鳥取県の郷土料理いぎすとは?

いぎすの伝承地域は、主に鳥取県の中部地域になります。使用される主な食材は干したいぎす草です。

「いぎす」は、えごのりとも呼ばれる海藻「いぎす草」を使った料理です。

飛鳥時代から奈良時代には、朝廷への献上品としても使用されていたと伝えられています。

このいぎす草は、春になると海岸に流れ着く天草の一種で、ホンダワラ類の体枝に絡みつきながら、長さ20cmほどまで成長します。

糸状の形状で、先端が鉤(かぎ)のように曲がっているのが特徴です。夏から秋にかけては特に繁茂し、主に中部および西部地域の漁港で収穫されます。収穫されたいぎす草は、夏の強い日差しを利用してすぐに乾燥させ、何度か水洗いと天日干しを繰り返して保存されます。

「いぎす」は、寒天やところてんのように、凝固剤なしで自然に固まる特性を持つ料理です。いぎす草を煮溶かして固めたものが基本となり、いぎす豆腐やえごねりなど、他の地域でも類似の料理が見られます。

精進料理やお祭り、節句、冠婚葬祭などで提供されることが多く、「いぎす」という名前を聞くと、正月や法事の場面を思い浮かべる人も多いようです。

乾燥させたいぎす草を戻し、弱火で煮溶かした後、容器に流し込んで固め、ごまを振りかけた上に酢味噌や辛子醤油、しょうが醤油を添えていただきます。

時にはドレッシングや黒蜜をかけて食べることもあります。いぎすの繊維が滑らかになるまで煮溶かすのが調理のコツです。見た目はようかんに似ていますが、口に含むと海の風味が広がり、独特の食感を楽しむことができ、精進料理には欠かせない一品です。カロリーが低く、水溶性の食物繊維やミネラルが豊富です。

いぎすの作り方と材料

材料(保存容器1個分)

干したいぎす草:25g
水:500ml
ごま:お好みで
醤油:お好みで
酢:少々

作り方

1:干したいぎす草を水で2〜3回すすいだ後、水に浸けて柔らかく戻し、ザルにあげて異物を取り除きます。

2:鍋にいぎす草、水、少量の酢を入れ、火にかけます。

3:沸騰したら弱火にし、30〜40分ほどよくかき混ぜながら煮ます。

4:適度にとろみが出たら、バットなどに移して冷蔵庫で冷やします。

5:固まったら、食べやすいサイズに切り分け、ごまをふりかけます。食べる際に醤油をつけて召し上がりください。

地域や家庭ごとに作り方が異なることがあります。

いぎすについて紹介

いぎすは、鳥取県中部地方で親しまれている郷土料理で、いぎす草と呼ばれる海藻(テングサの一種)を煮て、容器に流し込んで固めたものです。

その見た目はようかんに似ています。

中部地域のスーパーマーケットなどでは、乾燥させたいぎす草が販売されていますが、鳥取県の東部や西部、また隣接する島根県ではあまり一般的ではありません。

いぎす草は飛鳥時代や奈良時代には、朝廷への献上品とされていたとも言われています。夏から秋にかけて多く生育し、主に鳥取県中部や西部の漁港で水揚げされます。収穫したいぎす草は、夏の強い日差しを利用して乾燥し、何度も水洗いや天日干しを繰り返して保存されます。

いぎす草は、寒天やところてんと同じ原理で、凝固剤を使用せずとも自然に固まります。このため、いぎす草を煮溶かして固める料理は、鳥取県以外でも、愛媛県の「いぎす豆腐」や北日本や佐渡島の「いごねり」、福岡県の「おきゅうと」といった類似の郷土料理があります。

いぎすは、精進料理や正月、祭り、節句、冠婚葬祭などで提供されることが多く、ごまを振りかけて酢味噌、辛子醤油、生姜醤油でいただくのが一般的です。時には、ドレッシングや黒蜜をかけて食べることもあります。

まとめ

いぎすは、鳥取県の中部地域を中心とした郷土料理で、いぎす草(えごのりとも呼ばれる海藻)を使って作られています。

いぎす草はテングサの一種で、寒天やところてんと同様に、自然に固まる特性を持つため、煮て固めることで独特の食感を持った料理ができあがります。

いぎすの由来と歴史

いぎす草は、古くは飛鳥時代や奈良時代に、献上品として朝廷に贈られていたとされる歴史があります。

春になると海岸に漂着し、主に夏から秋にかけて海岸や浅瀬で繁茂します。鳥取県中部や西部の漁港では、この時期にいぎす草を収穫し、強い日差しの下で乾燥させて保存します。

乾燥させる際には、雑草や異物を取り除くために何度も水洗いや天日干しを行い、最終的に保存に適した状態に仕上げます。

いぎすの地域性

鳥取県の中部地域ではスーパーマーケットでも乾燥いぎす草が販売されていますが、県内の東部や西部地域、また隣接する島根県では、あまり広く食べられていないため、地域に根ざした特有の郷土料理と言えます。

似たような料理は他の地方にもあり、愛媛県では「いぎす豆腐」、北日本や佐渡島では「いごねり」、福岡県では「おきゅうと」として親しまれています。

いぎすの食文化

いぎすは、精進料理としても使われ、特に正月や法事、祭り、節句といった特別な行事で食べられることが多いです。

そのため、「いぎす」と聞くと、これらの行事を連想する人も多いです。また、低カロリーで食物繊維やミネラルが豊富なため、健康を意識した料理としても評価されています。

「いぎす」は、鳥取県の伝統や季節感を感じることができる一品であり、地域の人々に親しまれ続けている料理です。