島根県の郷土料理白魚のかき揚げとは?

白魚のかき揚げの主な伝承地域は松江市で、主な使用食材として、白魚、たけのこ、菜の花、季節の野菜などを使用します。

白魚は、淡水と海水が混ざる宍道湖で取れる代表的な魚であり、「宍道湖七珍」の一つです。

江戸時代から、松江市の白魚は高く評価され、「松江の白魚は日本一」と各地の料亭から支持されてきました。

全長は5cm~10cmほどで、新鮮な時は透き通って美しく、死ぬと数時間で不透明になります。

見た目が似た素魚(シロウオ)とは異なり、まったく別の魚で、分布も違います。

宍道湖では、マス網や刺し網で11月から5月に漁獲されます。

古くから「春を告げる魚」として親しまれ、地元民の中には「食べなければ春が来ない」という言い伝えもあります。

かつては、松江大橋の近くで白魚漁が見られたと言われています。明治時代には、松江市内の缶詰工場で白魚の缶詰が生産されていました。

新鮮な白魚は刺身として食べることができ、他にも卵とじや酢和えなど様々な料理が楽しめます。

特に地元では、「白魚のかき揚げ」が人気で、うどんや天丼の定番として親しまれています。

宍道湖の漁期は11月15日に解禁され、翌5月31日まで行われます。

かつては、松江大橋の近くでの白魚漁の光景が広がっていました。宍道湖で取れた白魚の多くは都内や関西に流通しており、近年は地元への供給量が減少しています。

白魚は手で取り扱うと味が落ちるため、洗う際はざるに移します。

白魚のたんぱくな味わいは他の食材とよく合い、かき揚げも様々なバリエーションがあります。

たけのこや菜の花を合わせたかき揚げや、大葉をちぎって加えたかき揚げなど、家庭ごとに独自の調理方法があります。

生の白魚はスーパーマーケットや鮮魚店で販売されていますが、価格が高くなっています。

白魚の漁獲量が減少しており、希少価値が高いため、一般家庭よりも飲食店や料亭などに流通しています。

白魚のかき揚げのレシピと材料

材料(4人分)

しらうお:1パック
三つ葉:1束
しいたけ:1個
塩:少々
薄力粉:大さじ2
片栗粉:大さじ1

白魚のかき揚げの作り方

1:三つ葉を洗って根元を切り落とし、4cmの長さに切ります。

2:しいたけを薄くスライスします。

3:フライパンに2cmほど油を注ぎ、170℃に熱します。

4:三つ葉、しいたけ、しらうおをボウルに入れ、薄力粉、片栗粉、塩を加えて軽く混ぜます。

5:混ぜたものを8等分にして、熱した油に入れ、カリッと揚げます。

レシピ提供:島根県食生活改善推進協議会

※このレシピは地域や家庭によって異なることがあります。

白魚とは?

シラウオは、キュウリウオ目シラウオ科に属する魚の総称で、特にSalangichthys microdonという種を指すことがあります。しかし、シロウオと混同されることもあります。

この魚は東アジアの汽水域周辺に生息しており、半透明の細長い小魚で食用としても利用されます。別名として、シラオ、シラス、トノサマウオ、シロウオ、シロオなどが知られています。

「シラス」という名称は、色素のない白い稚魚の総称としても使われます。「トノサマウオ」という別名は、野良仕事をしない領主(殿様)のきれいな手をシラウオに例えたものとされています。また、シラウオの細長く半透明な姿は、女性の白く細い指を「シラウオのような指」と例えることもあります。

シラウオは「銀魚」や「鱠残魚」という漢字でも表記されることがあり、これは中国の呉王が大河を舟で渡る際、魚鱠(なます)の残りを川に捨てたところ、それが魚に変わったという逸話に由来しています。

中国では、銀魚や面條魚と呼ばれ、干し銀魚や冷凍銀魚の形で市場に出回っています。太湖の銀魚は、白魚、白蝦とともに「太湖三白」として有名です。

白魚の特徴

白魚の体は細長く、後方に向かって太くなり、尾びれの前で再び細くなるくさび形の体形をしています。生きている時は半透明の白色で、背骨や内臓が透けて見えますが、死ぬと体色が白く濁ります。腹側には2列の黒い点が並び、目は小さく口は大きいです。

白魚とシロウオは見た目や生態が似ていて、調理法もほぼ同じため、しばしば混同されますが、分類上は全く別の魚です。シロウオはスズキ目ハゼ科に属します。以下の点で区別が可能です。

