養殖生産量が全体の95%を占めています。

養殖ウナギと天然ウナギの見分けは難しく、一般的な方法としては、胴回りが太く腹の色が黄色がかっているのが天然ウナギだとされています。

ただし、天然ウナギは生息環境や餌によって外見が変化するため、見た目での識別は容易ではありません。

また、香港から輸入されたニホンウナギのシラスウナギが、不法に持ち出された可能性が高いことが指摘されています。

ウナギの完全養殖への挑戦

ウナギの完全養殖は、1973年に北海道大学で初めて成功し、2002年には三重県の水産総合研究センター養殖研究所がシラスウナギを仔魚に変態させることに世界で初めて成功しました。

しかし、人工孵化と孵化直後の養殖技術はまだ高コストであり、成功率も低いため、商業的な実現は難しい状況が続いています。

完全養殖には多くの課題が残り、現在も研究が進行中です。水産庁は、商業化の目標年を2020年としています。

2019年には、人工で育てたシラスウナギを民間の養殖業者に委託し、成魚にするサイクルに世界で初めて成功しました。この成果により、安定したウナギの生産が期待されています。

完全養殖の試みでは、2010年にマリンスノーが餌として使用できることが確認され、また、餌として鶏卵やヤマメの精巣が利用できることも判明しました。

幼生の約9割が育つまでに至りましたが、現在の状況ではシラスウナギ1匹にかかるコストは飼料代、設備投資、人件費、光熱費などを含めても1000円以下では難しいとされています。

ウナギの完全養殖は研究段階であり、孵化直後の稚魚の餌や環境管理に関する課題が残っています。

水産庁は、2020年を商業化の目標年としていますが、これまでの取り組みからはまだその実現には時間がかかる可能性があります。研究の進展と技術の向上が待たれる中、ウナギの養殖に関する取り組みは今後も注目されるでしょう。

ウナギの食材としての特徴

ウナギは日本では高タンパクであり、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンE、DHA・EPA、ミネラル(鉄、亜鉛、カルシウム、銅)が豊富に含まれています。

これに加えて、消化も良く、古くから食用とされており、縄文時代の遺跡からも食用としてのウナギの骨が見つかっています。

日本料理においても重要な食材であり、ウナギ料理の専門店である「鰻屋」も多く存在します。

ウナギの調理においては、皮に生息地やエサの臭いが残っていることから、天然もしくは養殖にかかわらず、きれいな水に1-2日入れて泥抜きと臭み抜きを施した上で調理が行われます。

ウナギは夏バテの予防として食べられる習慣が古く、『万葉集』にまでその痕跡が見られます。

江戸時代には、蒲焼として串に刺して焼かれるスタイルが一般的で、後に濃口醤油の開発とともにタレで味付けされて食べるようになりました。

土用の丑の日には、夏バテ防止のためにウナギが食べられます。

ただし、現代では栄養価の高い食材が身近にあるため、夏バテ予防の観点から見ると、ウナギを摂ることが必ずしも必要ではないという意見もあります。

大阪市立大学の梶本修身教授による研究では、現代社会においてはエネルギーやビタミンの不足が夏バテの原因とは考えにくく、ウナギを摂る習慣に疑問を呈する声もあります。

また、ウナギの血液にはイクシオトキシンが含まれており、ヒトおよびその他の哺乳類に対して有毒ですが、加熱調理により毒性が失われます。

海外では、中国がウナギを日本を含む50カ国以上に輸出しており、内陸部でも淡水ウナギを使用した料理が存在します。

ヨーロッパでもイギリス、オランダ、イタリアなどでウナギの食文化が根付いており、古代ギリシャや古代ローマでも高価な料理とされていました。

アナゴとは?

穴子(アナゴ、海鰻、海鰻鱺)は、ウナギ目に属する魚類の総称です。

これは、細長い体型を持つ海水魚であり、食用や観賞用として広く利用されています。知られているだけでも30以上の属と150以上の種類が存在し、それぞれ異なる環境や水深で生息しています。砂泥底、岩礁域、浅海、深海など、多岐にわたる環境で様々な種類が見られます。

マアナゴ、ゴテンアナゴ、ギンアナゴ、クロアナゴ、キリアナゴ、チンアナゴなど、多くの異なる種類が存在しますが、日本では一般的に「アナゴ」と言えば、浅い海の砂泥底に生息し、食用として広く漁獲されているマアナゴ(Conger myriaster)を指すことが一般的です。

アナゴ科は、チンアナゴ亜科、ホンメダマアナゴ亜科、クロアナゴ亜科の3つに分けられています。

チンアナゴ亜科の紹介

チンアナゴ亜科は、浅い海の砂泥底に群れで穴を掘り、可愛らしい姿勢で巣穴から半身を乗り出すことで知られています。

この亜科には口が小さく吻も短いが、大きな目を持つ海水魚が多く含まれており、その観賞価値から「ガーデンイール(Garden eel)」と総称されています。

特に日本では、その中でもっとも有名なのが「チンアナゴ」と呼ばれています。

チンアナゴ亜科にはさまざまな種類が存在します。以下はいくつかの代表的な種類です。

チンアナゴ(Heteroconger hassi)

