鳥取県の郷土料理いがい飯とは?

いがい飯の主な伝承地域は鳥取市青谷町になります。主な使用食材は、米、イガイのむき身です。

イガイは三角形の貝で、黒褐色の殻を持ち、岩礁に生息しています。

ムール貝に似ていますが、アサリなどの二枚貝とは形や模様が異なり、「イガイ」と呼ばれる理由です。

鳥取市青谷町夏泊は山陰地方で唯一海女が活動している地域で、イガイは潮通しの良い岩礁域に生息しています。

このため、「いがい飯」は海女たちが採取したイガイを使った炊き込みごはんとして知られています。6月ごろから作られ、夏の訪れを知らせる風物詩となっています。

いがい飯は古くから盆のもてなし料理として伝わっています。

貝から身を取り出し、ヒゲ部分は砂礫を含んでいるので丁寧に取り除きます。

イガイを適当な大きさに切り、茹でてから米と調味料と一緒に炊きます。

お好みで細かく切った人参やごぼうを加えても良いです。素朴な味わいで、磯の香りが口いっぱいに広がります。

貝の殻ごと炊くこともあります。「いがい飯」以外では、酒蒸しや炭火焼き、お吸い物としても楽しめます。お吸い物にする場合は、イガイを水から入れると美味しい出汁が取れます。

以前は駅弁として販売されたこともありましたが、現在は販売されていません。そのほか、飲食店で提供しているところもあります。

いがい飯のレシピと材料

材料(6人分)

米:3カップ
イガイむき身:100g
調味料A:
醤油:30ml
みりん:30ml
酒:60ml
イガイのゆで汁と水:3カップ

作り方

1:米を洗い、ざるに上げて水気を切ります。

2:イガイを茹で、そのゆで汁を布でこしておきます。

3:イガイの身を取り出し、ヒゲを切り落とします。

4:炊飯器に米、イガイの身、調味料Aを加え、炊きます。

5:※炊き上がる直前に茹でたイガイを加える方法もあります。

※レシピは地域や家庭によって異なる場合があります。

イガイとはどんな貝なの?

イガイ(貽貝、淡菜。学名: Mytilus coruscus。繁体字: 厚殻貽貝、簡体字: 厚壳贻贝)は、イガイ科に属する二枚貝の一種です。

見た目はムラサキイガイ(M. galloprovincialis)に似ていますが、イガイは日本の沿岸に自生しており、より大きく、殻が厚いのが特徴です。また、殻の先端が鷲鼻状に曲がっており、表面に青みがないことで区別できます。

ムラサキイガイは波の穏やかな内湾に生息するため、生息場所でも違いが見られます。

日本では多くの地方名があり、イノカイ、セトガイ、シュウリガイ、カラスガイ、ニタリガイなどと呼ばれています。

ただし、カラスガイはイシガイ科のクリスタリア・プリカタ(Cristaria plicata)の標準和名であり、混同に注意が必要です。また、イガイの学名にはシノニムとして M. crassitesta もあります。

イガイは北海道南部から九州まで分布しており、朝鮮半島や中国北部(渤海、黄海、東シナ海)にも見られます。

南西諸島には分布していないとされていましたが、1996年1月には西表島の海岸に殻が漂着したとの報告もあります。

成貝のサイズは、殻長が12-15センチメートル、殻幅が6センチメートルに達します。殻は厚く、やや膨らんでいます。表面は黒褐色で光沢があり、光沢はそれほど強くありません。殻表には毛が生えていません。

内側の殻は青白く、真珠のような光沢があります(真珠が入っていたという報告もあります)。後筋痕は丸く、大きめです。

イガイと日本人との関わり

日本では古くから食材として利用され、貝塚からの出土例もあります。さらに、『土佐日記』の承平5年(935年)1月13日付には、イガイとアワビのいずしについての記述があります。

現在でも、イガイは分布している沿岸地域で食用として漁獲されます。春には特に美味しいとされますが、大規模な流通は行われず、主に漁獲地周辺で消費されます。

新鮮なイガイはそのまま酢の物として食べるほか、煮物、焼き物、揚げ物、シチューなどに利用されます。

特に、素焼きのほうろくで蒸し焼きにした「ほうろく蒸し」が美味とされています。鳥取県では、イガイを使った炊き込みご飯(いがい飯)が有名です。

また、養殖の可能性についても研究が進められており、田邉徹によると、3歳のイガイは1個100グラム以上で出荷できるとのことです。単価の期待から、震災からの復興に向けた新しい養殖品目としても注目されています。

中国では、イガイは「海紅」や「東海夫人」と呼ばれ、食用として利用されるほか、乾燥させたものは「淡菜」として生薬としても使われます。特に白帯下に効果があるとされています。

まとめ

イガイ飯は、鳥取県の青谷町を中心に伝わる伝統的な料理です。イガイ(貽貝)を使った炊き込みご飯で、地域の風物詩として知られています。

昔から食用として利用されており、古文書にも記録があります。6月頃から作られるようになり、夏の風物詩として地域に根付いています。

イガイ飯の特徴としては、イガイの独特の風味が感じられ、磯の香りが広がるご飯です。素朴な味わいで、地元では夏の訪れを告げる料理として親しまれています。イガイ飯は主に漁獲地周辺で消費されることが多く、地域の特産品としても有名です。