1:白魚の口は尖っていて、体型はくさび形をしています。

2:白魚の浮き袋はシロウオほどはっきり見えません。

3:白魚には、背びれの後ろにある小さな丸い「脂びれ」があり、これはアユやシシャモ、ワカサギなどと近縁であることを示しています。

シロウオは他のハゼ類とは異なり、ほとんど仔魚のような形で成熟しますが、白魚は仔魚から変態し、他のサケ類と同じように鰭が発達します。

以前の説では、白魚は春に川の河口や汽水湖、沿岸域などの汽水域の砂底で産卵し、孵化した稚魚は翌年の春まで沿岸域でプランクトンを捕食しながら成長するとされていました。

成体は冬を越し、再び汽水域に集まって産卵し、産卵後はオスメスともに1年間の短い一生を終えると考えられていました。しかし、2016年に提唱された新しい説では、白魚は産卵のために汽水域に集まるのではなく、一生を汽水域で過ごすとされています。

白魚の食用利用について

昔から、沿岸地域で産卵期に集まる成魚が漁獲され、早春の味覚として親しまれてきました。

かつては全国各地で漁獲されていましたが、2016年現在、主な産地は北海道、青森県、秋田県、茨城県、島根県などで、特に東日本で多く見られます。

漁法はシロウオと同様に四角い網を十字に組んだ竹で吊るす「四つ手網」がよく使われますが、霞ヶ浦などの大規模な産地では刺し網や定置網も用いられます。

白魚は日本国内だけでなく、中国や東南アジアでも食用にされています。日本では高級食材とされており、非常に繊細で漁から上げるとすぐに死んでしまうため、生きたままで市場に出回ることはほとんどありません(活魚として流通するシロウオとは対照的です)。

料理方法としては、煮干し、佃煮、酢の物、吸い物、卵とじ、天ぷら、炊き込みご飯などが挙げられます。

また、刺身や寿司として生で食べることもあります。江戸前寿司のネタとしては、コハダやアナゴと並ぶ古くからの食材です。

ただし、白魚は寄生虫(横川吸虫)の中間宿主であることがあるため、市販の生白魚の生食には注意が必要です。少数の寄生では重大な症状は出ませんが、多数寄生した場合、軟便、下痢、腹痛などの消化器障害が発生する可能性があります。

また、2022年9月下旬以降、青森県で小川原湖産の白魚を生食した約130人が顎口虫による「皮膚爬行症」を発症しています。伝統的な食材ではありますが、淡水魚である白魚の生食は危険を伴います。

まとめ

白魚のかき揚げは、松江市を中心とした島根県で親しまれている伝統料理です。

淡水と海水が混ざり合う汽水湖である宍道湖で獲れる白魚を使用しており、江戸時代から高い評価を受けてきました。

春を告げる魚として知られる白魚は、新鮮な状態では透明で美しく、その新鮮さを活かしたかき揚げは、ふんわりとした食感と白魚の旨味が特徴です。

作り方の概要

準備:野菜を適切な大きさに切り、白魚と混ぜる。

衣の準備:薄力粉、片栗粉、塩を混ぜて衣を作る。

揚げる:油を170℃に熱し、混ぜ合わせた白魚と野菜を衣にくぐらせて揚げる。

特徴

食感と風味:かき揚げのふんわりとした食感と、揚げることで増す白魚の旨味を楽しめる料理です。

多様なバリエーション:季節の野菜を使って家庭ごとに異なるかき揚げが作られます。たけのこと菜の花、大葉などを組み合わせたバリエーションがあります。

食習慣:春の訪れを感じる料理として、地元の食文化に根付いています。

白魚の漁獲量は減少傾向にあり、希少価値が高まっています。そのため、地元の食生活改善推進協議会などがレシピを提供し、地元の飲食店や料亭などで提供されています。保存会やSNSの活用など、現代的な取り組みも進められています。

白魚は非常に繊細で、取り扱いには注意が必要です。また、生食には寄生虫のリスクが伴うため、十分な注意が求められます。

白魚のかき揚げは、島根県の伝統的な料理であり、地域の食文化を象徴する一品です。

新鮮な白魚を使用し、季節の野菜と組み合わせることで、多様な味わいを楽しむことができます。地元での保存・継承の取り組みにより、今後もその魅力が伝えられていくでしょう。