うずみの主な伝承地域は、広島県福山市周辺です。主な材料として、ごぼう、里芋、にんじん、大根、しいたけ、松茸、豆腐、小エビ、鶏肉、鯛、ご飯になります。
うずみは江戸時代、見た目を質素に装うために具材をご飯の下に隠したのが始まりとされています。
だしで煮込んだ魚介類や野菜を器に入れ、汁を注いだ後にご飯を盛り付けるという形で提供されました。
広島だけでなく、中国地方の他の地域にも「埋める」食文化があり、島根県の「うずめ飯」や岡山県の「ばら寿司」がその例です。
昭和40年代頃までは秋の収穫を祝う際の特別な料理として親しまれていました。
地域によって使用する食材やだし汁に違いがあり、里芋やにんじん、エビ、鶏肉などが多く使われ、瀬戸内海沿いではいりこ、山間部では干ししいたけでだしを取るのが一般的です。
うずみの食べる時期は、かつては秋の収穫を祝う季節限定の料理として楽しまれていましたが、近年では飲食店や学校給食で提供されることが増え、食べる機会が徐々に復活しています。
うずみ作り方と楽しみ方は、具材(例:ごぼう、里芋、にんじん、大根、しいたけ、松茸など)を小さめに切り、下ごしらえとして煮たり茹でたりします。器に具材を盛り、別途用意しただし汁を注ぎ、その上からご飯を被せて完成です。
最近では、この「埋める」発想が多彩なメニューに応用され、フルーツを埋め込んだデザートや、麺の下に具材を隠したラーメンなどが登場しています。
福山市内の学校では郷土料理の一環として給食に取り入れられており、2010年に発足した「福山食ブランド創出市民会議」が、この料理の魅力を広める活動を行っています。
「埋める」ことに「幸せ」や「宝物」を見立て、食べる楽しさをPRしています。その結果、市内の飲食店でこの料理を提供する店舗が増加しています。
うすみのレシピと材料
材料(4人分)
鯛(皮つき切り身):4切れ(1切れ約30g)
酒:少々
塩:少々
えび:8尾
里芋:2個
にんじん:1/2本
調味液A
かつおだし:100cc
みりん:大さじ1弱
濃口しょうゆ:大さじ1弱
干ししいたけ:1枚
調味液B
しいたけの戻し汁:15cc
砂糖:小さじ2/3
濃口しょうゆ:少々
厚揚げ:200g
刻みのり:少々
ゆず:少々
ご飯:4膳分
調味液C
かつおだし:500cc
酒:大さじ4
みりん:小さじ2
薄口しょうゆ:小さじ2
作り方
1:鯛の下準備
鯛に酒と塩をふり、アルミホイルを敷いたトースター(500~600W)で焼く。中まで火を通し、皮がこんがりするまで5分程度。
2:えびの下ごしらえ
背わたを取ったえびを殻つきのまま熱湯で1~2分ゆで、殻をむいておく。
3:野菜の準備
里芋とにんじんの皮をむき、5mm程度の薄い半月切りにする。
4:野菜を煮る
鍋に野菜と調味液Aを入れ、中火で10分程度煮る。その煮汁にえびを10分間浸す。
5:しいたけの処理
干ししいたけを水で戻して細切りにする。戻し汁は余れば他のだし汁に加えてOK。
6:しいたけの煮込み
別の鍋でしいたけと調味液Bを合わせ、中火で5~10分煮る。
7:厚揚げの焼き目付け
サイコロ状に切った厚揚げをフライパンで焼き目がつくまで1~2分焼く。
8:だしを作る
鍋に調味液Cを入れ、煮詰めすぎないよう火を通してタレを仕上げる。
9:盛り付け
器に焼いた鯛、煮た野菜、しいたけ、厚揚げを順に盛り、ご飯をかぶせる。最後にだしをかける。
10:仕上げ
ご飯の上に刻みのりと細切りにしたゆずをトッピングして完成。
まとめ
広島県福山市を中心に伝わる郷土料理「うずみ」は、具材をご飯の下に隠す独特のスタイルが特徴的な料理です。
その名の通り、魚や野菜、豆腐などの具材を器に盛り、その上にご飯をかぶせることで具を「埋め」た形になります。この調理法は江戸時代に始まり、質素に見せかけながらも栄養豊富な食事を楽しむ工夫として広まりました。
使用される具材には、ごぼう、里芋、にんじん、大根、しいたけ、鯛、えび、鶏肉、厚揚げなどがあり、地域や家庭ごとに異なります。
また、だし汁には、瀬戸内海に面した地域ではいりこが、山間部では干ししいたけが使われるなど、土地の風味が活かされています。
昭和40年代頃までは秋の収穫を祝う特別な料理として親しまれていましたが、近年では学校給食や飲食店で提供されるなど、復活の兆しがあります。
また、「埋める」という発想を活かし、新しいアレンジ料理も登場しています。うずみは食材の豊かさを感じながら、隠れた魅力を掘り出す楽しみを与えてくれる一品です。