発見と発明の違いとは?

発見は、これまで一般に知られていなかったものを見つけ出すことです。

発明は、これまで存在していなかったものを新しく生み出したり、考案したりすることです。

特許法によれば、発見者ではなく、発明者が特許を取得する権利があります。

発明の定義は「自然法則を利用した技術的なアイデアの創作のうち、高度なもの」とされています。

自然科学や数学の法則は、それまで知られていなかったが、自然界に元々存在していたため、「発見」とされます。

発明は、新たに発見された理論や既知の事実を基に工夫したり、改善したりして生み出されます。

現代では、発見と発明は意味が異なりますが、明治初期までは発見という言葉が一般的ではなく、発見と発明は同義語として使われていました。

福沢諭吉の『世界国尽』では、「コロンブスがアメリカ大陸を発見する以前」の意味で「古論武子が亜米利加を発明せし以前」と述べられています。

発見とは?

発見(はっけん)とは、未だ知られていなかった(あるいは自身が知らなかった)物や現象、または理論・法則の発見することを指します。

英語では、discoveryやfindingなどが使われます。物品を新たに作り出すのは、発明とされます。

人間は発見する際に、「なぜ?」や「どうして?」といった好奇心が生まれることが知られています。

何を発見とみなすかは、対象によってやや異なります。物事であれば、比較的簡単で、これまで誰も見たことのないものを発見することがその例です。

例えば、冥王星の発見などがこれに当たります。

一方で、コロンブスによるアメリカ大陸の発見は、ヨーロッパ文明にとって新しいものを発見したとされます。

先住民が存在したり、他の文明に知られていた場所でも、ヨーロッパ文明がそれを発見した時点がその発見とされます。

遺跡なども同様で、これらはしばしば西欧文明の主観的な判断によっています。ただし、あまり古いものや、地域でも忘れ去られていた遺跡に関しては、この限りではありません。

生物における新種の発見の場合、異なる視点があります。

ここでは、発見が必ずしも偉業とはみなされません。例えば、江戸時代には、西洋諸国にとって日本は未知の地域であり、そこに訪れて植物を採集すれば、新種を多数発見することがあります。

しかし、それが新種であることが分かったとしても、それだけでは新種とは認められません。

その生物が既存の種類にどれだけ近いか、あるいはどれだけ異なるかを知る必要があります。

これは分類学者の仕事であり、そのような研究に基づいた新種記載の論文によって新種が認められます。発見者が直接関与するとは限らず、その名前が残ることも多いです。ただし、発見者に献名される例もあり、その場合は名前が残ることがあります。

発明とは?

発明(はつめい、英: invention)とは、これまで見られなかった新しい物や方法を考案することです。

作られた新しいもの自体を指す場合もありますし、新しいものを作り出す行為そのものを指すこともあります。

既存のモデルやアイデアから派生する発明もあれば、まったく独自に考案される発明もありますが、後者は大きな進歩をもたらします。

社会の慣習や風習の変革もまた一つの発明です。業界の人々にとって、新規性と進歩性が認められる発明は、特許を取得することで法的に保護されます。

人類は歴史を通じて、様々な道具を作り出し、自然法則を発見し、それらを組み合わせてより便利な機械や器具、素材などを生み出すことで、生活を豊かにしてきました。

こうした新しい発明品やアイデアは、しばしば発明者や製造者、供給者に富をもたらしました。

発明の内容が明らかになると、その模倣によって利益を得る者が出現することもあります。有益な発明を一部の者だけの秘密にすることで模倣を防ぐことができますが、これによって社会的な損失が生じる可能性もあります。

そのため、近代に入り、社会に貢献する発明をした場合、それを公開することで引き換えに、発明者には独占的な使用権や他者に使用させる権利を与えることで、個人の利益と社会の利益のバランスを取るような制度が広まってきました。

発明の歴史はしばしば「人と裁判とお金の歴史」と呼ばれます。発明者の正体について争いがあり、開発費や特許料で莫大な金額が動くからです。

また、発明に至るまでには先人たちの技術の連続性や他者による同時進行の開発が避けられません。その結果、複数の人々が発明者であると見なされることもあります。

なお、「発明」という言葉は史記や漢書、後漢書にも見られますが、漢語としては発見と同様の意味を持っていたとされています。

近現代の発明の意味で使用されるようになった初期の例は、オランダの風説書に添付された文書である別段風説書(Apart Nieuws)などに見られます。

発明の具体例のプロセス

発明のアイデアは、紙やコンピュータ上で考え出され、試行錯誤を経てモデル構築や実験を繰り返し、改良が加えられていく。

パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックの対話がキュビスムを生み出したように、複数の人々の協力によって生み出された発明も多い。

