岡山県南東部に位置する日生町は、古くから伝わる日生小唄によって知られています。
春になると産卵のために瀬戸内海に多くの魚が集まり、漁場は活気づきます。
特に、春の魚を代表する鰆はこの地域で重要視されています。さわらのこうこずしは、さわらの豊漁と漁業の安全を祈願して、明治時代中期に始められました。
さわらの漬け酢で味付けしたご飯に、たくわん(こうこ)とえんどうを混ぜ、上に酢漬けしたさわらと木の芽を散らして作ります。
最初はさわらだけを使用していましたが、後に秋に漬けたたくあんの古漬け(こうこ)が添えられるようになり、その後、この組み合わせが定着しました。
日生町では、しょうぶの節句やお祭り、船降ろしの際に必ず食べられます。地域の集まりなどでもよく提供されます。
さわらは厚めにそぎ切りにし、塩をしてから酢に漬けます。
たくあんはせん切りにし、もみ洗いして水気を切ります。グリーンピースは塩ゆでします。
酢、砂糖、塩を混ぜ合わせて合わせ酢を作り、昆布を入れた米を炊きます。炊きあがったご飯に合わせ酢をかけて冷まします。
その後、さわら、たくあん、グリーンピースを酢飯に混ぜて木の芽を飾ります。
さわらのこうこずしのレシピと材料
さわらのこうこずしの材料(4人分)
米: カップ4
水: カップ4 1/2
昆布: 10cm角
酢(合わせ酢用): 大さじ5
砂糖: 大さじ3 1/2
塩(合わせ酢用): 小さじ1
さわら: 200g
塩(さわら用): 小さじ1/2
酢(さわら用): カップ1/2
たくあん: 100g
グリーンピース: カップ1/2
木の芽: 少々
さわらのこうこずしの作り方
1:米を洗ってざるにあげ、30分以上おく。
2:さわらは、さしみより厚めのそぎ切りにし、塩をして5~6分おいて、約30分酢につけて引き上げる。
3:たくあんは4cm長さのせん切りにし、もみ洗いして水気を切る。グリーンピースは塩ゆでする。
4:酢・砂糖・塩を混ぜ、合わせ酢をつくる。
5:米は昆布(切れ目を入れる)を入れて炊き、煮立つ前に取り出す。
6:炊きあがったごはんは、合わせ酢をかけて冷ましておく。
7:6の寿司飯にさわら、たくあん、グリーンピースを混ぜて木の芽をかざる。
※ レシピ提供元名: 東備栄養改善協議会
※ レシピは地域・家庭によって異なる場合があります。
岡山備前市日生地区の〜さわらのこうこ寿司〜
岡山では、鯛・ひらめ・鰆・えび・いかなどの魚が、産卵のために瀬戸内海へ大挙してやってくる季節を「魚島」や「魚島どき」と呼んでいます。
この時期は、年間を通じて最も魚が集まる時期であり、特に鰆はその美味しさで知られています。岡山では、鰆料理が多くの人々から注目されています。
日生地区では、5月から7月頃にかけてさわらの漁が盛んに行われます。
さわらの流し網漁が始まると、日生の浜はにぎやかになります。この時期、陸揚げされたさわらを使って、豊漁を祝い、漁業の安全を願って作られたのが「こうこ寿司」です。
お祭りや船降ろしの時だけでなく、地区の集まりでも必ず提供されるようになりました。
「こうこ」とはたくあんのことで、寿司の中に添えてあったたくあんの古漬けが混ざり、そのまま食べてみると美味しいため、こうこを混ぜることが一般的になりました。
酢でしめられたさわらは、柔らかく、ご飯とこうこと一緒に食べるのが日生流です。グリーンピースは彩りと食感のアクセントを添えます。
日生地域では、小さな子供からお年寄りまで、みんなが楽しんでいます。
愛され続け、地域に根付いたこのレシピは、年齢を超えて郷土料理として親しまれています。
まとめ
さわらのこうこずしは、岡山県日生地域の伝統的な料理であり、地元の特産品であるさわらを用いて作られます。
起源と由来
日生地域では、さわらの流し網漁が盛んに行われる時期に、豊漁と漁業の安全を祈願して作られた料理です。
その名の通り、「こうこ」はたくあんのことであり、寿司の中に古漬けのたくあんが混ざることから名付けられました。
材料と作り方
主な材料はさわら、たくあん、酢飯、グリーンピース、木の芽などです。
さわらは酢に漬けてしめており、たくあんはせん切りにして用います。これらを酢飯と混ぜ合わせ、木の芽を飾って完成します。
食べ方
酢でしめたさわらは柔らかく、酢飯と一緒に食べるのが一般的です。
たくあんの風味と食感がアクセントとなり、さわらとの組み合わせが特徴的です。
食べる機会
お祭りや地域の行事、船降ろしの際など、特別なイベントの際に提供されることが多いですが、日常の家庭料理としても親しまれています。
地域の伝統と継承
日生地域では、幅広い年齢層に親しまれ、地域の伝統として受け継がれています。
愛され続け、地域に根付いたレシピとして、郷土料理として親しまれています。
シーズン限定
さわらのシーズン限定の料理であり、さわらの流し網漁が盛んな時期に提供されます。
観光地としての魅力
さわらのこうこずしは、岡山県日生地域の観光名物としても知られ、地域を訪れる観光客にとっても楽しみな料理の一つです。