岡山県の郷土料理けんちんそばとは?

この料理は、主に岡山県の新見市で受け継がれています。

主な材料は、そば、鶏肉、豆腐、大根、人参、ゴボウ、そして油揚げです。

新見市は稲作に不向きな土地柄で、昔からそばの栽培が盛んでした。

けんちんそばは、この地域の特産であるそばを使って作られ、豆腐、大根、人参、ゴボウなどの野菜を醤油ベースの鶏がらスープで煮込んだ温かいそばです。

けんちんとは、材料を千切りにして油で炒め、巻くことを意味し、江戸時代には冬の栄養補給として手打ちそばとの相性が良いとされ、広く親しまれてきました。

新見は農作地域であり、冬になると食材が少なくなる時期で、けんちんそばがよく食べられました。

調理方法

鍋に油を熱し、鶏肉を炒め、豆腐、野菜、油揚げなどを加えてさらに炒めます。

だしを加え、具材が柔らかくなるまで煮込みます。煮えたら、醤油、みりん、塩で味を整え、茹でたそばにかけて完成です。

けんちんそばは、蕎麦店や飲食店で提供されるだけでなく、家庭でも日常的な料理として親しまれています。伝統を守るために、保存会やSNSなどの現代的な手段も活用されています。

けんちんそばのレシピ

けんちんそばの材料(4人分)

そば: 4玉
鶏肉: 100g
大根: 100g
人参: 60g
ゴボウ: 60g
里芋: 60g
油揚げ: 1枚
ちくわ: 1本
こんにゃく: 半丁
豆腐: 1/2丁
青ねぎ: 少々
だし汁: 1ℓ
醤油: 適量
みりん: 適量
塩: 少々

けんちんそばの作り方

1:材料を食べやすい大きさに切る。

2:鍋に油を熱し、鶏肉を炒め、豆腐、野菜(青ねぎ以外)、油揚げ、ちくわ、こんにゃくを加えてさらに炒める。

3:2にだし汁を加えて具が柔らかくなるまで煮る。

4:煮えたら、醤油、みりん、塩で調味し、味を整える。

5:そばの上にかける。

※このレシピの提供元は「備南広域農業普及指導センター」です。

※地域や家庭によってレシピが異なる場合があります。

けんちんそばの発症はどこ?

実は、けんちんそばの発祥地は岡山県ではなく、茨城県です。

茨城県北部の常陸太田市がけんちんそばの起源地として知られています。

この地域では、節目の日に蕎麦やうどんを打つ習慣があり、身体が冷えると考えられていたため、温かいけんちんそばが食べられていました。

江戸時代後期には、「つけけんちん」が食べられ、旧暦の新年(現在の節分の時期)には、水戸藩から広がった風習でそばを食べることがありました。

けんちんそばには、「けんちんそば」と呼ばれる温かいけんちん汁にそばを入れたものと、「昔屋そば」と呼ばれる冷たいそばをけんちんにつけて食べるものがあります。

けんちんには、大根、人参、ごぼう、里芋、こんにゃく、芋がら、油揚げなどが具材として使われ、やさしい味噌仕立てが特徴です。

常陸太田市は、「常陸秋そば」としても知られるそばの発祥地として有名であり、特にそばどころとして名高い地域です。

けんちん汁の由来

かつて神奈川県鎌倉市にある建長寺の修行僧が作っていた「建長汁(けんちょうじる)」が、口語で「けんちん汁」と呼ばれるようになったとされています。

このため、寺の入り口に位置する「点心庵」では、建長寺公認とされるけんちん汁を提供しており、地元の名物として親しまれています。

しかし、百科事典や国語辞典には「建長汁」の表記は見当たらず、「けんちん汁」に「巻繊汁」の文字が当てられ、普茶料理の「巻繊」と関連付けられています。

江戸時代の料理書『豆腐百珍』には、「真のけんちん」「草のけんちん」など、様々なけんちんのバリエーションが記されています。

しかしながら、けんちんそのものは徐々に姿を消し、その中身であるもやしと豆腐の炒め物はさまざまな料理に応用されるようになりました。

けんちん汁もその一つであり、他にも魚肉や豆腐にけんちんを詰めて蒸したけんちん蒸しなども存在します。

まとめ

けんちんそばは、日本の郷土料理の一つになります。主に岡山県や茨城県などで郷土料理として親しまれています。以下に、けんちんそばに関するまとめを提供します。

起源と由来

茨城県太田市が発祥の地とされているが、農業に不適な土地ではうどんやそばが栽培されており、様々な所でけんちんそばを見ることができる。

主な材料

そば: 主食となる蕎麦麺。
鶏肉や野菜(大根、人参、ごぼう、里芋、こんにゃくなど): 鍋に煮込まれる具材。
湯葉や豆腐、油揚げなど: さまざまな種類の豆腐や大豆製品が使われることもある。

調理方法

鶏肉や野菜、豆腐などを具材として煮込んだ後、そばにかけて提供される。

一般的な調理手順は、具材を炒めてからだし汁で煮込み、最後に醤油やみりん、塩で味を調える。

バリエーション

温かいけんちんそば: 煮込んだ具材をそばにかけて提供される。

昔屋そば: 冷たいそばをけんちんにつけて食べるスタイル。

地域や店によって、具材や味付けに微妙な違いが見られる。

伝統と文化

地域ごとに異なる調理法や味付けが伝承されてきた。

地元の名物として親しまれ、観光名所や祭りなどで提供されることもある。

栄養価と健康効果

そばに含まれる食物繊維やたんぱく質、野菜類に含まれる栄養素が豊富であり、バランスの取れた栄養が期待できる。

温かいスープや具材の煮込みにより、体を温める効果もある。

保存と伝承

伝統的な製法や味を守るために、保存会や地域の料理教室などで伝承活動が行われている。

また、現代の飲食店や家庭でも提供され、地域の特産品として愛され続けている。