ブレインストーミングによって新たなアイデアが生まれることもある。

このような共同的な創造プロセスは、設計者や建築家、科学者によって頻繁に利用される。

特許には、複数の発明者が記載されることも珍しくない。現代では、遠く離れた場所の人々が協力することが以前に比べて容易になっている。多くの発明家は、その発明プロセスをノートや写真で記録しており、レオナルド・ダ・ヴィンチやトーマス・ジェファーソン、アルベルト・アインシュタインの手稿がよく知られている。

発明のプロセスでは、初期のアイデアが変化することもある。

より単純化し、より実用的にする場合もあれば、まったく異なるものに変貌することもある。

1つの発明から別の発明が派生することもある。これに関連して、アメリカ合衆国では継続的出願という独特な制度を採用している。

発明とその利用は、実用上の重要性に影響されることもある。中には、その発明が最も有効に働く順序で発明されなかったものもある。

例えば、パラシュートは航空機よりも前に発明された。発明された当初は製造コストが高すぎたり、実用化には技術革新が必要だったりする場合もある。

そうした障害は経済発展や科学技術の進歩によって解消されてきた。

しかし、レオナルド・ダ・ヴィンチのような多くの発明が何世紀もかかって実用化される場合もある。単なるアイデアだけで実装されたことがない発明でも、特許で保護を受けることができる。

1つの発明が様々な用途に利用されることもあり、全く異なる用途で使用される場合や、時代と共に用途が変化する場合もある。

ある発明を発展させたバージョンは、オリジナルの発明者が想像もしなかった用途に使われることもある。例えば、合成樹脂の用途や種類は今も急激に拡大している。

各国の発明

アメリカ

アメリカは数々の革新的な発明を世界にもたらしてきました。

電球 (Incandescent Light Bulb): トーマス・エジソンが1879年に特許を取得した電球は、暗闇を照らす革命的な発明でした。エジソンは炭素の線をフィラメントとして使用し、電気の通電によって発光する原理を応用しました。これにより、夜間の作業や居住空間の照明が大幅に改善され、現代の生活に欠かせないものとなりました。

飛行機 (Airplane): ライト兄弟、オーヴィルとウィルバー・ライトによって1903年に初めて飛行に成功しました。彼らは翼の形状やプロペラの設計など、飛行機の基本的な構造を確立しました。彼らの業績により、航空産業が発展し、国際的な移動や貨物輸送が革新されました。

電話 (Telephone): アレクサンダー・グラハム・ベルが1876年に特許を取得した電話は、遠く離れた人とのコミュニケーションを可能にする画期的な技術でした。電話は当初、音声を電気信号に変換して伝送し、受信側で元の音声に復元する原理に基づいていました。これにより、情報の迅速な伝達が可能になり、世界中の人々がより簡単にコンタクトを取ることができるようになりました。

インターネット (Internet): アメリカの軍事機関であるアドバンスド・リサーチ・プロジェクツ・エージェンシー(ARPA)によって始まったARPANETが、インターネットの原型となりました。1960年代後半から1970年代初頭にかけて開発されたARPANETは、コンピュータネットワークを介して情報を共有することを可能にしました。その後、ARPANETの技術が民間に広まり、インターネットは世界中で普及し、情報の共有やコミュニケーションの手段として不可欠なものとなりました。

電気製品: アメリカでは多くの家庭用電化製品が開発され、普及しました。例えば、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、コンピュータなどが挙げられます。これらの電化製品の発明と普及により、家庭生活が大幅に便利になりました。

これらはほんの一部ですが、アメリカの発明は現代社会に大きな影響を与えています。

日本

日本は数々の革新的な発明で知られています。

カメラ: 日本の光学機器メーカーである富士写真光学(現在の富士フイルム)が、日本初のカメラ「ゼロックス」を1913年に発売しました。その後、日本のカメラメーカーは多くの技術革新を行い、世界的に有名なカメラブランドを生み出しました。特に、ニコン、キヤノン、ソニーなどのメーカーは、高性能で信頼性の高いカメラを提供しています。

カセットテープ: 日本の電機メーカーである松下電器産業(現在のパナソニック)が1963年に開発したカセットテープは、音楽や音声の録音・再生を手軽に行うことができる革新的な媒体でした。カセットテープはポータブルであり、様々な機器で使用されました。

ウォークマン: ソニーが1979年に発売したウォークマンは、ポータブル音楽プレーヤーの先駆けとなりました。ウォークマンはカセットテープを使用し、人々がいつでもどこでも音楽を楽しむことができるようにしました。ウォークマンの成功は、ポータブルエンターテインメントの新しい時代を切り開きました。

カラーテレビ: 日本の電機メーカーであるソニーや松下電器産業が1960年代にカラーテレビを開発しました。これにより、家庭でカラーの映像を楽しむことが可能になりました。カラーテレビの普及は、視聴者によりリッチな映像体験を提供しました。

磁気浮上式鉄道 (Maglev): 日本の技術者が開発した磁気浮上式鉄道は、高速で静かな運行が特徴です。これは磁力によって浮上し、レールとの接触がないため、摩擦や振動が少なくなります。日本のリニア中央新幹線はその代表例であり、世界最速の商業運行磁気浮上式鉄道として知られています。