全長約40 cm。インド洋と西太平洋の熱帯域に分布し、日本では高知県以南に見られます。顔つきが日本犬の狆(ちん)に似ていることからこの名前がついています。

ゼブラアナゴ(Heteroconger polyzona)

全長約30 cm。白黒の縞模様が特徴で、愛媛県愛南町や沖縄島、西表島、フィリピン、インドネシア、ニューギニア、バヌアツ共和国などで見られます。2017年には環境省のレッドリストで「絶滅危惧IA類」に指定されました。

テイラーズガーデンイール(Heteroconger taylori)

全長約40 cm。主にインドネシアなどに生息し、レモンイエローで全身に黒い斑点があります。沖縄県でも確認されています。

これらは一部の種類であり、さまざまなカラーバリエーションや特徴が見られます。これらのガーデンイールは、海底の穴に群れで住み、その愛らしい姿勢が観賞者を引き寄せます。

ホンメダマアナゴ亜科の紹介

ホンメダマアナゴ亜科(Bathymyrinae)は、外見や生態が後述のクロアナゴ亜科に似ていますが、この亜科の名前通り、大きな目が特徴です。背びれも胸びれの上から始まる特徴を持っています。

ゴテンアナゴ属(Ariosoma)には、その中でも以下のような種が含まれます。

ゴテンアナゴ(Ariosoma meeki)

全長約60 cm。大きな目が印象的で、目の直後に上下に小さな黒い点があります。日本沿岸からインド洋まで広範に分布しており、この種は魚肉練り製品の原料としても使用されています。

クロアナゴ亜科の紹介

マアナゴ(Conger myriaster)

クロアナゴ亜科(Congrinae)は、ホンメダマアナゴ亜科に似ていますが、背びれは胸びれよりも後ろから始まります。

アナゴ属(Conger)には、さまざまな種類が含まれています。

マアナゴ(Conger myriaster)

オスは全長約40 cm、メスは90 cmほど。体は褐色で、側線上には白い点線があります。日本では重要な食用魚で、寿司や天ぷら、蒲焼きなどに利用され、投げ釣り仕掛けで釣られます。

クロアナゴ(Conger japonicus)

全長は約1.5 mで、マアナゴよりも大きいです。体は一様に黒色で、側線上に白い点はありません。東京湾や西日本、朝鮮半島の沿岸域に分布し、岩礁域に生息します。主に魚肉練り製品の材料として利用されます。

キリアナゴ(Conger cinereus)

全長約1 mで、灰褐色の体と黒い胸びれの先端が特徴です。インド洋と太平洋の熱帯域に分布し、サンゴ礁に生息します。

ヨーロッパアナゴ(Conger conger)

最大で全長3 m、体重110 kgの大型種。大西洋東岸、地中海、黒海に分布し、水深500 mまでの海底に生息します。

アメリカンコンガー(Conger oceanicus)

全長2.3 m、体重40 kgの記録があります。大西洋西岸、マサチューセッツ州からメキシコ湾にかけて分布します。

ダイナンアナゴ(Conger erebennus)

東京湾にも生息し、その巨大さから『アナコンダ』とも称されます。

穴子の特徴

体型はウナギに似た細長い円筒形だが、鱗がない点で異なる。成魚の全長は30cmほどのものから1mを超えるものまで種類によって異なる。

分布としては、熱帯から温帯の海に広く分布する。

穴子は夜になると泳ぎだして獲物を探す。食性は肉食性で、小魚、甲殻類、貝類、頭足類、ゴカイなどの小動物を捕食するが、チンアナゴ類はプランクトンを捕食する。

昼間は海底の砂泥中や岩石のすき間にひそむ。砂泥底に生息する種類は集団を作り、巣穴から頭だけ、もしくは半身を海中に乗り出している。和名の「アナゴ」はこの生態に由来する。

産卵は小卵多産で、浮遊卵を産卵する。卵から生まれた稚魚はレプトケファルスの形態をとり、海中を浮遊しながら成長する。変態して細長い円筒形の体型になると底生生活に移り、各々の種類に適した生息域に定着する。

穴子の漁獲

食用となる種類が多く、特にマアナゴは日本各地で多く漁獲される。

その他の種類も魚肉練り製品の材料などにされる。

また、レプトケファルス(通称ノレソレ、一部地方ではハナダレとも)はシラス漁で混獲されるなどして食用となる高級魚である。

アナゴを対象とした日本の代表的な漁法は底びき網である[要出典]が、漁期によっては小さなアナゴが逃げるように網目を大きくする資源管理の方法が試みられている。

網によらない漁獲方法としては、ポリ塩化ビニルなど合成樹脂製で、入り口に「かえし」がついた筒に餌となる魚(主にカタクチイワシ)の肉を入れ、アナゴをおびき寄せて閉じ込める筒漁(一種の罠)がある。

