岡山県の南西部に位置する浅口市鴨方町は、晴れが多い気候や、良質な水、塩、小麦が手に入ることから、江戸時代から手延べ麺の産地として栄えてきました。
手延べそうめんの製造過程で麺の端に当たる部分を「ばち」と呼び、そのように名付けられました。
ばちはそうめんとして使用される部分よりもコシが強いのが特徴です。
ゆでずに鍋に入れ、そうめん自体の塩分を利用し、味付けは少なめにして仕上げます。短い時間でできて、体が温まる料理です。
手延べ素麺のばち汁は年間を通して食べられますが、寒くなる冬に好んで食べられます。
特別な日というよりは、日常的な汁物として食卓に並びます。
味付けは家庭によって異なり、しょうゆや味噌が使用されます。ばちは通常のそうめんに比べて短いこともあり、小さな子供やお年寄りも食べやすく、幅広い世代に愛されています。
手延べ素麺のばち汁の食べ方は、鍋にだし汁を入れ、大根、にんじん、油揚げなど好みの具材を入れて煮立たせます。
具材が煮立ったら、沸騰した汁の中にばちを入れます。ひと煮立ちしたら、しょうゆを入れて味を調えます。
手延べ素麺のばち汁の材料と作り方
ばち汁の材料(1人分)
手延べそうめんのばち部分:10g
にんじん:10g
たまねぎ:15g
大根:10g
青ねぎ:5g
だし汁:150g
しょうゆ:5g
手延べ素麺のばち汁の作り方
1:具材を千切りやみじん切りにする。
2:だし汁に、にんじん、大根、たまねぎを入れて煮立たせる。
3:具材がやわらかくなったら、そうめんのばちをそのまま入れ、ひと煮立ちさせる(ばちが汁を吸うため、食べる直前に入れることをおすすめします)。
4:青ねぎとしょうゆを加え、味を調える。
レシピ提供元: (株)吉田手延製麺
※レシピは地域・家庭によって異なる場合があります。
にゅうめんとバチ汁の違いは?
にゅうめんは、漢字で書くと「煮麺」となりますが、その名の通りそうめんを煮たもので、冬は温かく、夏は冷やして季節の具をトッピングします。
にゅうめんには、県産三輪素麺の中でも製造から1年以上経過したコシのある涸物(ひねもの)が適しています。
バチ汁は、にゅうめんに似ていますが、「ばち」のほうが粘り気が強く、独特の食べ応えがあります。
バチ汁は、そうめんを作る際に出る「ばち」を汁の中に入れて食べる料理です。
まとめ
手延べ素麺のばち汁は、岡山県を中心に親しまれている郷土料理の一つです。以下に手延べ素麺のばち汁についてのまとめました。
地域と由来: 手延べ素麺のばち汁は岡山県の南西部に位置する浅口市鴨方町で親しまれています。
この地域は、江戸時代から手延べ麺の産地として栄え、晴れが多い気候や豊富な水資源、塩、小麦などが揃っています。
材料: 主な材料は手延べそうめんの「ばち」、大根、にんじん、油揚げなどです。
ばちは、手延べそうめんの製造過程で麺の端に当たる部分で、通常のそうめんに比べてコシが強く、独特の食感を持っています。
作り方: 一般的な作り方は、具材を鍋に入れ、だし汁とともに煮立たせ、具材が柔らかくなったら手延べそうめんのばちを加え、一煮立ちさせます。
最後に青ねぎやしょうゆなどで味を調えて完成です。
食べ方: 温かいスープとして食べられ、寒い冬に特に人気があります。
一般的な家庭の食卓に並ぶ日常的な料理であり、家庭ごとに味付けが異なります。
保存と継承: 浅口市では、給食などで定期的に提供されたり、製麺所でばちを購入した人にレシピが配布されるなど、地域の伝統を守り続ける取り組みが行われています。
手延べ素麺のばち汁は、その独特の風味と食感、そして地域の伝統と文化を象徴する料理として、岡山県の人々に愛されています。