大山おこわの伝承地域は鳥取県の西部地域になります。主な材料は、もち米、焼きちくわ、鶏肉、人参、ごぼう、干ししいたけになります。
大山おこわは、大山の麓で採れる食材を使った、醤油風味のおこわで、西部地方の伝統料理です。
昔、僧兵たちが戦に向かう際、勝利を祈願して山鳥や山草を入れたお米を炊いていたのが由来とされています。
その後、祭りや祝い事の際のごちそうとして受け継がれてきました。明治時代には、大山寺の近くにある博労座(ばくろうざ)で開催されていた牛馬市の際、馬喰(ばくろう、牛馬の仲買人)たちの食事として振る舞われ、また、大山詣りの際のお弁当としても親しまれました。
「大山おこわ」としての名前が定着したのは明治時代以降で、それ以前は地名にちなみ「汗入おこわ」と呼ばれていたそうです。
昭和61年(1986年)には、食糧庁が選定した「ふるさとおにぎり百選」にも選ばれました。
毎年の氏神様のお祭りやその他の祭事では、必ず各家庭で作られ、来客へのお土産として振る舞われる家庭料理でした。
元々は、大山で修行していた人々に振る舞われていた精進料理が家庭に広がり、今日の「大山おこわ」になったと考えられています。
料理方法は、もち米に、干ししいたけ、ごぼう、栗、こんにゃく、油揚げなどを加え、だし汁や醤油、砂糖などで味付けして炊き込んだ料理です。使う食材は家庭によって異なり、決まったものはないものの、山菜や野菜を入れる家庭も多く、地域によってはちくわを加えることもあります。
現在では、大山町の食生活改善推進員を中心とした普及活動が進み、季節ごとの山菜を使った伝統食として若い世代や各家庭にも広がり、その伝承が続けられています。さらに、JR米子駅の駅弁としても地元の名物料理として親しまれています。
大山おこわの作り方と必要な材料
材料(10人分)
もち米:1kg
焼きちくわ:100g
鶏肉:300g
たけのこ:150g
人参:150g
干ししいたけ:大きめ6枚
こんにゃく:200g
ごぼう:100g
さやいんげん:100g
【調味料A(煮汁)】
砂糖:60g
醤油:80g
酒:100g
干ししいたけの戻し汁を使っただし汁:1000ml
作り方
1:もち米は洗って一晩水に浸し、翌日ざるにあげておく。
2:ごぼうはささがきにし、水にさらしてアクを抜く。
3:干ししいたけは水で戻して千切りにする。たけのこ、人参、こんにゃくも細かく切り、鶏肉は一口大に。焼きちくわは4等分して薄くスライスする。
4:さやいんげんは茹でて、斜めに切る。
5:調味料Aにごぼう、しいたけ、たけのこ、人参、こんにゃく、鶏肉、焼きちくわを加えて煮た後、具材と煮汁を分ける。
6:蒸気の立った蒸し器にもち米と具材を入れ、約20分蒸す。途中、煮汁を数回に分けて加えながら、40〜50分蒸し続ける。
7:盛り付けたら、さやいんげんを散らす。
8:※栗やむかご、銀杏などの季節の食材や、落花生や枝豆も好みに応じて加えると良い。
地域や家庭によりレシピには違いがあります。
まとめ
大山おこわは、鳥取県の大山地域で古くから伝わる郷土料理です。
もち米を使った蒸しおこわで、山菜や野菜、ちくわ、鶏肉などが具材として加えられ、醤油ベースの味付けで作られます。主に大山山麓の豊かな自然で育まれた食材を使用し、伝統的な料理として地元で親しまれています。
歴史と起源
「大山おこわ」の起源は、大山山麓に住む人々が祭りや祝いの場で作っていたことにさかのぼります。
また、大山寺で修行していた僧兵たちが戦場に向かう際、戦勝を祈って山鳥や山草を入れたおこわを炊いて食べたことが始まりとも言われています。この伝統は地域の祭事や家庭の祝い事として受け継がれてきました。
特に、明治時代には牛馬の市が大山で行われており、その際に馬喰(ばくろう、牛馬の仲買商人)たちの食事として供されていたことでも知られています。また、大山詣りの弁当としても人気がありました。
料理の特徴
もち米をベースに、干ししいたけ、ごぼう、たけのこ、こんにゃく、焼きちくわ、鶏肉などを煮た煮汁で蒸し上げるのが特徴です。
地域や家庭によって使われる具材が異なり、季節ごとの山菜や野菜、栗、銀杏などが加えられることもあります。蒸し上げる際に、煮汁を数回に分けて加えることで、風味がしっかりと染み込みます。
このように「大山おこわ」は、地域の食文化を象徴する料理として、今もなお大切にされ続けています。