おかゆは、米を通常のご飯よりも多くの水で炊いた料理です。
消化が良いため、離乳食や病人食、また精進料理の主食としても利用されます。
基本的には米と水だけで作られますが、サツマイモや山芋を加えた芋粥や、ほうじ茶や緑茶で炊いた茶粥などのバリエーションもあります。
雑炊は、炊いたご飯に出汁や具材を加えて煮込んだものです。
鍋料理の締めとして残り汁を使って作られることが多いです。おかゆは米から炊くのに対し、雑炊は炊いたご飯を用い、出汁や具材を加える点で異なります。
おじやは、「じやじや」という音がすることから「じや」という名前がつき、それに「お」をつけたものです。
本来は「雑炊」を指す女房言葉でした。
雑炊とおじやの違いについては、洗ってぬめりを取ったご飯が「雑炊」、粘り気のあるものが「おじや」と言われることがあります。
また、味噌や醤油で味付けしたものが「おじや」、塩や煮汁で味付けしたものが「雑炊」とされることもありますが、地域や家庭によって異なり、明確な区別はありません。
基本的には、どちらも同じ料理と考えられています。ちなみに、沖縄では「雑炊飯」が訛って「ジューシーメー」となり、これが「ジューシー」という名前で呼ばれています。炊き込みご飯のことも「ジューシー」と言います。
リゾットは、イタリア料理で、米をオリーブオイルやバターで炒め、白ワインや出汁を加えて煮込んだものです。
米は洗わず、あまりかき混ぜずに煮込み、水分が蒸発したら追加し、米がアルデンテになるまで煮るのが特徴です。魚介や肉、きのこ、野菜など様々な具材が加えられます。
お粥とは?
お粥は、米や麦、粟、そばなどの穀物や豆類、芋類を、多めの水で柔らかく煮込んだ料理です。煮汁の上澄みは「重湯(おもゆ)」と呼ばれ、関西地方では「おかいさん」という別名もあります。
現在では、水分を多く含んだ半流動状のご飯を指しますが、古くは現在のご飯のような炊き干し飯を意味していました。
お粥は、穀類と水、そして鍋や炊飯器があれば簡単に作ることができます。消化が良く、体を温める効果があるため、胃腸が弱っているときや風邪をひいたときによく食べられます。
また、離乳食や精進料理の主食としても欠かせない料理です。さらに、低カロリーであるため、ダイエット食品としても利用されることが多く、朝食として食べる人も少なくありません。
ホテルのレストランの朝食メニューとして提供されることもあり、お粥専門店も存在します。
炊き上げてから時間が経つと糊状になり、食感が悪くなるため「人を待たせてもお粥は待たせるな」という格言があります。
お粥は、レトルトパックやフリーズドライ、缶詰などの形でも市販されています。
おかゆの種類について紹介
入れ粥
通常のご飯に白湯を加えて再び炊く方法で作るお粥です。
余ったご飯を活用する際に便利で、短時間で作れます。
ただし、炊き粥と比べると粘り気のある汁(地域によっては「おねば」と呼ばれる)が出やすく、硬さの調整が難しいため、味が落ちることがあります。
炊き粥
生米から炊くお粥で、水と米の比率によって呼び名が変わります。
茶粥の場合、かき混ぜても米が崩れにくいですが、白粥ではかき混ぜると粘りが出て味が落ちるので、あまりかき混ぜない方が良いです。
強火で吹きこぼれないようにし、米が自然に対流するように炊くのが理想です。炊飯器でも作ることができ、炊き粥用の水調整機能を持つ炊飯器もあります。
粟粥(あわがゆ)
中国の華北地方で一般的な粟を使用したお粥です。中国語で「小米粥(シャオミージョウ)」と呼ばれます。
稗粥(ひえがゆ)
ヒエを水で炊いたお粥です。アイヌ料理のサヨなどに使われます。
小豆粥(あずきがゆ)
柔らかく煮た小豆をうるち米と一緒に炊いた甘くないお粥です。桜の花の色に似ていることから「桜粥(さくらがゆ)」とも呼ばれます。
小正月(1月15日)に食べる習慣があり、鏡開きした餅を加えることもあります。中国語では「紅豆粥(ホンドウジョウ)」といい、小豆だけで作られるため、甘くない汁粉やぜんざいのようなものです。
