角ずしと箱ずしの伝承地域は石見地方で、使用食材は酢飯、人参、ごぼう、しいたけなどの季節の野菜を主に使用します。
「角ずし」と「箱ずし」は、どちらも押しずしの一種ですが、使用する木枠の形やサイズに違いがあります。「角ずし」は5cm角ほどの小さな木枠を使い、手軽に作ることができます。
形は角型以外にも花形や松竹梅などもあります。「箱ずし」は、より大きな木枠を使用し、作ったものを切り分けて提供します。最近では手軽に作れる「角ずし」が人気ですが、一度に大量に作れる「箱ずし」が郷土料理として根付いている地域もあります。
石見地方の「箱ずし」は、魚や肉を使わず、酢飯と野菜を層にして作ります。薄い板を挟みながら酢飯と野菜を重ね、最後に圧をかけて切り分けます。
錦糸卵、桜でんぷ、青い葉などで彩りを添えます。この料理は江戸時代に石見銀山周辺に派遣された代官の奥方が江戸の味を地元に伝えたのが始まりとされています。また、戦国時代の兵糧として伝わったという説もあります。
昔は家庭で作り、祝い事の日に食べられていました。「角ずし」は手軽に作れるため、かつては各家庭にすし用の木枠がありました。
祝いの日に「角ずし」を作るのが当たり前でした。現在でも、祝いの日に「角ずし」を作る風習は残っています。また、昔は嫁入り道具の一つとしてすし用の木枠が代々受け継がれていました。
保存性も高く、祝いの宴席や出産祝い、病気見舞いなどにも利用されました。
「角ずし」は酢飯で包まれており、上の飾りだけで具がないように見えますが、食べ進むと中から具が現れます(「箱ずし」は切り分けるため、横から具が見えます)。
具材は肉や魚を使わず、野菜が中心です。木枠に酢飯を詰め、甘辛く煮た人参、ごぼう、しいたけなどを重ね、さらに酢飯を重ねて圧をかけます。
最後に錦糸卵や桜でんぶ、山椒などを散らして彩りを加えて食べます。飾り付けは特に決まりはなく、家庭ごとの個性が現れます。
地元のスーパーマーケットや直売所、総菜店などで購入できます。また、食育の一環として作られることもあります。
角ずしと箱ずしのレシピと材料
材料(4人分)
米:4合
【A】酒:8個
【A】出汁昆布:10cm角
【B】酢:大さじ5
【B】砂糖:大さじ2
【B】塩:小さじ1
ごぼう:60g
人参:40g
干ししいたけ:10g
長天:1/2枚
【C】干ししいたけの戻し汁:1カップ
【C】しょう油:大さじ1
【C】みりん:小さじ2
金時豆:16個
錦糸卵:適量
青葉:適量
桜でんぶ:適量
作り方
1:米を洗い、ざるに上げて【A】の材料で炊きます。
2:干ししいたけを水で戻し、戻し汁をだし汁に使います。
3:ごぼうと人参は細切りにし、干ししいたけは薄切りに、長天も細かく切ります。
4:【C】の材料で3の具材を煮て味をつけます。
5:炊き上がった米に【B】の合わせ酢を混ぜ、すし飯を作ります。
6:すし飯に4の具材と金時豆を入れて混ぜ、丸めて木枠に入れます。
7:木枠から押し出したすしの上に、錦糸卵、青葉、桜でんぶを飾ります。
レシピ提供元
※レシピは地域や家庭によって異なることがあります。このレシピは家庭で調理しやすいようにアレンジされています。
角寿司の歴史
角寿司(かくずし)は、広島県広島市周辺から芸北(山県郡及び安芸高田市の一部)や島根県南西部にかけて作られる郷土料理で、押し寿司の一種です。
地域によって異なりますが、一般的には法事や宴会、祭りなど、多くの人を招く場で提供されることが多いです。四角い木型に酢飯と具材を詰めて押して作るもので、大阪寿司とは異なる見た目と味わいがあります。
一部のスーパーマーケットでは、自社で角寿司を惣菜弁当として製造・販売しており、また食料品店でも販売されています。特に安佐北区や芸北地域出身の人々にとっては馴染み深い料理です。
さらに、うどん店などでもおにぎりやいなり寿司と共に販売されていることがあります。
まとめ
角ずしと箱ずしは、日本の郷土料理であり、押し寿司の一種ですが、それぞれ異なる特徴を持っています。
角ずし
特徴: 小さな角形の木枠(物相)を使って作られることが特徴。形は角型以外に花形や松竹梅などもある。
具材: 酢飯に人参、ごぼう、しいたけなどの季節の野菜を重ねて詰め、上に酢飯を押し付ける。飾りに錦糸卵や桜でんぶ、青葉(山椒、人参の葉)をのせて彩る。
用途: 昔は家庭で作られ、特にハレの日や嫁入り道具として重宝された。現在でも祝い事や宴会で食されることが多い。
箱ずし
特徴: 大きな箱型の木枠を使い、酢飯と野菜を層にして作る。最後に圧をかけて切り分けて供する。
具材: 酢飯と共に魚や肉は使わず、野菜中心の具材を重ねる。
用途: 元々は兵糧としても使われたとされ、大勢の人が集まる場面で広く提供される。
両者ともに地域によって作り方や具材が異なり、伝統的な料理として地域の食文化に根付いています。