日本で言及される「鹿」とは、一般にシカ科のニホンジカを指します。
トナカイもシカ科の動物で、鹿の仲間ですが、トナカイは独自のトナカイ属に分類されます。
鹿とトナカイの違いは、角の生え方にあります。
鹿は通常、オスのみが角を持ちますが、シカ科の中でトナカイだけがオスとメスの両方が角を持ちます。
オスの角は春に生えて秋から冬に抜け落ち、メスの角は冬に生えて春から夏に抜け落ちます。そのため、サンタクロースを引くトナカイはメスとされています。
しかし、サンタクロースのトナカイには名前や性別が設定されており、順に、赤鼻のルドルフ（雄）、ダッシャー（雄）、ダンサー（雌）、プランサー（雌）、ヴィクセン（雌）、ドンダー（雄）、ブリッツェン（雄）、キューピッド（雄）、コメット（雄）がいます。ダンサー、プランサー、ヴィクセンを除くすべてがオスのトナカイです。
去勢されたオスは冬でも角が抜け落ちないため、サンタクロースの話に登場するオスのトナカイは、去勢されているという説もあります。
鹿とは？
鹿はシカ科の動物で、日本では主にニホンジカを指します。
シカ科の動物は通常、オスのみが角を持ち、毎年それが落ちて生え変わります。
角は皮膚が変化して形成され、最初は柔らかい袋角として生え、次第に成長して、9月には尖った硬い角になります。
シカ科はオーストラリアとアフリカ以外の全ての大陸に分布していますが、地中海周辺には生息していません。
日本では鹿といえば、ほとんどがニホンジカを指します。そのため、ここから先はニホンジカに焦点を当てて説明します。
ニホンジカの特徴
ニホンジカは日本全国に野生で生息しています。奈良公園にいる個体は家畜のように管理されていますが、野生に近い状態です。
その繁殖力の高さから、個体数は年々増加しています。また、農作物を荒らすこともあります。
一方で、ニホンジカは人間にとって利益ももたらしています。
肉は柔らかく、食用とされます。皮は滑らかで手触りが良く、手袋や靴、ソファーなどに利用されます。また、オスの角は民間療法の薬としても用いられてきました。
古事記にも登場し、奈良時代には神の使いとされたニホンジカは、長い歴史の中で人間との関わりが深い動物です。
体長は個体によって異なりますが、90cmから190cmほどで、トナカイに比べて小さいです。
角は1本から分岐した棒状で、体毛は夏と冬で異なり、冬は灰褐色をしていますが、夏は褐色に白斑点の体毛に変わります。
トナカイとは？
トナカイはシカ科の一種です。厳密に言えば、シカ科トナカイ属に属する唯一の動物です。
トナカイは、シカ科の中で唯一、オスとメスの両方が角を持つ特徴があります。
オスの角は春に生え、秋から冬にかけて抜け落ちます。これは、オス同士の争いで角が欠かせないためで、繁殖期が終わると役割を終えます。
一方、メスの角は冬に生え、夏に抜け落ちます。
メスは通常、出産後の5月から6月に角を失いますが、日本の飼育下では出産前に角を失うこともあります。
これは飼育環境や気候の違いが影響していると考えられます。
トナカイの角は、冬の生活に密接に関係しています。冬には、トナカイは地衣類であるトナカイゴケを探して食べます。
トナカイゴケには豊富な栄養が含まれており、トナカイの冬の生存に不可欠です。
トナカイの角には、雪を掘るための役割を果たす額角があります。
また、体重や角の大きさなどがトナカイの優劣を決定します。オスは通常、メスの2倍の大きさですが、角がない冬の間はメスが優先的に餌を確保できます。
トナカイは寒冷地に生息しており、その体は寒さに適応しています。夏と冬で長距離を移動し、特に北極地域やグリーンランド、ヨーロッパ北部からアジア東部にかけて生息しています。
トナカイは、大群や小グループで生活します。夏や冬の移動時には大群で行動し、その他の季節には小グループに分かれています。
繁殖期以外では、メスとオスが別々に生活し、小グループは通常、同じ性別で構成されます。
トナカイは古くから家畜化され、乳や肉、毛皮が利用されてきました。
英語では「reindeer（レインディア）」と呼ばれ、北米に生息する種は「カリブー」として知られています。
そして、サンタクロースのソリを引くトナカイは有名ですが、その中にはオスも含まれます。
ただし、角が生えていても冬でも角を持つ去勢されたオスがいるため、サンタクロースのソリを引くトナカイは去勢されたものとする説もあります。
まとめ
鹿とトナカイは両方ともシカ科に属する動物であり、外見上の類似点がありますが、いくつかの違いがあります。
鹿とトナカイの共通点
シカ科の一員: 鹿もトナカイもシカ科に属し、その下位分類によって異なる種に分かれます。
草食性: どちらも草や木の葉などの植物を主な食物としています。
角を持つ: 通常、オスは角を持ちますが、トナカイはシカ科の中で唯一、メスも角を持ちます。
鹿とトナカイの違い
生息地域: 鹿は主にアジア、ヨーロッパ、アメリカなどに広く分布していますが、トナカイは北極圏や寒冷地域に生息しています。
角の特性: 鹿の角はオスのみが持ち、メスは角を持ちません。一方、トナカイはオスとメスの両方が角を持ちます。また、角の生え変わりのパターンも異なります。
体毛: 鹿の体毛は夏と冬で異なる場合がありますが、トナカイは冬には特に厚い毛皮で覆われます。
用途: 鹿は狩猟や観賞用として利用されることがありますが、トナカイは主に北極地域の先住民たちにとって重要な食料や運搬手段として利用されます。
これらの違いや共通点からも、鹿とトナカイは似ていますが、生息地や生活環境などにおいて大きな違いがあります。