平日の朝食としても食べられます。韓国では「パッチュク(팥죽)」と呼ばれ、冬至に白玉団子を入れて食べる習慣があります。
緑豆粥(りょくとうがゆ)
中国や韓国で広く食べられている、緑豆を使った甘くないお粥です。中国語では「緑豆粥(リュードウジョウ)」と呼ばれています。
白粥(しらがゆ)
米を水だけで炊いたシンプルなお粥です。基本的には具を入れず、味付けもしないことが多いですが、少量の塩を加えることもあります。
醤油や味噌で味付けすることもあります。漬け物や梅干し、塩辛、しらす干し、佃煮、なめ味噌、寺納豆などを添えて食べることが多いです。
中国では、漬け物、腐乳、鹹蛋、ピーナッツ、乾しエビ、肉鬆(豚肉のでんぶ)などが付け合わせとして一般的です。
茶粥(ちゃがゆ)
米をほうじ茶や緑茶(粉茶)で炊いたお粥です。
元々は奈良の僧坊で食べられていたものが民間に広がったとされています。
茶は布袋に入れて湯で抽出し、その茶で米を炊き上げます。
家庭では手間を省くため、米を炊き始めてから早い段階で茶袋を入れて一緒に炊くことが多いです。
茶袋を入れるタイミングや茶の種類によって味が変わり、各家庭の独自の味になります。
塩を加えると甘みが増すこともありますが、血圧を気にする家庭では入れないことが多いです。
文化的には「大和の茶粥」として奈良が発祥とされ、西日本各地で見られます。
特に和歌山県では常食として親しまれ、大阪府南部や奈良県、京都府の一部地域でも郷土料理として定着しています。
また、北前船の影響で山口、能登、青森、仙台でも見られることがあります。畿内の旅館では名物として朝食に提供されることもあります。
東大寺の「お水取り」という行事の後の夜食に「ごぼ」という茶粥が出されることから、奈良では1200年以上にわたり茶粥が食べられてきたと考えられます。
江戸時代の「名飯部類」には、茶を煮出してその茶で米を炊き、出汁をかけて海苔や茗荷を添えた「利休飯」が登場します。
芋粥(いもがゆ)
現代では、米のお粥にサツマイモを加えて煮たものを指しますが、昔はヤマノイモを薄切りにして甘く煮たものを「芋粥」と呼んでいました。
これは現在の粥とは異なるものでした。芥川龍之介の歴史物語「芋粥」では、主人公の五位が好んで食べる料理として登場し、「山の芋を甘葛の汁で煮たもの」と説明されています。
この話の原典は『宇治拾遺物語』にあります。
中華粥(ちゅうかがゆ)
中国風のお粥を日本でこう呼びます。白粥だけでなく、鶏や干し貝柱の出汁で炊くことが多いです。
水分量は五分粥と同じくらいです。魚や豚肉、カキ、牛肉、鶏肉、するめ、もやし、落花生、皮蛋、鶏卵など多様な具材を加え、香菜やネギ、ショウガを薬味として、風味付けにごま油を使い、付け合わせに油条を添えます。
チュッ(죽)
韓国のお粥です。
米の粒が残っているものをチュッ、ポタージュ状のものをウンイと呼びます。
代表的なのはアワビ粥です。冬至には小豆粥、夏にはスタミナ食として鶏粥を食べる習慣があります。
カキ、エビ、牛肉、黒ゴマ、松の実、緑豆、カボチャなどを使った様々な種類があります。カボチャ粥や小豆粥には餅粉の団子が入ります。
ジョーク、カーオ・トム
タイのお粥です。
ジョークは砕米で作る粥、カーオ・トムは米の粒が残る粥です。白粥にはニオイタコノキの葉とショウガを加えて炊き、落花生や青ネギを薬味とします。
味付きのお粥には卵や肉、魚介類が入ることもあります。
ポリッジ(Porridge)
穀類を水や牛乳で炊いた粥です。
オートミールや小麦(セモリナやクリーム・オブ・ウィート)が一般的ですが、他の穀類、例えば大麦、米、トウモロコシ粉、エンドウ豆粉なども使用されます。生クリーム、バター、砂糖を加えて食べることが多いです。
ポレンタ(Polenta)
粗く挽いたトウモロコシの粉を水や出汁で煮た北イタリアの粥です。
バターやチーズ(パルミジャーノ・レッジャーノやゴルゴンゾーラ)やミートソースをかけて食べます。
肉料理の付け合わせにもなります。トウモロコシ粥は、クロアチアではジュガンツィ、ルーマニアではママリガ、北アメリカではマッシュと呼ばれます。
雑炊とは?
