岡山県の伝統料理「鮒めし」

岡山県の「鮒めし」は、矢掛町、玉野市、八浜などの伝承地域で親しまれています。

この料理の歴史は、児島湾の干拓と深く関わっています。

岡山県南部は古くから干拓によって形成された水田が広がり、江戸時代から新田開発が進みました。

水田、水路、河川、児島湖などの水環境に恵まれ、ヨシ、フナ、マツカサガイなどが生息しています。

干拓地の農業用水路では多くのフナが獲れ、特に寒い時期に獲れる「寒鮒」は、その独特のコクが評価され、貴重なタンパク源とされていました。

寒い冬の日、新鮮な寒鮒を丁寧に調理することで、「とんとこ汁」や「とんとこ飯」と呼ばれ、地元の人々に愛されてきました。

鮒めしは、ミンチ状にしたフナを野菜と一緒に炒め煮し、脂ののった寒鮒と根菜がたっぷり入った濃厚な汁を、熱いご飯にたっぷりかけて楽しむ料理です。

寒鮒を活かす「鮒めし」の食べ方と季節

寒い季節になると、フナの臭みが少なくなると言われ、その時期によく楽しまれるのが「鮒めし」。

川から離れた地域ではたくさんのため池があり、12月になると水が必要なくなるため、池の栓を抜いてれんこんを掘りながらフナを捕まえることが行われていました。

調理方法も特有で、ギンブナを三枚に下ろし、中骨を取り除いた後、身の中の硬い小骨を包丁で叩いてミンチ状にします。

この「フナミンチ」は、少量の油と醤油、みりん、砂糖、だし汁などで炒め煮し、最後にご飯にかけて食べます。

なお、他の具材も好みに応じて加えられることが一般的です。

フナは他の川魚と同様に泥臭いため、冬場に捕まえた寒鮒を使用したり、真水で餌を与えずに放置し、数週間泥抜きを行ったものが使われます。

フナの内臓などを取り除き、ミンチにする際、好みに応じて汁を混ぜたり、サラダ油で炒めたりします。

にんじんやだいこんを加えて炒め、だし汁を入れて煮立ったら油揚げを加え、最後にねぎを加えて火を止めます。この香り高い料理を温かいご飯にかけて楽しんでください。

鮒めしの継承と保存に向けた取り組み

鮒めしは岡山市内の飲食店で楽しむことができます。以前は児島湖ふなめし交流会というイベントがあり、コンテストなどが行われていました。

岡山県南部で受け継がれる伝統料理で、フナを骨ごとミンチにし、野菜と炒め、出汁を加えて煮込み、最後にご飯にかけて食べます。

干拓地(例:岡山市藤田)やため池のある地域では、船が豊富に捕れたことから、鮒めしが親しまれたと伝えられています。

倉敷地区ではかつて、船穂町柳井原地区で「ふな飯まつり」として地域のイベントが開催されていましたが、現在は行われていません。

鮒めしの材料と作り方

鮒めしの食材(4人分)

ふなミンチ: 50g
ごぼう: 50g
金時人参: 30g
小芋: 4個
生しいたけ: 2つ
こんにゃく: 1/4枚
油揚げ: 1/4枚
小口ねぎ: 少々
もみのり: 少々
出汁: 2カップ
サラダ油: 少々
ごま油: 少々
【A】濃口醤油: 大さじ3
【A】薄口醤油: 大さじ1
【A】みりん: 大さじ1
【A】酒: 大さじ3
【A】砂糖: 大さじ1

鮒めしの作り方

1:ごぼうをささがきにし、水に放ってアク抜きをする。金時人参、しいたけ、こんにゃく、油揚げは短冊切り、小芋は皮をむいて輪切りにする。

2:フライパンにサラダ油とごま油を入れ、熱した後、弱火にしてふなミンチを入れ、よくほぐしながら炒める。ミンチが白っぽくなったら、強火にして、1の野菜を入れてサッと炒める。

3:鍋に出汁を入れて強火にかける。2を入れ、煮立ってきたらアクを取り、【A】を加えて味を調える。再度煮立ってきたら、弱火にして、野菜がやわらかくなるまで煮込む。

4:丼にご飯を盛り、3をかけ、小口ねぎともみのりをふる。

※レシピ提供元名: 岡山市栄養改善協議会

※レシピは地域・家庭によって違いがあります。

鮒めしは倉敷の郷土料理としても有名

鮒めしは、倉敷市全域で昔から親しまれている郷土料理です。

特に、柳井原貯水池や高梁川がある船穂地区では、フナの産地として知られ、各家庭が独自の味付けや調理法を伝え、代々受け継がれています。

真備船穂商工会がフナ飯を地域の活性化に活かそうと試みました。

倉敷市との合併後、フナ飯を地域資源として注目し、5年前から普及活動を行い、その結果、平成23年(2011年)には国の「地域産業資源」法の認定を受けました。

鮒めしには船穂地区の特産品である金時ニンジン、ダイコン、ゴボウなどが使用され、地元産の食材を活かした地産地消の郷土料理となっています。

フナ飯の作り方は各家庭ごとに異なり、骨ごとミンチにしたフナを油で炒め、味噌や醤油ベースの汁で野菜と一緒に煮た後、ご飯にかけて完成します。

ミンチの度合い、調味料の種類、量、使用する油などが家庭ごとに異なり、個々の家庭で独自の味わいが楽しまれています。

冬が旬で、フナの臭みが少なく、根野菜と煮た熱々の料理が体を温めると言われています。真備船穂商工会は、今後もフナ飯を通じて郷土の愛を育み、地域外へのアピールを図る方針です。

まとめ

鮒めしの特徴: 鮒めしは岡山県南部地域、特に矢掛町、玉野市、八浜などで親しまれている伝統的な地元料理です。

歴史と由来: 鮒めしの歴史は、児島湾干拓の進展と深く結びついています。

南部地域は水田が発展し、干拓地の水環境がヨシ、フナ、マツカサガイなどの生息に恵まれていました。

特に寒い季節に獲れる「寒鮒」は貴重なタンパク源とされています。

食材と調理法: 鮒めしは、フナをミンチ状にし、野菜と炒め煮して作ります。

寒鮒の脂と根菜が豊富で、熱いご飯にたっぷりかけて食べるのが特徴です。

地域の愛称と呼び名: 地元では「とんとこ汁」や「とんとこ飯」とも呼ばれ、寒冷地域での寒さに打ち勝つ温かい料理として親しまれています。

鮒めしの保存・継承: 地域社会では、鮒めしの保存と継承に力を入れており、特定の活動や交流会が行われ、食文化として大切にされています。

鮒めしの作り方: フナをミンチにして炒め、野菜と一緒に煮込み、最後にご飯にかけて完成。

各家庭で調味料や具材に独自のアレンジがあり、冬が旬の時期とされています。

地域への貢献: 鮒めしは地域の特産品や食材を使用し、地域の愛着と誇りを育む一翼を担っています。