アナゴと同じく魚体が細長いウツボやヌタウナギも混獲されることがある。東京湾では幼魚が脱出できるように、水抜き穴の大きさを13ミリメートル以上と定めている。

日本料理において、マアナゴはウナギと同様に開き、天ぷら、蒲焼、煮穴子、寿司種、八幡巻(牛蒡をアナゴの身で巻いたもの)などで食べられている。

蒲焼では、たれの状況次第では、より高価なウナギとアナゴは味が区別できない場合もあるという。

一本丸ごと揚げた天麩羅は天丼や天ぷらそばなどに乗せると丼からはみ出す様が見栄えがし、価格も手ごろなため、名物としている店も多い。

江戸時代から東京湾の羽田沖で捕れたものが江戸前の本場物とされ、現在でも東京湾岸各地で漁場となっている。

また、瀬戸内海で捕れたものなども地元や関西地方で珍重されている。

岡山県の郷土料理として生の幼魚(ノレソレ)をポン酢で食べる「ベタラ」がある。

広島県の廿日市市宮島・宮島口では穴子の蒲焼を飯に載せた「あなご飯」が名物である。

山陽本線宮島口駅の駅弁として考案されたのが元祖で、宮島名物として定着した。千葉県富津市ではアナゴのことを「はかりめ」と呼ぶ。

特にチンアナゴ類は体色が多彩なこともあり、観賞魚として人気がある。

まとめ

ウナギとアナゴはともにウナギ目に属する淡水・海水両生の魚であり、形状や生態にいくつかの類似点がありますが、いくつかの違いも存在します。

以下にウナギとアナゴの特徴をまとめます。

ウナギ(Anguilla)

体型と特徴:ウナギは細長く、円筒形の体型を持つ。
皮膚に小さな鱗がなく、体は粘液質で覆われている。
体色は黒褐色から灰色まで様々で、腹部が白いことが一般的。

生息地:主に淡水域に生息し、河川や湖などで見られる。
海水域では子どもの段階で海を横断し、成熟すると再び淡水域に戻る。

生態:海で産卵するが、産卵地や子どもの成育地が不明確な場合が多い。
産卵後、稚魚(レプトケファルス)は海中を浮遊し、成熟すると淡水域に戻る。

利用:日本ではウナギは「うな重」や「蒲焼き」などで広く食用とされている。
一部のウナギ種は絶滅が危惧され、持続可能な漁獲が求められている。

アナゴ(Conger)

体型と特徴:アナゴもウナギと同様に細長い円筒形の体型を持つ。
一般的に鱗がなく、皮膚は粘液で覆われている。

生息地:海水域に広く分布しており、岩礁や砂泥底、深海などさまざまな環境に生息する。

生態:多くのアナゴは海中の穴や岩の隙間に潜み、昼行性で夜行性。
産卵は浮遊卵を産むものが多く、レプトケファルスの段階を経て成魚になる。

利用:食用として広く利用され、特にマアナゴは日本料理で一般的な食材となっている。
蒲焼きや寿司、天ぷらなどさまざまな調理法で提供される。

ウナギとアナゴの共通点

ウナギとアナゴは、類似した形状や生態を持つため、以下にその共通点を詳しく説明します。

ウナギもアナゴも、両方とも細長い円筒形をしています。この形状は、水中での泳ぎや穴に潜むのに適しています。

鱗がない: どちらも皮膚が滑らかで、小さな鱗がないのが特徴です。代わりに、体は粘液質で覆われています。

ウナギもアナゴも淡水域と海水域の両方に分布します。ただし、ウナギは主に淡水域で成長し、産卵のために海水域へ移動します。

ウナギもアナゴも夜行性であり、夜間に活動的になります。夜になると獲物を探しに泳ぎ出すことが特徴的です。

ウナギもアナゴも昼間は海底の穴や岩の隙間に潜んでいます。この行動は捕食者から身を守るためであり、巣穴から半身を出して海中に乗り出すこともあります。

ウナギもアナゴも肉食性で、小魚、甲殻類、貝類、頭足類、ゴカイなどの小動物を捕食します。ただし、アナゴの中にはプランクトンを捕食するものもいます。

ウナギもアナゴも食用とされており、各国の料理で広く利用されています。蒲焼き、寿司、天ぷらなど、さまざまな料理法で提供されます。

特にアナゴの中には色彩が美しい種類があり、観賞魚として水槽で飼育されることもあります。

これらの共通点により、ウナギとアナゴは外見や生態の面で多くの類似点を共有しています。