雑炊は、日本料理の一つで、醤油や味噌などで味をつけたスープにご飯や米を煮て作る料理です。
肉、魚介、キノコ、野菜などが加えられます。おじややこながきとも呼ばれ、冬の季語としても使われます。
一般的には米を使いますが、徳島県では「ソバ米」を使ったそば米雑炊、東京都八丈町ではオオムギを使った麦雑炊などもあります。
昔は冷や飯の再利用方法として味噌汁などと混ぜて作られ、家庭で頻繁に食べられていました。現在では、鍋料理の残り汁を使った締めや、体調不良時の栄養補給として食べられることが多いです。
ジューシー
沖縄では、雑炊を「ジューシー」と呼びます。
通常の炊き込みご飯も、水分の多い雑炊もジューシーと呼ばれますが、厳密には、炊き込みご飯はクファジューシー(硬い雑炊)、雑炊はヤファラジューシー(柔らかい雑炊)と区別されます。
クファジューシーは炊き込み時にラードやマーガリンを加えるのが特徴で、三枚肉、ヒジキ、ニンジン、シイタケ、こんにゃくなどが定番の具材です。
ヤファラジューシーには豚肉、フーチバー(ヨモギの葉)、カンダバー(サツマイモの葉)、チンヌク(サトイモ)、アーサ(ヒトエグサ)などが使われます。
仕上げに生卵やマーガリンを加えることもあります。沖縄では、米は特別な食材であり、現在も慶事や仏事の際には特別なジューシーが作られます。
リゾットとは?
リゾットは、もともとイタリアで食べられていた麦類の料理に中東から伝わった米が融合した料理です。
イタリアでは、特定の調理法で作られる米料理をリゾットと呼びます。イタリアは中世からポー川を利用して水稲栽培に成功し、米を生産する数少ないヨーロッパの国の一つです。
リゾットの原型は、米をバターで炒め、スープとサフランを加えて炊くという方法で作られていました。
第二次世界大戦後にはイタリア全土に広まり、今ではイタリアのどのレストランのメニューにも見られる料理です。
まとめ
お粥(おかゆ)
お粥は、米を多量の水で柔らかく炊いた料理です。消化が良いため、病人食や離乳食としてもよく用いられます。
白粥(しらがゆ):米と水だけで作り、具材や調味料を加えないシンプルなお粥。
茶粥(ちゃがゆ):米をほうじ茶や緑茶で炊いたもの。奈良を発祥として西日本各地で見られます。
芋粥(いもがゆ):米とサツマイモを一緒に炊いたもの。古くは山芋を甘葛の汁で煮たものを指しました。
雑炊(ぞうすい)
雑炊は、調味料で味付けしたスープにご飯や米を加えて煮た料理です。
具材:肉、魚介、キノコ、野菜など様々なものを加えます。
調理法:醤油や味噌などで味を付け、スープにご飯を加えて煮ます。
種類:地域によって異なり、徳島県のそば米雑炊や東京都八丈町の麦雑炊などがあります。
沖縄のジューシー:沖縄では雑炊をジューシーと呼び、生米から炊き上げる炊き込みご飯も含まれます。
リゾット
リゾットは、イタリアの米料理で、バターやオリーブオイルで炒めた米にスープを加えて炊き上げる料理です。
調理法:米を炒め、スープや白ワインを少しずつ加えながら煮ます。米がアルデンテ(少し硬め)になるまで煮ます。
具材:魚介、肉、キノコ、野菜など様々な具材が加えられます。
起源:中世から米を栽培していたイタリア北部で発展し、第二次世界大戦後にイタリア全土に普及しました。
お粥、雑炊、リゾットはすべて米を使った料理ですが、その調理法や用途、文化背景が異なります。
お粥は消化の良いシンプルな料理で、病人食や離乳食に適しています。雑炊はスープにご飯を加えたもので、具材や調味料のバリエーションが豊富です。
リゾットは米を炒めてからスープを加えて煮るイタリア料理で、豊かな風味と多彩な具材が特徴です。