これらはほんの一部ですが、日本の発明は世界中に革新と便益をもたらしています。

韓国

韓国は近年、多くの技術革新と発明を成し遂げています。

液晶ディスプレイ: 韓国の企業であるサムスン電子とLGディスプレイは、液晶ディスプレイ技術において世界的なリーダーです。特に、サムスンのスマートフォンやテレビに搭載されている高解像度の液晶ディスプレイは高い評価を受けています。韓国企業の技術革新により、液晶ディスプレイは世界中で広く使用されています。

スマートフォン: 韓国のサムスン電子は、Galaxyシリーズをはじめとする人気の高いスマートフォンを開発しています。これらのスマートフォンは、先進的な技術と高い性能を備え、世界中で広く愛用されています。LG電子もまた、高品質なスマートフォンを提供しています。

K-Pop: 韓国の音楽産業は、K-Popとして知られるポップ音楽ジャンルを世界に広めました。K-Popはキャッチーなメロディと洗練されたパフォーマンスで人気を博し、韓国のアーティストが国際的なスターとなるきっかけとなりました。BTSやBLACKPINKなどのグループは、世界中で熱狂的なファンを持っています。

コスメティックス: 韓国のコスメティックス産業は、韓国独自の美容製品を世界に紹介しました。特に、韓国のスキンケア製品やメイクアップ製品は、革新的な成分やテクノロジーを取り入れ、高い品質と効果を提供しています。K-Beautyとして知られるこれらの製品は、世界中で大きな人気を博しています。

高速インターネット: 韓国は世界でも最も高速で安定したインターネット接続環境を提供しています。韓国では、広範囲にわたる光ファイバーインフラストラクチャーが整備され、高速ブロードバンドサービスが一般的です。これにより、韓国の人々は高速で信頼性の高いインターネット接続を利用できるようになりました。

これらは韓国が発明したいくつかの代表的なものですが、韓国はさらなる技術革新と発展を目指しています。

中国

中国は数千年にわたって数々の発明や技術革新を行ってきました。

火薬: 火薬は、中国の古代からの重要な発明の一つです。中国では9世紀頃に火薬が発見され、その後軍事や民生のさまざまな用途に広く利用されました。火薬は、火器や爆発物の製造に用いられ、中国の軍事技術や貿易に大きな影響を与えました。

活字印刷: 中国では、木版活字印刷が漢字の印刷に用いられていました。11世紀頃には活字印刷が発明され、本や書籍の大量生産が可能となりました。活字印刷の発明は、情報の普及と文化の発展に大きく貢献しました。

指南針: 指南針は、中国の古代からの航海技術の重要な部分です。中国では、紀元前の時代から指南針が使用されており、船舶の航行や地理探検に役立ってきました。指南針の発明は、海洋交易や探検の発展に寄与し、中国の経済的・文化的交流を促進しました。

絹の生産: 絹は中国で最初に生産され、その後世界中に広まりました。中国では、古代から絹織物が作られ、その技術は世界中で高く評価されています。絹の生産と貿易は、中国経済の成長と繁栄に不可欠な役割を果たしました。

紙: 紙は中国で最初に発明され、文書の記録や書籍の製造に革命をもたらしました。紀元前2世紀頃には既に紙が中国で広く使われており、その後世界中に広まりました。紙の発明は、情報伝達や文化の普及に大きく貢献しました。

これらは中国が発明したいくつかの代表的なものですが、中国は数千年にわたってさまざまな分野で革新的な発明を行ってきました。

まとめ

発見と発明は、両方とも人類の知識や技術の進歩に貢献する重要な概念ですが、それぞれ異なる意味を持ちます。

発見 (Discovery)

発見とは、新しい事実や現象、理論、法則などを見つけ出すことを指します。
自然界や人間の行動など、既に存在していたがまだ知られていなかったものを発見することがあります。

発見は観察、実験、推論などの手法を通じて得られることがあります。
代表的な発見の例には、新しい惑星や恒星の発見、新種の生物の発見、自然法則や科学的原理の発見などがあります。

発明 (Invention)

発明とは、新しい製品、装置、方法、プロセスなどを創造することを指します。

人間の創造性や工学的な技術を用いて、新しいものを作り出す行為です。
発明は問題の解決やニーズの充足、効率の向上などの目的で行われることがあります。

代表的な発明の例には、電球、電話、飛行機、コンピュータ、インターネットなどがあります。

発見と発明は、どちらも人類の進歩や文明の発展に不可欠な要素であり、科学や技術の発展に大きな影響を与えています。発見は新たな知識や理解をもたらし、発明はその知識や理解を基にして新しい製品やサービスを生み出します。

両者は密接に関連しており、新たな発見が発明の原動力となることもあります。